Intel Inspectorは、プログラム開発者向けのメモリー/スレッド化エラー検出ツールです。プログラムを動的に解析し、メモリリークやスレッド間のデッドロックなど、メモリ、スレッド化に関するエラーの検出と修正を支援します。
OCTOPUSでは、Intel®Inspector 2013, 2015, 2017, 2018 update2, 2018 update3 が利用可能です。
Intel Incpector 2018 update3 のインストールディレクトリは下記になります。
/octfs/apl/Intel/psxece2019u1/inspector
他のバージョンについても"psxece2019u1"の部分を変更することでご利用いただけます。
利用方法
バッチリクエストにより計算ノード上でプログラムの検証を行い、得られた結果をフロントエンド上で閲覧する、という利用方法になります。
Intel Inspector 2018 update3 を利用する際の具体的な手順とジョブスクリプトについて以下で解説します。
1.実行ファイルのコンパイル
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Intel Inspectorで調査を行う場合、プログラムのコンパイル時に"-g"オプションを指定してください。
% ifort sample.f90 -g
なお、GNUコンパイラでコンパイルしたプログラムも検証可能ですが、正式にはサポートされていません。
2.ジョブスクリプトの作成、投入
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以下の例は、OCTOPUS 汎用CPUノードで、Intel Inspector 2018 update3 を用いてプログラムの検証を行うジョブスクリプト例です。
スクリプト名に特に指定はありません。
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#!/bin/bash #PBS -q OCTOPUS #PBS -l cpunum_job=24,elapstim_req=1:00:00 cd $PBS_O_WORKDIR source /octfs/apl/Intel/psxece2019u1/inspector/inspxe-vars.sh inspxe-cl -collect mi1 -search-dir all=. -result-dir result_memory ./a.out #メモリに関する調査 inspxe-cl -collect ti1 -search-dir all=. -result-dir result_thread ./a.out #スレッド並列に関する調査 |
sourceコマンドでIntel Inspectorの環境設定ファイルを読み込み、inspxe-clコマンドで実行ファイル「a.out」の検証を行っています。
-result-dirオプションは、検証結果を格納するディレクトリを指定するオプションです。自身の環境に合わせ、ご自由に設定してください。
なお、1つのディレクトリ内に複数の検証結果を出力することはできませんのでご注意ください。
inspxe-clコマンドで指定できるその他のオプションとその解説はユーザーガイドをご覧ください。
ジョブスクリプトのその他の行についてはこちらをご参照ください。
作成したジョブスクリプトをqsubコマンドで投入し、計算ノード上でIntel Inspectorを実行します。
% qsub inspector.sh
3.検証結果の確認
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ジョブの実行が終了すると、ジョブスクリプトで指定したディレクトリ内に検証結果が出力されます。
結果ファイルはCUI、GUIどちらでも閲覧することが可能です。特に理由がない限りは、GUIを用いて閲覧することを推奨します。
CUIでの閲覧方法
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フロントエンド上で下記コマンドを実行すると、検証結果からテキスト形式のレポートが生成されます。
"report.txt"という名前のファイルが生成されますので、lessコマンド等で結果を確認してください。
% /octfs/apl/Intel/psxece2019u1/inspector/bin64/inspxe-cl -report problems -result-dir ./result_memory -report-output report.txt
-result-dirオプションでは、ジョブスクリプトで指定した検証結果の出力先ディレクトリを指定してください。
-report-outputオプションでは、生成されるレポートのファイル名を指定できます。
GUIでの閲覧方法
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GUIでの利用にはXサーバ環境が必要となります。こちらを参考に、あらかじめ起動をお願いいたします。
下記コマンドでGUI版のIntel Inspectorを立ち上げます。
% /octfs/apl/Intel/psxece2019u1/inspector/bin64/inspxe-gui
GUIが立ち上がったら、上部のメニューから [File] > [Open] > [Result]を選択し調査結果を出力したディレクトリ内の".inspxe"という拡張子のファイルを開いてください。
以下のように調査結果が表示されますので、プログラムのエラーや警告などの詳細を確認してください。
参考情報
コマンドで指定できるオプションの解説や、GUIでの各項目の内容、使い方など、Intel Inspectorに関する詳細は下記の公式ページをご参照ください。
Intel®Inspector User Guide Getting Started with Intel®Inspector