Molecular dynamics simulations of slow dynamics in glassy systems

 

Authors:Kang Kim

Affiliation:Graduate School of Engineering Science, Osaka University

Abstract:高分子集合体は形状や大きさによってその物性を大きく変えることが知られており、形状による物性のコントロールができるようになると期待されている。直鎖状高分子集合のダイナミクスについてはレプテーションモデルでの理解が可能であるとされている一方で、直鎖と違い末端を持たない環状の高分子がどのように運動をして構造緩和するのかは明白ではない。末端がない環状高分子は周囲の環境によって鎖ごとに様々な形状をとることが期待される。したがって鎖同士の協調的な運動が本質的になりえることに着目する。このことはガラスの遅いダイナミクスにおける動的不均一性の類推を用いた解析が有用であることを示唆しておりこれに取り組んだ。鎖長を系統的に変化させ、直鎖状および環状高分子溶融体における平均2乗変位とその非ガウス性を定量化するノンガウシアンパラメータ(NGP)を解析した。直鎖状高分子は絡み合いから抜け出して自由拡散へと至る時間領域においてNGPに強いピークが現れるのに対し、環状高分子においてはNGPが極めて抑制されていることがわかった。しかしながら、環状高分子の拡散係数は鎖長を長くしていくと直鎖状高分子と同程度の鎖長依存性を示すことから、高分子間の相互作用は強くなっていくと考えられている。このことは、環状高分子溶融体の拡散機構が、多くのガラス形成物質で支配的なパッキング効果や直鎖状高分子の絡み合い描像とは本質的に異なることを意味することがわかった。

 

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(Journal paper)

  • Kengo Takemoto, Yoshiki Ishii, Hitoshi Washizu, Kang Kim, and Nobuyuki Matubayasi, "Simulating the nematic-isotropic phase transition of liquid crystal model via generalized replica-exchange method", The Journal of Chemical Physics, Vol.156, No.014901, Jan. 2022.
  • Shota Goto, Kang Kim, and Nobuyuki Matubayasi, "Effects of chain length on Rouse modes and non-Gaussianity in linear and ring polymer melts", Journal of Chemical Physics Vol.155, No.124901, Sep. 2021.

 




Posted : March 01,2022