SQUIDについて

 

挨拶


     
    尾上 孝雄
    大阪大学 理事・副学長(研究、情報推進、図書館担当)

     新スーパーコンピュータシステム(SQUID)の更新にあたり、ご挨拶申し上げます。
     本学は、大学の知を広く世のため、人類社会の幸福のために開放すること、つまり「Openness(開放性)」を基軸とした上で、「Open Education」、「Open Research」、「Open Innovation」、「Open Community」、「Open Governance」の5つの柱から構成される、「共創」を実現するための取り組み目標をそれぞれに定め、「共創イノベーション」を牽引する「社会の中の大学、社会のための大学」の実現に全教職員が一丸となり取り組みを進めています。これらの取り組み目標の実現には、卓抜した本学の研究成果を社会実装し、その過程を通じた新たな課題を分析し、それをさらに基礎研究に還元するという好循環を実現する「研究開発エコシステム」を構築することが極めて重要です。
     サイバーメディアセンターのスーパーコンピュータは、本学の研究者だけでなく全国の研究者が利用する全国共同利用設備であり、今日も1,000名を超える利用登録があり、産学の研究者が日夜利用しています。2017年に導入したスーパーコンピュータシステムOCTOPUSは、定常的に90%程度の利用率となっており、大変好評を得ています。その一方、利用者ジョブの待ち時間が数日程度に及ぶこともあり、新スーパーコンピュータシステムへの要望・期待は急速に高まる傾向にありました。特に、本学では、超大量データを持続可能かつ責任ある形で管理しつつ利活用することにより、生命科学、医歯薬学、理工学、人文科学等の新たな地平を切り拓き、社会的、公共的、経済的価値の創造を促進するための学際研究の推進により、イノベーションを牽引する取り組みに注力していることからも、このような学際研究におけるデータを利活用する研究開発の計算ニーズを収容できるスーパーコンピュータシステムの必要性・重要性は極めて高い状態にありました。
     この度、サイバーメディアセンターに導入されたスーパーコンピュータシステムSQUIDは、本学の「研究開発エコシステム」をさらに加速・発展させる計算基盤として導入しました。最新プロセッサ、最新GPU、最新ベクトルプロセッサの異なる3種のアーキテクチャから構成され、ただ単に国内屈指の高い性能を誇るだけでなく、学内の科学計測機器、IoTセンサから計測・生成される研究データをSQUIDに収容可能とするとともに、世界の研究者と共有可能とする機能性を有しており、急速に広域化・グローバル化する学術研究を加速・発展させるデータ基盤も提供します。このSQUIDは文部科学省所管によって推進される、我が国の革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構成スーパーコンピュータとなりますが、これにより、大阪大学と地域、大阪大学と産業、大阪大学と世界の大学・学術機関をつないだ、研究開発エコシステムの好循環がもたされるものと確信しています。
     今日、コロナ禍克服に向け、全世界が一丸となってその解明等に努めるなど、スーパーコンピュータへの学内外、国内外からの期待は大きく高まっております。そのような中、このたび、わが国の学術・産業を支える研究者による未解決の学際的なデータサイエンス問題への探究を支援する目的で、SQUIDが運用を開始したことは誠にタイムリーであり、喜ばしいことと考えております。
     また、SQUIDの顔には、本学サイバーメディアセンターに、各関係企業の皆様が共催・協賛いただいた「SQUIDラックデザインコンテスト」を通じ、広く一般から公募して最終決定したデザインが描画されていることは、大阪の政財界や市民の皆様の熱烈なご支援により、地域社会と結びついた「市民主導の帝国大学」として誕生した本学の源流を見る思いです。
     今回の更新を受け、学術、産業、市民で作り上げるスーパーコンピュータの提供を行い、データサイエンスへの探求を支え、優れた研究成果の創出により一層貢献することを心から期待しております。

     


     

     
    下條 真司
    大阪大学サイバーメディアセンター センター長・教授

     この度、大阪大学サイバーメディアセンターでは、Supercomputer for Quest to Unsolved Interdisciplinary Datascience(以下「SQUID」)と名付けられたスーパーコンピュータシステムを無事更新するに至りました。
     いま私たち人類は、新型コロナウイルスの感染拡大による未曾有の事態の只中にあるといえます。その日常はさまざまな制約にさらされており、そのような中、こうして運用開始を迎えることができたことは、ひとえに文部科学省をはじめ、学内外の関係者の皆様のご尽力・ご支援の賜物であると考えております。改めまして、心より感謝とお礼を申し上げます。
     SQUIDは、1秒間に1京6590兆回の浮動小数点演算を実行できる16.59PFLOPS(ペタフロップス)という国内屈指の高い性能を有するスーパーコンピュータというだけでなく、近年の学術研究の広域化・グローバル化、そして本学の産学共創に向けた研究開発の活発化を支援すべく、多様な計算ニーズを収容可能なクラウド連動型高性能計算・高性能データ分析計算基盤として設計・開発されました。また、最新Intel Xeonプロセッサ(開発コード名:Ice Lake)を搭載した汎用CPUノード群、最新NVIDIA製GPU A100を8基搭載したGPUノード群、最新NEC製ベクトルプロセッサNEC Aurora TSUBASA Type 20Aを8基搭載したベクトルノード群の異なる3種の計算ノード群で学内外の計算ニーズを収容しつつ、需要逼迫時等にはマイクロソフト社Azure、オラクル社OCIのクラウド資源をオンデマンドに提供します。さらに、本学の研究データを容易に収容し、世界中の研究者と研究データを容易に共有可能とするデータ集約基盤、Osaka university Next-generation Infrastructure for Open research and open innovatioN (ONION)を、DDN社製ファイルシステムおよびCloudian社製オブジェクトストレージを中核技術として設計・開発し、試験的に導入しております。
     上述のとおり、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は、社会に大きな影響を与え続けています。さまざまな負のスパイラルが報道されたり、実際に見聞きしたりすることばかりの中で、唯一ポジティブな影響を見出すとすれば、デジタル変革(DX)の重要性が大きく叫ばれ、国内外でその動きが活発化したことではないでしょうか。本学においても、来年度から始まる第4期中期計画期間のみならず、その後の長期的・継続的な活動を視野に入れ、現在「OUマスタープラン2027」を策定しているところですが、その中で本学の「教育」「研究」「経営」を支える横軸として、「コロナ新時代に対応する情報基盤整備」を重要施策の一つとし、これを構成員が一丸となって達成することを目標として掲げております。
     その中でも、研究を効率化し、研究データをより有効に活用することにより、さらに研究を発展させることを目的とした「研究DX」においては、さまざまな学術分野の研究者が一致団結したチームとして協働・共創できることが必要不可欠です。学術研究に伴う科学データのほとんどがデジタル化されている今日においては、物理現象のシミュレーションや数値計算といった従来型の高性能計算と、急速に需要が高まりつつある機械学習、AIといった高性能データ分析をストレスなく駆使できる計算基盤は極めて重要な役割を担います。また、広域化・グローバル化する学術研究においては、それら研究データを自在に移動できるデータ基盤も重要です。本センターがこの度導入したスーパーコンピュータシステムSQUID、そして、試験導入を行なうデータ集約基盤ONION (オニオン)は、そのような、本学の教育・研究を支えるICT基盤の安定的運用・効率化を担うサイバーメディアセンターの期待をこめて、設計・開発されました。
     コロナ新時代を迎える状況下で、SQUIDの役割、そしてそれを支えるサイバーメディアセンターの役割・責任はますます重要度を増していきます。目的完遂に向け、私どもも引き続き全力を尽くしてまいりますので、皆様方からのこれまで以上のご協力・ご支援をお願いする所存です。

     

祝辞


     
    須藤 和則
    日本電気株式会社 執行役員常務

     この度、大阪大学サイバーメディアセンターのクラウド連動型高性能計算・高性能データ分析用スーパーコンピュータシステム“SQUID”の稼働開始に際しまして、当社から本システムを納入させていただきましたことに厚く御礼を申し上げますとともに、無事に稼働開始の日を迎えることができましたことは、大学の関係者の皆様の多大なご努力の成果とお慶び申し上げます。
     SQUIDは、当社が長年スーパーコンピュータ開発で培ってきたベクトル技術を搭載したSX-Aurora TSUBASAで構築されるベクトル計算環境と、パートナー企業各社の最先端技術を結集した汎用プロセッサのCPU計算環境、アクセラレータのGPGPU計算環境のハイブリッドで構成されております。最新鋭のベクトル型プロセッサによって数値計算や大規模シミュレーションの科学技術計算能力を強化するとともに、汎用プロセッサとGPGPUアクセラレータを組み合わせることで、近年急速に需要が拡大しつつあるビッグデータ分析技術やAI技術の機械学習や深層学習などの多様な計算ニーズにも対応可能となり、大阪大学が目指すHPCとHPDAの両立を実現しております。さらには、「広域化・グローバル化する学術研究を支える大容量データ集約環境の実現」、「高秘匿性データを安全に計算・解析できるセキュアコンピューティング環境」、「クラウド連動・連携機能」も合わせて実現しています。
     当社は、大阪大学サイバーメディアセンターが推進するデータサイエンスへの探求に向けて、学術、産業、市民で作り上げるスーパーコンピュータの提供を行い、優れた研究成果や新しい事業の創出を実現する産学連携を強力にサポートしてまいります。

     

スーパーコンピュータSQUID 除幕式(緊急事態宣言のため中止)

    本来は2021年5月19日に実施する予定でしたが、緊急事態宣言のため中止となりました。
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    プログラム(緊急事態宣言のため中止)

      2021年5月19日 9:30 - 10:30
      1. センター長挨拶
      2. スーパーコンピュータSQUID 除幕
      3. 祝辞
      4. 記念撮影
(個別の敬称は省略させていただきました。)