vol.05 心臓の興奮伝播シミュレーション


今回のHPSC Newsでは、「心臓の興奮伝播シミュレーション」に取り組んでおられる森ノ宮医療大学 保健医療学部 / 臨床工学科 稲田 慎 先生の御研究を紹介します。

 
研究者: 稲田 慎
所属:森ノ宮医療大学 保健医療学部 / 臨床工学科 教授
 
研究概要:心臓の不整脈は,心臓内における電気的興奮伝播の異常と関連がある.特に,心室における不整脈は突然死につながる可能性がある.しかしながら,電気的興奮伝播の異常がどのように不整脈の発生や維持に影響を与えているかについての詳細は不明である.不整脈の発生や維持のメカニズムを検討するための手法として,心臓内の電気現象をシミュレーションにより解析する方法が挙げられる.本研究では,約2000万のユニットで構成した,大規模で解剖学的に詳細な心臓モデルを構築した.シミュレーションは,サイバーメディアセンターのスーパーコンピュータSX-ACEを使用して実行した.本研究で行ったシミュレーション結果より,右室流出路における電気的興奮伝播の異常が心室性不整脈の発生や維持に影響を与えていることが明らかとなった.我々は,コンピュータシミュレーションが心臓の複雑な電気現象や不整脈などの疾患を治療するための新たな手法を検討する上で有用なツールであると考えている.




Posted : 2019年06月14日