vol.16 AlphaFold2を利用して、新規なタンパク質間相互作用ペアを発見する〜機能解析の新展開

今回のHPSC Newsでは、「AlphaFold2を利用して、新規なタンパク質間相互作用ペアを発見する」に取り組んでおられる、大阪大学 大学院生命機能研究科 生殖生物学研究室 河口 真一 様の御研究を紹介します。
 

 
研究者:河口 真一
所属:大阪大学 大学院生命機能研究科 生殖生物学研究室
 

細胞内のタンパク質の種類は、約1万〜2万程度あり、多くの場合、複合体を形成することによって、生命現象の物理化学的反応を担っている。そこで、研究対象とするタンパク質と他のタンパク質との結合を実験的に探索する試みが広く行われる。最近、DeepMind社によって開発されたAlphaFold2というAIプログラムは、アミノ酸配列からタンパク質の立体構造や複合体構造を予測できるとして注目されている。本研究では、AlphaFold2を利用して、迅速なタンパク質複合体のスクリーニングを行い、機能解析の一助とすることを試みた。SQUID上でAlphaFold2を運用し 1日に約150ペアの複合体予測ができるように計算フローを構築した。細胞内のタンパク質について、1:1の結合を仮定して、in silicoスクリーニングを行ったところ、全体の約1%に相当する数のペアで、信頼性スコアが高いものが得られた。現在、AIプログラムが活発に開発され、革新的な技術が生命科学にも多大な影響を与えている。AlphaFold2に限らず、このようなAI技術にいち早く適応し、検証することは、実験科学と計算機科学の隔たりを埋める好機となることが期待される。




Posted : 2024年05月13日