FreeFem ++によるグルコース拡散問題のパラメトリックスタディ―

 

氏名:佐藤嘉哉

所属:テルモ株式会社 R&D部門

概要:
目的: 糖尿病患者は年々増加しており、現在では世界に4億人以上いると推測されている。血糖自己測定器は糖尿病患者が自身の病状の把握およびインスリン投与量を概算するための装置であり、センサーより得られた信号から血糖値を算出する予測式が必要となる。センサー内部における血液中のグルコースおよび内包試薬の反応・拡散系を物理モデル化し、パラメトリックスタディーを行うことで、最適な予測式を確立する。
内容: 空間一次元の偏微分方程式による物理モデルに、パラメータ変数を他の空間座標として扱うことで、空間2次元の問題に変換する。有限要素法では計算空間の要素細分により得られる大規模な疎行列からなる連立一次方程式を解くことになるが、大規模計算のために開発され、マルチコアCPU向けに最適化された疎行列ソルバーを活用することができる。有限要素法によるシミュレーションは、OCTOPUSで提供されているドメイン固有言語FreeFem++を用いてコーディングする。
結果: OCTOPUS の Xeon Phi ノードを用い、1 CPU 64コアによりシミュレーションを実行した。右図は横軸方向に空間次元を、縦軸方向に温度のパラメータを設定した際の内包試薬の拡散を解像するための有限要素分割である。 グルコース濃度と血液の粘性に関する二種類のパラメータの合計2,880ケースの計算を一週間程度で実行することができた。

 




Posted : 2021年03月01日