ガラス系の遅いダイナミクスの分子動力学シミュレーション研究

 

氏名:金 鋼

所属:大阪大学大学院基礎工学研究科

概要:直鎖状高分子は絡み合いによってダイナミクスが理解されるが、環状高分子に対する理論モデルは未だ確立していない。近年になって、環状高分子溶融体においてランダムに複数の高分子鎖をピン留めすると拡散が完全に抑制されることから、ガラスの遅いダイナミクスとのアナロジーが示唆され注目を集めている。 我々はこれまでの研究で、ガラス形成液体の動的不均一性を定量化するのによく用いられているノンガウシアンパ ラメーター(NGP)を解析し、直鎖と環とで比較することで動的不均一性における形状の効果を調査し、高分子鎖間の相互作用がNGPによって特徴づけられることを明らかにした。本研究では、鎖の硬さ・系 の数密度を変化させることで、環状鎖の慣性半径がNGPの振る舞いに大きく影響していることを示した。

 

論文掲載,発表実績:
(学術雑誌掲載論文)

  • Takuma Kikutsuji, Yusuke Mori, Kei-ichi Okazaki, Toshifumi Mori, Kang Kim, and Nobuyuki Matubayasi , "Explaining reaction coordinates of alanine dipeptide isomerization obtained from deep neural networks using Explainable Artificial Intelligence (XAI)", The Journal of Chemical Physics, Vol.156, No.154108, Apr. 2022.

 




Posted : 2023年03月31日