大阪大学D3センター(以下、「本センター」という。)では、本センターの大規模計算機システムを活用する研究開発の育成・高度化支援の観点から、本センターが参画する「ネットワーク型」学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)や革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の目的を踏まえつつ、今後の発展が見込まれる萌芽的な研究課題や本センターの大規模計算機システムを最大限活用することで成果が見込まれる研究課題を公募します。
よくあるご質問についてはこちら、過去の採択結果についてはこちらをご覧ください。
2025年度 公募型利用制度の採択結果(利用期間 2025年4月~2026年3月)
若手・女性研究者支援萌芽枠
代表者名 | 研究課題名 |
---|---|
桑原 卓哉 様 (大阪公立大学 大学院工学研究科) |
深層学習と分子シミュレーションを用いた超潤滑界面の形成メカニズムの解明(★) |
鵜沢 浩太朗 様 (日本原子力研究開発機構) |
非平衡グリーン関数を用いた核分裂反応の微視的記述(★) |
Pierre Vinchon 様 (Graduate School of Engineering, The University of Osaka) |
Contribution of subthreshold energy ions’ neutralization on defect formation in monolayer graphene(★) |
原 惇也 様 (大阪大学 大学院工学研究科 附属フューチャーイノベーションセンター) |
6G を見据えた大規模多層センサネットワークにおける多モーダル時空間データの解析(★) |
(★) JHPCN萌芽研究として認定
大規模HPC支援枠
代表者名 | 研究課題名 |
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栗本 育三郎 様 (木更津工業高等専門学校) |
サイバーフィジカル植物工場システムの開発 |
寺島 洋史 様 (北海道大学 大学院工学研究院) |
詳細反応機構を適用した高圧メタン酸素ロケットエンジン燃焼振動シミュレーション:燃焼振動発生機構の解明と噴射条件の特定 |
村上 匡且 様 (大阪大学 レーザー科学研究所) |
マイクロノズル加速による超高エネルギープロトン生成の3次元シミュレーション |
佐野 孝好 様 (大阪大学 レーザー科学研究所) |
無衝突衝撃波-無衝突衝撃波の衝突現象における運動論的粒子加速機構の解明 |
杉本 馨 様 (京都大学 基礎物理学研究所) |
連星中性子星合体における磁場エネルギー散逸過程の解明を目指したプラズマ粒子シミュレーション |
大西 正人 様 (統計数理研究所) |
第一原理計算を用いた非調和フォノン特性データベースの構築 |
高木 悠司 様 (大阪大学 大学院理学研究科) |
運動論的レーザープラズマ相互作用による非熱的高速電子発生 |
人工知能研究支援枠
代表者名 | 研究課題名 |
---|---|
長沼 大樹 様 (モントリオール大学・Mila – Quebec Artificial Intelligence Institute) |
汎化指標の網羅的評価の再考: 現代ニューラルネットワークの課題への適応 |
浜口 智志 様 (大阪大学 大学院工学研究科) |
機械学習力場MDによる原子層プロセス表面反応解析 |
新里 秀平 様 (大阪大学 大学院基礎工学研究科) |
ニューラルネットワーク原子間相互作用を用いた高精度・大規模分子動力学計算に基づく水素環境下での欠陥動力学の解析と理論構築 |
Harry Handoko Halim 様 (Graduate School of Engineering, The University of Osaka) |
Integrating Multi-scale Simulations and Inverse Design for Heterogenous Catalysis Materials at Operating Condition by Machine Learning Interatomic Potentials |
水上 渉 様 (大阪大学 量子情報・量子生命研究センター) |
有機・無機化合物を包括する化学のための基盤モデルの構築とその民主化 |
世界と伍する学生育成特設枠
代表者名 | 研究課題名 |
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横山 尋斗 様 (東京大学 大学院工学系研究科) |
金属/絶縁ポリマー界面の接合状態が電荷注入障壁に及ぼす影響の定量的解析 |
水谷 耕介 様 (大阪大学 大学院理学研究科) |
3次元輻射磁気流体計算を用いた連星系における共通外層期の軌道進化の調査 |
栗原 諒 様 (大阪大学 大学院基礎工学研究科) |
第一原理分子動力学計算を用いたCO2電解還元における電極/電解質界面の反応メカニズム解析 |
山中 敬太 様 (大阪大学 大学院工学研究科) |
配向ナノワイヤアレイと高強度レーザーの相互作用による高輝度ガンマ線生成 |
西岡 蒼矢 様 (大阪大学 大学院理学研究科) |
格子QCDの数値計算によるハドロン内部のダイクォークの探索 |
Rizka Nur Fadilla 様 (Graduate School of Engineering, The University of Osaka) |
Deep Neural Network Potential for Unveiling Drug Release Mechanism of pH-sensitive Antibody-drug Conjugates Linkers in Acidic Solutions |
Shufang Huang 様 (大阪大学 大学院基礎工学研究科) |
凝集誘起発光を示すPt(II)錯体の固体状態における光励起状態の理論的および実験的研究 |
Dinh Ngoc Dung 様 (Graduate School of Engineering, The University of Osaka) |
Theoretical elucidation and design of local atomic structures and their colossal permittivity properties of doped TiO2 |
Meliton R. Chiong III 様 (Graduate School of Engineering, The University of Osaka) |
Exploring the structure and reactivity of Al13 clusters deposited on organic substrates by highly parallelized quantum Monte Carlo simulation |
小峠 陸登 様 (大阪大学 大学院情報科学研究科) |
グラフ構造を活用した解釈可能な脳波基盤モデルの開発 |
Kelvin Lee Kai Wen 様 (Research Center for Nuclear Physics, The University of Osaka) |
Diquark mass and Quark-diquark potential from lattice QCD with a static quark |
2025年度公募型利用制度 募集要項
1. 公募型利用制度概要と応募資格
本センターが設置する大規模計算機システム公募型利用制度(以下、「公募型利用制度」という。)は今後の発展が見込まれる萌芽的な研究課題を募集する(1)若手・女性研究者支援萌芽枠、大規模計算機システムを最大限活用することで成果が見込まれる研究課題を募集する(2)大規模 HPC 支援枠、大規模な計算能力を必要とする人工知能分野の研究課題を対象とする(3)人工知能研究支援枠 から構成されます。
また、2025年度は、わが国の学術研究を担う次世代の研究者育成の視点から、本センター大規模計算機システムの利用資格を有する、一人又は比較的少数の学生が学位取得(修士、博士)を目標として行う研究課題を対象とする(4)世界と伍する学生育成特設枠を設置します。本特設枠では、理科系、文科系などの研究分野を問うことなく、全ての学術研究分野を対象とし、大規模計算機システムを活用する研究課題を幅広く募集します。
これらの公募型利用制度に応募できる課題代表者は、本センターの大規模計算機システム利用規程で定める利用資格を有することを前提とし、それぞれの公募枠についての応募資格は下記の通りとします。なお、2024年度に本制度を利用された場合は、本センターの計算機資源を用いる2025年度のJHPCN 課題(萌芽型共同研究は除く)またはHPCI課題に応募された方のみ応募資格を有します。
(1) 若手・女性研究者支援萌芽枠
- 研究代表者が42歳以下(2025年 4月 1日時点)の若手男性研究者、あるいは、女性研究者(年齢制限を設けない)であること。ただし、学生を除く。
- 下記をご了承いただけること。
- 学際大規模共同利用・共同研究拠点(JHPCN)の萌芽型共同研究課題の条件を満たす課題については、同拠点共同研究課題審査委員会で審査の上、JHPCN の萌芽型共同研究課題として採択される場合があること。
(2) 大規模 HPC 支援枠
- 既に並列化済みのプログラムを持ち、並列度を上げて実行する計画があること。
(3) 人工知能研究支援枠
- 研究分野を問わず、人工知能技術を活用するプログラムを持ち、大規模計算機システム上で実行する計画があること。(例えば、ディープラーニングを用いた物質設計等のマテリアルサイエンス、機械学習を活用した化合物探索等のバイオインフォマティクス、大規模な統計処理を行う人文・社会科学、大規模計算機・大規模データによるデータ分析手法を取り扱う情報工学等、研究分野を問わず幅広く募集します。)
(4) 世界と伍する学生育成特設枠
- 課題代表者及び課題参加者が学生であること。
- 一人又は比較的少数の学生が学位取得(修士、博士)を目標として行う、大規模計算機システムを利用する研究課題であること。
2. 募集枠と提供資源量
採択予定課題数
(1) 若手・女性研究者支援萌芽枠 | 1~5課題 |
(2) 大規模HPC支援枠 | 1~4課題 |
(3) 人工知能研究支援枠 | 1~3課題 |
(4) 世界と伍する学生育成特設枠 | 1~5課題 |
1課題あたりの申請資源量上限の目安
資源名 | (1)枠 | (2)枠 | (3)枠 | (4)枠 | |
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SQUID | 汎用CPUノード群 | 100,000 ノード時間 |
650,000 ノード時間 |
200,000 ノード時間 |
15,000 ノード時間 |
GPUノード群 | 5,000 ノード時間 |
15,000 ノード時間 |
7,000 ノード時間 |
1,000 ノード時間 |
ベクトルノード群 | 6,000 ノード時間 |
12,000 ノード時間 |
6,000 ノード時間 |
1,000 ノード時間 |
資源名 | (1)枠 | (2)枠 | (3)枠 | (4)枠 |
---|---|---|---|---|
SQUIDのストレージ | 100TB | 500TB | 500TB | 20TB |
3. 研究実施(利用)期間
2025年 4月1日から2026年 3月31日までの期間利用することができます。この期間を越えての利用については、引き続き公募に申請し課題が認められる必要があります。
4.利用できる大規模計算機システムについて
本制度にて利用できる本学のHPC資源は「SQUID」です。
「SQUID」は汎用CPUノード群、GPUノード群、ベクトルノード群から構成されるクラスタ計算機です。
提供資源についての詳細は、以下をご覧ください。
SQUID
5. 支援内容
公募型利用制度における本センターの支援内容は下記の通りとします。
- 研究課題推進のための大規模計算機システム利用負担金の全額を本センターが負担します。
- 研究課題推進のために本センターの施設(会議室等)を利用できます。
- 本センターで開催する本公募型利用制度の成果報告会の旅費を全額補助します。
- 大規模 HPC 支援枠採択課題については、希望により、本センターからのプログラムチューニング支援を提供します。
6. 課題審査
応募された課題申請書を本センターの高性能計算機システム委員会で審査を行います。応募枠に対する採択基準は下記の通りとします。
(1) 若手・女性研究者支援萌芽枠
- 本センター大規模計算機システムを活用することで今後の発展が期待できる萌芽的テーマであるかどうか。
- 大規模計算を必要とする課題であるかどうか。
- 提案計算計画に妥当性があるかどうか。
- 今後継続的に大規模計算機システムを活用した研究が推進できるかどうか。
- 研究体制が研究目的遂行の観点から妥当であるかどうか。
(2) 大規模 HPC 支援枠
- 本センター大規模計算機システムを活用することで学術的な意義・インパクトを有する成果導出が見込めるかどうか。
- 大規模な並列計算を実現できるかどうか。
- 提案計算計画に妥当性があるかどうか。
- 研究体制が研究目的遂行の観点から妥当であるかどうか。
(3) 人工知能研究支援枠
- 本センター大規模計算機システムと人工知能技術をあわせて活用することで学術的な意義・インパクトを有する成果導出が見込めるかどうか。
- 大規模計算を必要とする課題であるかどうか。
- 提案計算計画に妥当性があるかどうか。
- 研究体制が研究目的遂行の観点から妥当であるかどうか。
(4) 世界と伍する学生育成特設枠
- 研究課題の学術的重要性、妥当性があるか。
- 研究課題に高い特色、独創性があるか。
- 課題の遂行に大規模計算機システムが必要かどうか。
- 大規模計算機システムの利用によって学術的な成果が見込めるかどうか。
- 研究体制が研究目的遂行の観点から妥当であるかどうか。
7. 成果報告等の義務
課題採択者には下記の報告・発表が義務付けられます。また論文やプレスリリース等で発表を行う際は本制度により支援を受けた旨を明記してください。
- 本センターで開催する公募型利用制度の成果報告会(2026年 3月頃を予定)において成果発表を行うこと。
- 本センターが刊行する「HPC ジャーナル」に報告記事を寄稿すること。
- 本センターが定める成果報告書を提出すること。
- JHPCN の萌芽型共同研究課題として採択された場合には、JHPCN の主催するシンポジウムでの発表を依頼する場合があること。
- 翌年度のJHPCN課題またはHPCI課題の応募を行うこと。((4)枠の採択者を除く)
成果報告書の提出、報告記事の寄稿がなされない場合、公募型利用制度への課題代表者としての応募資格を失います。また共同研究者としての課題参加もできません。
8. 遵守事項
大規模計算機システムの利用に関しては、本センターの大規模計算機システム利用規程を遵守していただきます。
9. 応募方法及び期間
課題申請書に必要事項を記入のうえ、以下の送付先までE メールにて送信してください。
課題申請書は、下記からダウンロードしてください。
送付先 | 大阪大学 情報推進部 情報基盤課 研究系システム班 大規模計算機システム担当 E-mail:system@cmc.osaka-u.ac.jp |
募集開始 | 2024年11月11日 |
募集締切 | 2024年12月13日(必着) |
10. 審査結果の通知
2025年 2月中旬に結果をメールで通知する予定です。
11. 利用開始
課題が認められた方は、情報推進部 情報基盤課 研究系システム班から利用開始に必要な案内をいたします。
問い合わせ先 (利用に関する相談など) |
E-mail:system@cmc.osaka-u.ac.jp 〒567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘5-1
情報推進部 情報基盤課 研究系システム班 大規模計算機システム担当宛 |
公募型利用制度 Q&A
Q. 現在、公募型利用制度を利用していますが、翌年度の公募型利用制度に応募可能でしょうか?
Q. 成果報告等の義務として「翌年度のJHPCN課題またはHPCI課題の応募を行うこと」とありますが、公募型利用制度の申請者が、JHPCN課題やHPCI課題の”代表者”として応募する必要があるのでしょうか?
- A. 大阪大学の計算機資源を活用する、JHPCN課題の"共同研究者"、あるいは、HPCI課題の"課題参加者"として、公募型利用制度の申請者様をご登録いただき、別の方を"代表者"として申請いただいても結構です。本センターの公募型利用制度で採択された課題が、大阪大学D3センターの計算機資源を活用するJHPCN課題あるいはHPCI課題に発展することを期待しています。
Q. 同一年度に公募型利用制度に加えて、HPCI課題あるいはJHPCN課題に採択された場合、公募型利用制度を辞退する必要があるのでしょうか?
- A. 特に公募型利用制度を辞退する必要はなく、併用していただけます。
ただし、公募型利用制度、JHPCN課題、HPCI課題のいずれにおいても、申請後割り当てられた計算資源は使い切られることが期待されています。資源を使い切れないかもしれない等、併用する上で不安がある場合は、辞退していただくことも可能です。