vol.10 超伝導の磁場誘起chiral転移と常磁性電流 ~軌道磁化と磁場との結合が織りなす現象~

今回のHPSC Newsでは、「超伝導の磁場誘起chiral転移と常磁性電流 ~軌道磁化と磁場との結合が織りなす現象~」に取り組んでおられる兵庫県立大学 大学院理学研究科 兼安 洋乃 先生の御研究を紹介します。

 
研究者:兼安 洋乃
所属:兵庫県立大学 大学院理学研究科 物質科学専攻 助教
研究概要:超伝導は電子がペアを成す状態であり、電子ペアのスピンと軌道の性質から多彩な磁化・電流現象を現します。その一つに、軌道による自発的磁化をもつchiral状態が挙げられます。何故、超伝導状態において軌道による自発磁化が生じるのか、その理由は明らかではありません。このchiral状態の本質を探るために、軌道磁化と磁場の結合によるchiral現象をGinzburg-Landau方程式の数値解析で調べています。解析から、磁場中のchiral安定化の特徴として、磁場誘起chiral転移と常磁性電流、chirality反転(軌道磁化反転)が示されます。これらの現象は距離について変化した超伝導状態で、軌道磁化と外部磁場が常磁性結合することにより生じます。このような磁場中のchiral超伝導の距離依存性を調べるために、サイバーメディアセンターのSX-Aurora TSUBASAのVector並列処理が威力を発揮します。




Posted : 2021年05月06日