所属：福井大学

概要：天然ガス予混合燃焼の火炎伝播を伴う壁乱流における乱流と火炎構造の変調を詳細に観察するために，直接数値シミュレーションを実現した．その結果，乱流の影響により火炎のシワのスケールが増加し，火炎温度が低下することによって燃焼反応が抑制されて，火炎の伝播速度が減少した．また，流れ場の変化に注目すると，火炎の影響によって，壁面に沿う乱流渦のような組織的構造が抑制されて，その結果として，流れが層流化していた．渦度輸送方程式のバランスを見ると，乱流の組織的構造の抑制は，火炎の熱による粘度の上昇によることがわかった．さらに，渦の回転効果による熱の輸送の結果として，乱流渦よりも早く，速度ストリークが選択的に抑制されていた．このように，乱流燃焼の予測と制御を実現するための基礎的な知見が得られた．

論文掲載,発表実績:
（学術雑誌掲載論文）

• Takashi Ohta and Keisuke Nakatsuji, “Spatial-scaling method and modified large eddy simulation to examine rough-wall turbulence”, Journal of Turbulence, Vol.22, No.7(2021), pp.413-433, https://doi.org/10.1080/14685248.2021.1915494
• Takashi Ohta, Tatsuya Yonemura, and Yasuyuki Sakai, “Numerical investigation of the effect of rotation on non-premixed hydrogen combustion in developing turbulent mixing layers”, Journal of Turbulence, Vol.22, No.10(2021), pp.597-622,
  https://doi.org/10.1080/14685248.2021.1944634
• Takashi Ohta, Fumiya Osaka, and Yuta Kitagawa, “Modulation of turbulent Couette flow with vortex cavitation in a minimal flow unit”, Journal of Turbulence, Vol.23, No.3(2022), pp.152-172, https://doi.org/10.1080/14685248.2022.2046762
• Takashi Ohta, Yuta Onishi, and Yasuyuki Sakai, “Modulation of wall turbulence by propagating flame of premixed hydrogen-air combustion”, Combustion and Flame, Accepted: March 25, 2022

（国内研究会等発表論文）

• 永井 優河, 太田 貴士, 酒井 康行, ”DNSによる天然ガス予混合燃焼を伴う壁乱流の観察”, 第19回日本流体力学会中部支部講演会, Nov. 2021.
• 北川 雄太, 太田 貴士, ”渦キャビテーションを伴うクエット乱流で乱流構造の変化を予測するためのDNSの実現”, 流体工学シンポジウム（第68回北陸流体工学研究会）, Dec. 2021.
• 白畑 風太郎, 太田 貴士, ”円柱周り軸方向流れの乱流構造の特徴と半径レイノルズ数の関係”, 流体工学シンポジウム（第68回北陸流体工学研究会）, Dec. 2021.
• 永井 優河, 太田 貴士, 酒井 康行, ”天然ガス予混合燃焼を伴う壁乱流における乱流構造と火炎構造の変調”, 第35回数値流体力学シンポジウム, Dec. 2021.
• 都築 昇悟, 太田 貴士, ”DNSに基づく粘弾性流体乱流のためのLESモデルの提案と検証”, 日本機械学会 北陸信越支部 2022年合同講演会, Mar. 2022.