過去の研究成果
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物理シミュレーションとコンピュータビジョンのための幾何学的深層学習の開発
所属|北海道大学 大学院情報科学研究院
データが持つ対称性などの幾何学的構造を保存する深層学習である幾何学的深層学習を開発し,物理シミュレーションとコンピュータビジョンに応用する.これによって,ニューラルネットワークを基底とした有限要素法の効率的な学習法の開発,連成学系の深層学習によるモデル化と構造の同定,データ空間の幾何学的構造の同定などを行う.
マイクロ熱工学に関する分子シミュレーション
所属|大阪大学
ナノ・マイクロメートルスケールのエネルギー輸送現象を原理的に理解して表面特性などを用いて制御することを目的として,銅の伝熱面に付与したナノスケールの矩形構造が,固液界面熱抵抗に与える影響を分子動力学解析により調査し,熱回路網法でモデリングを行うためにSQUIDを用いた.その結果より,矩形構造の大きさや濡れ状態によらず熱回路網モデルによって,界面熱抵抗がうまく予測できることが示された.
AIによる組み合わせ最適化問題のソルバー技術開発
所属|パナソニックコネクト株式会社 技術研究開発本部 知能システム研究所
目的 様々な組み合わせ最適化問題を、手作業によるヒューリスティックを少なく、あるいは全く使わずに解くアルゴリズムを自動的に構築するAI技術を開発する。
内容 深層学習を始めとする機械学習手法に基づく組み合わせ最適化問題を解く先行研究を評価し、これらの成果をもとにより効果的な改善モデルを開発する。
結果 以下2つの先行研究のモデルを巡回セールスマン問題に対して評価し、そこで明らかになった課題をもとにモデル改善のための切り口を蓄積した。
-Joshi, Chaitanya K., Thomas Laurent, and Xavier Bresson. “An efficient graph convolutional network technique for the travelling salesman problem.” arXivpreprint arXiv:1906.01227 (2019).
-Chen, Lili, et al. “Decision transformer: Reinforcement learning via sequence modeling.” Advances in neural information processing systems 34 (2021): 15084-15097.
乱流・混相流の数値シミュレーションとデータ駆動型流体力学
所属|大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻
乱流,気泡や粒子などを含む分散性二相流,伝熱,潤滑,流体-構造連成解析,界面現象などを対象として,数理モデルの開発,解析手法の高度化・高精度化,現象の解明,データ駆動型モデルの開発.
自己免疫疾患の病態理解のための1細胞単位での発現解析
所属|大阪大学大学院医学系研究科先端免疫臨床応用学
内容 ここ5年間で1細胞単位での数千遺伝子のmRNA発現値を得る技術が大幅に進歩した。本研究では自己免疫疾患のサンプルを用い、健常成人と比較し発現変化した血球細胞種が存在するか、細胞数が増加/減少した血球細胞種が存在するか、の計算を実施した。
結果 メモリの多い大規模計算機の利用により、より多数の症例のより多細胞の同時解析が可能になった。現在計算継続中である。
密度汎関数理論を用いたナノ粒子のエネルギ論的解析
所属|大阪大学
Quantitatively analyze the energetics of nanoparticles using density functional theory
組込みAIにおけるSoC推論性能DB構築
所属|パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社開発本部
目的 車載機にDeep LearningをはじめとするAI技術を組み込むため、SoC特性データベース(DB)を構築すること
内容 様々なタスクでDeep Learning学習を行った学習済みアルゴリズムに対して、評価対象SoCへ組み込んだ際の動作性能結果を蓄積することでDB構築を行う
結果 3種類のタスクとそれに対応した合計200種のアルゴリズムに対して学習を実行し、DB構築を完了した
流れ中の粒子運動の解析
所属|関西大学
粘弾性流体の正方形管内流れに浮遊する球形粒子の運動をFENE-Pモデルを用いて数値解析した。パラメータ毎に管下流断面における粒子位置を調べた結果、流体の物性によりさまざまな粒子集束パターンが得られた.ヒドロゲル粒子を用いた実験結果と比較することにより、ヒドロゲル粒子のヤング率を得た.
Construction of a SiO2 Interatomic Potential Model by Machine Learning and Its Application to Molecular Dynamics Simulations.
所属|大阪大学工学研究科マテリアル生産科学専攻浜口研究室
近年,材料科学の分野において,機械学習を用いた分子動力学(MD)シミュレーション用の原子間ポテンシャルが開発されている.機械学習原子間ポテンシャルは,密度汎関数理論(DFT)に基づく量子力学計算で事前に評価された膨大な数の原子配置データと膨大な数の力場データを補間することで,対応するDFTに基づく量子力学計算よりもはるかに迅速に力場を提供することができる.また,機械学習原子間ポテンシャルは広く使用されている古典的な原子間力場モデルよりもはるかに正確であることが期待されており,DFT計算で得られるものと同等の精度を実現できる可能性がある.しかし,材料科学で広く使用されている熱力学的平衡状態における典型的な分子動力学シミュレーションとは異なり,スパッタリング/エッチングシミュレーションでは,このような力場の開発に特別な注意が必要となる.高イオンエネルギー衝撃を伴う典型的なスパッタリングシミュレーションでは,原子間の距離が極端に小さくなることがあり,標準的なDFTベースの力場データでは精度を担保できない.そのため,本研究では,短距離斥力相互作用を表すためにZiegler-Biersack-Littmark(ZBL)ポテンシャル関数を使用し,それ以外には機械学習による力場を採用した.機械学習原子間ポテンシャルは,グラフニューラルネットワーク(GNN)を基に,Query By Committeeに基づいた能動学習を用いて開発した.開発した機械学習原子間ポテンシャルを用いたMDシミュレーションでは,SiおよびSiO2のイオンビームスパッタリング/エッチングを実施し,その結果をビーム実験データおよび既存の古典的MDシミュレーション結果と比較した.
Analysis of adsorption and diffusion properties of additives on a steel surface
所属|NTN Next Generation Research Alliance Laboratories, Osaka University
Quantum ESPRESSOを利用した第一原理計算により、潤滑油添加剤の金属界面への吸着力を解析した。LAMMPSを利用した分子動力学シミュレーションにより、潤滑油添加剤の吸着および拡散挙動を解析した。添加剤種による吸着や拡散の挙動の違いに関する知見を得た。
逐次型データ同化津波予測における観測点とアンサンブルの同時制御
所属|和歌山工業高等専門学校
逐次型データ同化アンサンブルカルマンフィルタ・スムーザーを用いた津波予測では,観測点・アンサンブルが多すぎるとかえって精度が悪化する場合もあり,どのように観測点・アンサンブルを制御すれば予測精度が向上するか明らかにする必要がある.
沖合観測点での予測が良ければ沿岸部でも予測精度が向上するという考え方で制御を行った.つまり,沖合観測点での地震発生から5分間の観測波形とデータ同化波形をRMSE・相関係数R・RMSEとRの両方を用いて比較し,波形の一致度が悪い観測点・アンサンブルは取り除いた.
銅電極触媒上におけるCO二量化反応の表面配位数依存性の解析
所属|大阪大学基礎工学研究科太陽エネルギー化学研究センター
CO2またはCO電解還元において、銅系触媒のみが有意な速度かつ高活性に高付加価値物質(C2+化合物)を生成する。CO2およびCOからC2+化合物に至る重要な素反応であるCO二量化反応は、銅表面構造によって大きく左右されることが知られている。本課題では、CI-NEB法を用いて、異なる表面配位数(SCN =9, 8, 7)サイトでのCO二量化反応の活性エネルギーを評価することで、その表面配位数依存性を評価した。その結果、CO二量化後のOCCO中間体は表面配位数が小さいサイト(SCN = 7)よりも大きいサイト(SCN =9, 8)上で安定化され、その後の中間体還元反応が進行すると示唆された。
NMRを利用したAmphotericin Bチャネル複合体の構造解析
所属|大阪大学大学院工学研究科附属フューチャーイノベーションセンター
Amphotericin Bが形成するイオンチャネル構造から得られた固体NMRデータを解釈するために、Gaussianによってイオンチャネル中でのNMRピークをシミュレーションした。計算手法としては共同研究先で得られたMD計算の座標データをもとにGaussianによる量子化学計算ファイルを作成し、分子の配座からNMRピーク形状を推定する。結果として実験結果に依存したピーク線幅の変化を計算によっても再現できた。
腎組織画像解析モデルの構築
所属|大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
稀な糸球体変化 を検出することを目的として、深層学習モデルを構築した。Periodic acid-Schiff 染色腎組織画像をWSIスキャナーでデジタルデータ化し、パッチ画像に分割して学習データとした。稀な形態変化について、検出しやすい病変と検出しにくい病変を認めた。
Calculation of physical properties of barium titanate-related materials
所属|Nagoya Institute of Technology
チタン酸バリウムの強誘電体ドメイン壁および酸素空孔の形成自由エネルギーを計算し、関連材料の強誘電特性を解析することを目的とした。MPI+OpenMPでハイブリッド並列化された独自プログラムを用いた分子動力学シミュレーションにより、計算を実行した。その結果、チタン酸バリウムにおいて、強誘電体ドメイン壁近傍で酸素空孔の形成エネルギーが低下することを明らかにした。これは、ドメイン壁近傍に酸素空孔が蓄積しやすいことを示唆する。
開殻分子の磁性・光物性、発光性錯体の光物性に関する研究
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科
Gaussian16 を利用して、各種開殻π電子系分子とその集合体について、軌道計算、電荷分布、スピン密度分布、TD-DFT 等の計算を行い、実験結果を比較、補足した。特異な開殻π電子系分子集合体における光吸収特性の帰属を行うことで 、各種π電子系分子が示す新奇現象のメカニズム解明に向けた。また、発光性錯体の光機能性に関する計算も行った。
Simulating Brownian motion in thermally fluctuating viscoelastic fluids
所属|Department of Chemical Engineering, Kyushu University
熱ゆらぎに駆動される粘弾性流れおよび粒子のブラウン運動の直接数値計算を行うために, 粘弾性流体の構成方程式であるOldroyd-B モデルについての stochastic Smoothed Profile 法 (sSPm)を開発した.Langevin 方程式のような有効モデルを用いることなく,粘弾性物性に基づいてブラウン運動を直接解析することに成功した.
致死性不整脈の発生メカニズムの理解とその制御方法の確立
所属|金沢医科大学
撃発活動とは、心室性致死性不整脈発症のきっかけとなる応答として知られる。本研究は、撃発活動の生成メカニズムを明らかにし、不整脈誘発危険度を定量化することで、不整脈の発症予防・制御の方法論の開発を目的とする。これまでに撃発活動の形成メカニズムを明らかにしてきた。本年度は、特定のイオンチャネル電流を制御することで撃発活動形成を抑制できるかどうかを検討した。心室筋細胞膜に発現する一過性外向きK+チャネル電流(Ito)を抑制することで、撃発活動形成が阻害されることを見出した。Itoは、心室筋活動電位ダイナミクスである早期後脱分極(Early afterdepolarization: EAD)の発生を抑制する可能性も見出した。
マルチタスク表形式データ基盤モデルの構築
所属|Panasonic Connect Co. Ltd.¹; Panasonic R&D Center Germany GmbH²
複数タスクの複数表形式データに同時対応できる基盤モデルを目指すべし、LLMの利活用などの手法改善を行い、複数のタスクに対応できる、表形式データに対応する基盤モデルを学習し、構築した。結果として、複数のタスクにおいて、それぞれ複数のデータに基づいて学習し、基盤モデルとなりうる構造を見出した。
前周期遷移金属錯体触媒によるアルキンとシクロプロペンの環化付加反応に関する反応機構解析
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻
前周期遷移金属錯体を触媒とするアルキンとシクロプロペンの環化付加反応によるシクロペンタジエン誘導体の合成反応について、Gaussian 16 を利用したDFT計算により詳細な反応機構を明らかにした。その結果、触媒サイクル中の反応中間体や遷移状態の構造やエネルギーを明らかにすることに成功し、反応機構の全貌の解明につながる重要な知見を得た。
SSMを用いた動画生成モデルのシミュレーション
所属|東京大学
目的:動画生成にSSMを用いた場合の挙動を確認する.
内容:新たに,Transformerベースの動画拡散モデルを学習する.
結果:SSMsを用いた場合,Transformerベースでは少し異なる工夫が必要だとわかった.