Gaussianは、非経験的分子軌道計算プログラムとして広く使用されている ソフトウェアです。大規模計算機システムでは、バッチリクエストによる Gaussian09.D.01 の利用が可能となっております。
※SX-ACE向けGaussianは試験サービス中です。まずSX-ACEの「試用制度」をご利用の上、あらかじめ動作確認をお願いいたします。
なお、Gaussian の利用は申請制としておりますので、利用を希望される方はこちらをご覧ください。
基本的な利用方法
Gaussianをバッチで実行する場合の手順について解説します。
フロントエンドノードに接続し、計算に必要な入力データ、ジョブスクリプトを作成後、ジョブ投入し、計算を実行します。
※Gaussianについてのマニュアルは公式HPのオンラインマニュアル(英語)をご参照ください。
入力データ、ジョブスクリプトは、ローカル端末で作成するか、フロントエンドノードに接続し、vi, emacsなどのテキストエディタで作成します。エディタの使い方についてはこちらをご参照ください。
以下に入力ファイル、ジョブスクリプトの例と、ジョブ実行について説明します。
入力ファイルの作成
はじめに、入力ファイルを作成します。エディタを用いて、以下の例(水のシングルポイントエネルギー計算)を記入し、適当な名前で保存します。
ここでは、“single_point_energy_calc_on_water”という名前で保存します。
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%Chk=water # HF/6-31G(d) water energy 0 1 O -0.464 0.177 0.0 H -0.464 1.137 0.0 H 0.441 -0.143 0.0 |
1行目 Link0コマンド行:
スクラッチファイルの位置と名前(終端に空行を入れません)
この例では、チェックポイントファイルの場所と名前を指定します。
2行目 この例では改行が入っていますが、実際は必要ありません
3行目 ルートセクション(# 行):
行いたい計算のタイプ,モデル化学やその他オプションを指定(空行で終わりを示す)
5行目 タイトルセクション:
計算の簡単な説明(空行で終わりを示す)
7行目 分子指定:
検討する分子系の指定(空行で終わりを示す)
この例では、0 電荷(中性分子),スピン多重度 1 (一重項)
8行目-10行目:
分子中の各原子の位置を指定
11行目-12行目:
ファイルの終わりには必ず改行を入れてください。(改行が無い場合、エラーになります)
入力ファイルについての詳しい説明は、公式HPのオンラインマニュアルをご参照ください
ジョブスクリプトの作成
次に、ジョブスクリプトを作成します。
こちらも、エディタを用いて、以下に示す例を記入し、“sx_water.sh”として保存します。
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#!/bin/csh #PBS -q ACE #PBS -l elapstim_req=0:30:00,memsz_job=60GB setenv g09root "/sc/cmc/apl/Gaussian/ace/g09e01" setenv GAUSS_SCRDIR "/sc/cmc/home/a12345" #「a12345」はご自身の利用者番号に合わせて変更してください source ${g09root}/g09/bsd/g09.login newgrp g03 cd $PBS_O_WORKDIR ${g09root}/g09/g09 < single_point_energy_calc_on_water >& result |
ジョブスクリプトの内容についての詳しい説明はこちらをご参照ください。ここでは、Gaussian利用で必要な項目について説明します。
2行目:実行キューを指定
4行目、5行目:環境変数を設定
環境変数
PBS_O_WORKDIR | NQSII用の環境変数で、qsub コマンドを実行した時のカレントディレクトリが設定されます。 |
GAUSS_SCRDIR | スクラッチディレクトリが設定されます。 「a12345」はご自身の利用者番号に合わせて変更してください。 ディレクトリを指定していない場合は Gaussian を実行したディレクトリがスクラッチディレクトリとなります。 |
6行目:設定ファイルの読み込み
7行目:グループを変更
9行目:Gaussian起動コマンド
作成しておいた入力ファイルをリダイレクト(<)で入力し、結果を“result”へリダイレクト(>)しています
この二つのテキストファイルが完成したら、ジョブを投入します。
% qsub sx_water.sh (enter)
実行が成功すると、結果ファイル“result”に計算結果が保存されます。
計算結果例(ファイル80行目から抜粋)
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 |
------------- # HF/6-31G(d) ------------- 1/38=1/1; 2/12=2,17=6,18=5,40=1/2; 3/5=1,6=6,7=1,11=9,16=1,25=1,30=1/1,2,3; 4//1; 5/5=2,38=5/2; 6/7=2,8=2,9=2,10=2,28=1/1; 99/5=1,9=1/99; ------------ water energy ------------ Symbolic Z-matrix: Charge = 0 Multiplicity = 1 O -0.464 0.177 0. H -0.464 1.137 0. H 0.441 -0.143 0. Input orientation: --------------------------------------------------------------------- Center Atomic Atomic Coordinates (Angstroms) Number Number Type X Y Z --------------------------------------------------------------------- 1 8 0 -0.464000 0.177000 0.000000 2 1 0 -0.464000 1.137000 0.000000 3 1 0 0.441000 -0.143000 0.000000 --------------------------------------------------------------------- Distance matrix (angstroms): 1 2 3 1 O 0.000000 2 H 0.960000 0.000000 3 H 0.959909 1.567618 0.000000 Stoichiometry H2O Framework group CS[SG(H2O)] Deg. of freedom 3 Full point group CS NOp 2 Largest Abelian subgroup CS NOp 2 Largest concise Abelian subgroup C1 NOp 1 Standard orientation: --------------------------------------------------------------------- |
備考
バッチ利用の他、インタラクティブバッチでGaussianを使用可能です。インタラクティブバッチについては下記をご参照くださいませ。
インタラクティブ利用について
注意事項
※ 標準出力/標準エラー出力ファイルは、制限していますので、リダイレクション(>)を使いファイルに出力して下さい。
※ Gaussian の出力ファイルは非常に大きくなる場合があり、実行中にホーム領域の制限を越えてしまうことがありますので、一時ファイル領域(/ext/cmc/利用者番号)で実行するか、またはスクラッチディレクトリをこの領域に指定して下さい。(ただし、/ext/cmc/利用者番号の利用は「ディスク追加オプション」の申込が必要)
※ 共有メモリ並列実行を行う場合は、Gaussian の入力ファイルにLink0 コマンドを正しく設定して下さい。
http://www.gaussian.com/g_tech/g_ur/k_link0.htm