vol.12 エンジン壁面熱損失の高精度予測に向けて ~脈動乱流における熱伝達機構の解明~

今回のHPSC Newsでは、「エンジン壁面熱損失の高精度予測に向けて ~脈動乱流における熱伝達機構の解明~」に取り組んでおられる関西大学 システム理工学部 小田 豊 先生の御研究を紹介します。
 

 
研究者:小田 豊
所属:関西大学 システム理工学部 准教授
 

研究概要:自動車エンジンに代表される往復動式内燃機関では燃料の燃焼によって生じる熱エネルギーのうち20~30%が冷却損失として失われます。冷却損失とはエンジン構成部品を冷やす際に壁面を通じて冷却水が受け取る熱エネルギーの割合であり,エンジン出力に寄与しないことから燃費向上のためには最小限に留める必要があります。本研究では,ピストンの往復運動によって生じるエンジン内部の複雑な熱流動を「強い加減速の繰り返しと壁面熱伝達を伴う脈動乱流」とみなし,高精度な乱流シミュレーション手法を適用することで,脈動乱流における壁面熱伝達のメカニズム解明に迫りました。このようなシミュレーションを通じて現在設計で広く利用されている計算モデルの限界を明らかにすることは,より高精度に熱損失を予測できる計算モデルの構築に資すると考えています。




Posted : 2022年04月25日