vol.13 単一分子電気伝導の第一原理計算
今回のHPSC Newsでは、「単一分子電気伝導の第一原理計算」に取り組んでおられる、大阪大学 大学院基礎工学研究科 大戸 達彦 先生の御研究を紹介します。
研究者:大戸 達彦
所属:大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教
研究概要:1つの分子が電極間に架橋された「単一分子デバイス」の開発は、電子輸送がどのように起こるかを分子・原子レベルで理解し、有用な分子デバイスの設計にとって重要な分子設計指針を引き出すことにつながると考えられている。単一分子デバイスの挙動の理解のためには、どのような分子架橋構造のとき、どの程度の電気伝導度が得られるかを理解する必要があるが、デバイスのサイズが非常に小さいため、実験的のみから1つの分子の架橋構造を特定することは困難である。本研究では第一原理計算を駆使し、複雑な構造を持つ分子の架橋構造を推定する試みを行なった。分子の両端に電極原子を配置する必要があるため計算コストが高く、サイバーメディアセンターのOCTOPUSのような大型計算機を用いる必要がある。データ科学的な手法を組み合わせることで、第一原理計算を行う構造の絞り込みを行うことに成功した。この手法は、今後様々な分子デバイスの架橋構造と電気伝導度の関係性を調べる上で有用になると考えている。
Posted : 2022年09月01日