海洋中の乱流と混合に関する数値実験的研究

 

氏名:吉川 裕、大倉 大樹、牛島 悠介

所属:京都大学大学院理学研究科

概要:海面からの熱をエネルギー源とする台風は,海洋中に活発な乱流混合を引き起こす。この混合は海面水温を低下させるため,台風へのエネルギー供給も低下し,台風の勢力が弱まる。これまでの研究では,海洋中の混合を鉛直一次元過程で近似することがしばしば行われてきた。しかしながら,海洋中の3次元的な流れが,海面水温の分布や混合強度を変え,それが台風の発達に影響を与える可能性があることが示唆される。そこで,海洋中の3次元的な流れも再現し,1次元過程のみ場合と比較することで,海洋中の3次元過程が果たす役割を調べた。その結果,3次元過程は,海面水温の平均値を低下させるだけでなく,水へ分布の非対称性を著しく増加させることが明らかとなった。この非対称性は,台風の進路に影響することから,海洋の3次元過程が台風の進路に影響する可能性が示唆された。

 

論文掲載,発表実績:
(国内研究会等発表論文)

  • 大倉 大樹・吉川 裕 「台風に対する海洋の応答の非対称性についての数値実験」、日本地球惑星科学連合2019年大会、2019年5月26日、千葉市幕張
  • 大倉 大樹・吉川 裕 「台風と海洋混合過程の相互作用が台風に与える影響に関する研究」,東京大学共同利用研究集会「海洋乱流の観測およびモデリングに関する研究集会」,2019年11月15日,東京大学大気海洋研究所

 




Posted : 2020年03月30日