発光ガラス材料における光吸収・発光時の電子・格子ダイナミクスの計算科学的探索
氏名:宮本良之
所属:国立研究開発法人 産業技術総合研究所
概要:YAG結晶中のCe不純物および酸素欠陥導入時の光励起状態およびその格子緩和による発光波長の変調を調べた。Y原子24個、Al原子40個、O原子96個のYAG結晶構造において、Ceのドープ量を増やし、Y原子24個のうちの2個をCe原子で置換してもY 原子24個のうち1個をCe原子で置換したものと同じ電子準位構造であり、光吸収および発光性能に変化はないとわかった。また、酸素欠損はCe原子に一番近い部位に最も安定に発生しやすく、光励起後のFrank-Condon緩和により、より赤方偏移した発光かあるいは無輻射緩和で非発光になる可能性を得た。また、計画外の成果も得たのでそれも併せて学会発表と論文発表を行った。
論文掲載,発表実績:
(学術雑誌掲載論文)
- Yoshiyuki Miyamoto, “Selecting Carbon Nanotubes with Diameters of Less than 1 nm by Laser Pulses: An Ab Initio Exploration”, Nano Letters, 20, 4416-4421 (2020), May 21, 2020.
- Yoshiyuki Miyamoto, “Polarization as a new parameter determining the laser-induced dynamics of carbon nanotubes studied by ab initio simulations”, Carbon 172, 372-378 (2020), Oct. 2020.
- Yoshiyuki Miyamoto, Hitomi Nakamura and Tomoko Akai, “Franck-Condon relaxation in photo-excited YAG:Ce studied using real-time time-dependent density functional theory”, Journal of Luminescence, Vol. 229, 117647 (2021), Jan. 2021
- 宮本良之、” Ce ドープされたYAG 結晶における光励起後のFranck Condon 緩和の第一原理計算”, HPCジャーナル No. 10, Jan. 2021
(国内研究会等発表論文)
- レーザー学会第41回年次大会 宮本良之 「超短パルスレーザーを利用した炭素材料およびその周辺材料の反応誘起:第一原理計算による提案」 Jan. 2021
- 日本物理学会第76回年次大会 宮本良之 「レーザー偏光に依存したカーボンナノチューブのフェムト秒ダイナミクス」 March. 2021
Posted : 2021年03月01日