量子ソフトウェア開発と多体問題への応用
氏名:宮腰 祥平、上田 宏
所属:量子情報・量子生命研究センター
概要:近年、量子計算機の自由度を活かした量子多体系のシミュレーションが注目を集めている。特に現在の量子計算機の事情とマッチした浅い量子回路で適切な量子状態を表現する手続きの構築が重要となっている。このような背景のもと、縦磁場と横磁場が共存する量子Ising模型における強磁性状態の時間発展ダイナミクスのシミュレーションを対象に、非平衡状態に対する最適な量子回路表現を探究した。任意の量子状態を表現するマルチ量子ビットゲートによる行列積状態の構造を起点として、それらを少数の2量子ビットゲートに分割した際に自然と得られるダイアモンド型の量子回路表現についてシミュレーションを行なった。その結果、ダイアモンド型の量子回路を用いたシミュレーションでは同数のゲートを持つ他の量子回路アンザッツと比較してより長いシミュレーション時間を再現することがわかった。
論文掲載,発表実績:
(その他)
- S. Miyakoshi, T. Sugimoto, T. Shirakawa, S. Yunoki, H. Ueda, "Diamond-type quantum circuit for real-time dynamics in one-dimensional system", The 1st young researcher's workshop of the Extreme Universe Collaboration, 2023/2/13-17 [Poster].
- 宮腰祥平, 杉本貴則, 白川知功, 柚木清司, 上田宏、「量子回路エンコーダによる時間発展ダイナミクスと量子回路構造の研究」, 日本物理学会2023年春季大会, 2023/3/22-25.
- 宮腰祥平, 「ダイアモンド型量子回路を用いた一次元非平衡量子状態の研究」, 物性研究のための量子アルゴリズム最前線, 2023/3/28-29 [招待講演].
Posted : 2023年03月31日