表面・界面における化学過程の密度汎関数理論シミュレーション

 

氏名:濱田幾太郎

所属:大阪大学大学院工学研究科物理学系専攻精密工学コース

概要:ホウ化水素(HB)シートは近年合成された新しい二次元物質の一つであり、多くの水素を含むことから水素貯蔵材料として注目を集めている。さらに触媒活性も示すなど、多くの機能性を有することが分かってきている。それらのメカニズムを解明するためにはその電子状態の知識が不可欠である。しかしながら、HBの電子状態については過去の密度汎関数理論(DFT)による結果には議論の余地がある。そこでDFTを越える高い精度の計算を行い、正しい電子状態を得る必要があることでHBの物性の理解が進展すると考えられる。本研究ではHBシートの電子状態を、DFTを越える多体摂動論の一つであるGW近似を用いて求めた。さらにGW近似で得られた結果を元に光学特性を計算し、実験結果との比較を行った。GW近似に基づく計算の結果、HBシートのバンド構造にギャップが見られず、金属的な振る舞いを示すことが分かった。この結果は我々のDFT計算と定性的に一致した。しかしGW近似の元で得られた準粒子エネルギーを用いて得られた光学特性は、DFT計算により得られた固有エネルギーを用いたものに比べて実験とより良い一致を示すことが分かった。この結果は我々の計算精度の高さを示すものと考えられる。

 

論文掲載,発表実績:
(学術雑誌掲載論文)

  • Luong Thi Ta, Yoshitada Morikawa, Ikutaro Hamada, "Electronic and optical properties of the hydrogen boride sheet from the many-body perturbation theory", Journal of Physics: Condensed Matter, 35, 43, 435002, 2023
  • Azim Fitri Zainul Abidin and Ikutaro Hamada, "Oxygen Reduction Reaction on Single-Atom Catalysts From Density Functional Theory Calculations Combined with an Implicit Solvation Model", The Journal of Physical Chemistry C , 127, 28, 13623-1363, 2023

 




Posted : 2024年03月31日