ヒトiPS細胞の分化能に関わる重要品質特性の探索

 

氏名:加藤 智朗

所属:公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 研究開発センター

概要:ヒトiPS細胞は体を構成する多様な細胞へと分化させる事ができるが、特定の細胞への分化誘導効率を安定的に維持する事は容易ではなく、分化能を予測できるiPS細胞における指標を明らかにする事が望まれている。iPS細胞は継代培養を行う事によりコロニーと呼ばれる集団を形成しながら増殖し、それに伴って内胚葉から外胚葉に似た遺伝子発現へと変動する事がわかってきた。しかし、この様な特定の胚葉への発現の偏りは目的の細胞を作成する上で必ずしも有利とはならず、多くの遺伝子発現上の偏りは分化誘導初期時に発現差が相殺された。一方でiPS細胞の樹立の際に各株特有の遺伝子発現差を示す事があり、それらは分化過程においても相殺されず発現差が維持される事が多い傾向にあった。後者の中に分化能に影響する要因がないか引き続き検討を進めている。

 




Posted : 2024年03月31日