テンソルネットワーク法による素粒子物理学の研究

 

氏名:藏増 嘉伸
所属:筑波大学
概要: テンソル繰り込み群(TRG)は,テンソルネットワーク(TN)スキームにおけるラグランジアン形式に基づく情報圧縮と粗視化を組み合わせた決定論的数値計算手法である.モンテカルロ法と異なり,符号問題・複素作用問題がないことやグラスマン数を直接扱えるなどの魅力的な特徴を有している.われわれの目的は,TRGを様々な種類の量子場理論に応用することにより,素粒子物理の非摂動的現象を研究することである.
 2025年度は,(3+1)次元有限密度2カラーQCDおよびQCD(3カラー)の強結合極限における相構造解析を行なった.前者に関しては,カイラル凝縮,ダイクォーク凝縮,クォーク数密度を化学ポテンシャルμの関数として計算することにより,ゼロ温度における相構造を解明することに成功した. 後者に関しては,カイラル凝縮とクォーク数密度の相転移点(μ_c)のクォーク質量依存性を調べることにより,有限温度におけるカイラル相転移・核物質相転移の臨界クォーク質量(一次相転移が消失する点)の決定に成功した.また,ゼロ温度では重いクォーク質量でカイラル相転移・核物質相転移が一次相転移であることを示した.本成果は,(3+1)次元有限密度QCDのゼロ温度の相構造解析における世界初の成功例である.

 

論文掲載,発表実績:
(学術雑誌掲載論文)

  • Yuto Sugimoto, Shinichiro Akiyama, Yoshinobu Kuramashi, "Phase structure of (3+1)-dimensional dense two-color QCD at T=0 in the strong coupling limit with the tensor renormalization group", Physical Review D, vol.113, no.3, ref.034503, Feb. 2026.

 




Posted : 2026年03月31日