タンパク質-化合物結合自由エネルギーの高精度予測

 

氏名:
奥野恭史

所属:
(公財)先端医療振興財団 インシリコ創薬拠点形成推進グループ

概要:
製薬業界において、タンパク質と化合物の結合親和性を正確に予測することが求められている。タンパク質と化合物の結合自由エネルギー(ΔG)は結合親和性の指標となるが、これらの分子は水中で柔軟に運動しており、両者の間の絶妙な相互作用のバランスで決まるため、正確に予測することが困難な状況にある。 ΔGを高精度に計算する方法として、MP-CAFEE法が既に考案されている(Fujitani H. et.al. Phys. Rev. E, 79, 021914(2009))。MP-CAFEE法では、化合物が結合したタンパク質の分子動力学計算を複数の計算条件(192種類)で実施し、結果全体を統計的に解析して結合親和性を予測する。本研究ではキナーゼタンパク質を対象にMP-CAFEE法を実施した結果、一定の予測精度がある事が示された。更に、シミュレーション中に観測される主要な結合状態と稀に生じる結合状態に対して別々にΔGを算出して平均化する事により、予測精度をこれまで以上に上昇させる事に成功した。

 




Posted : 2016年03月31日