2018年度の研究成果一覧です。

 
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利用成果の提出・作成方法

 

過去の研究成果

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減衰全反射遠紫外 (ATR-FUV) 分光法と量子化学計算を用いた電極界面イオン液体の電子状態解析

著者(所属)|今井雅也(大阪大学 大学院基礎工学研究科)

減衰全反射遠紫外 (ATR-FUV) 分光法を用いた金属イオンを含むイオン液体電解液の電子状態分析によって、金属イオンの種類 (Li+, Ag+) ごとにスペクトルシフトの挙動が異なった。そのメカニズムを解明するため、Gaussian16で励起状態計算 (TD-DFT法) を行った。

せん断流れ場中の細胞膜の不安定化* -分子動力学計算による系のサイズ依存性の検討-

著者(所属)|奥山直人(大阪大学 大学院基礎工学研究科 衝撃科学共同研究講座)

細胞への流れ場の作用は、マクロな視点からは、細胞を変形させることにより、細胞膜に張力を生じさせるが、ミクロな視点からは、細胞膜近傍の溶媒分子との速度差、すなわち、ミクロなせん断速度により、膜を不安定化させることが、分子動力学による検討により報告されている(1)。膜の不安定化のし易さは、系のサイズに依存することも指摘されており、現実の細胞サイズにおける、このミクロなせん断速度の大きさは、膜の不安定化が現実系で起こりえるか見極める上で非常に興味深い。本研究では、系のサイズを変化させながら、ミクロなせん断速度を算出し、細胞サイズへの外挿を行った。
粗視化分子動力学計算法(2)を用いて、細胞膜に負荷するミクロなせん断応速度を変化させ、膜が不安定化したときのせん断速度をせん断速度閾値とした。基準系として膜分子2048個、水分子211080個を採用して、基準系を2倍、4倍、8倍とした系に対するせん断速度閾値を同様に決定した。膜面外方向に生じる揺らぎの長さスケールが大きくなるほど、膜は不安定化し易いと考えられ(1)、他方、揺らぎの長さスケールは膜分子数の平方根に比例するため、膜分子数の平方根とせん断速度閾値の関係を、膜分子数が十分に大きいと見なせる極限へ外挿することにより、せん断速度閾値を見積もった。
細胞サイズにおけるせん断速度閾値は約80μs-1と見積もられた。溶血現象が急激に起こり始めるせん断速度閾値は約0.12μs-1と言われており(3)、見積もられた値はそれより数百倍大きく、膜の不安定化は非生理的な条件でしか起こらないだろうと推定される。
(1)I. Hanasaki et al., Physical Review E 82(2010) 051602.
(2)S. J. Marrink et al., Journal of Physical Chemistry B 111(2007) 7812.
(3)T. Yamane, M. Nishida and O. Maruyama, Artif Organs 25(2001) 813.

Implosion simulation in an external magnetic field using FLASH

著者(所属)|Kazuki Matsuo(Institute of Laser Engineering, Osaka University)

外部磁場中での爆縮計算を世界で幅広く使われているオープンソースの多次元輻射流体コードFLASHを用いて計算した.初期に5Tの外部磁場を印可した円筒のターゲットをレーザーで圧縮し,最大圧縮時刻における磁場の強度を見積もった.圧縮された磁場は最大で500Tに達した.初期の磁場を大きくすればより強い圧縮磁場を作ることも可能である.

Large eddy simulation of wind loads on solar panels

著者(所属)|Jingxue Wang(Tokyo Polytechnic University Wind Engineering Research Cente)

Roof-mounted solar panels play an increasingly important role in developing renewable energy. Wind loading is a major concern for these systems and is affected by the flow turbulence induced by building, inclined solar arrays geometries and of course, approaching turbulence in the atmospheric boundary layer. The wind pressure characteristics on roof-mounted solar panels were firstly examined by the wind tunnel tests and proved to behave differently compared with those roof pressures. The Large Eddy Simulation (LES) has been carried out to examine the flow field responsible for the wind pressures on solar panels using OpenFOAM. The significance of large-scale vortex induced by the roof edge, such as typical separated-reattached flow and conical vortices, and the local flow around the panels is evaluated for both normal and oblique wind directions.

ミルフィーユ構造の変形特性に関する原子論的研究

著者(所属)|Hajime Kimizuka,Kohei Ichioka, Hiroki Fukui,Yuki Iwai, Kana Oyori, Sohei Takahashi(Osaka University)

種々の金属系および高分子系ミルフィーユ構造のミルフィーユ構造の形成条件および変形特性を解析するために必要となる電子論的・原子論的シミュレーション手法の開発・整備を進めた.具体的には,(1)第一原理計算に基づく合金の熱力学的安定性評価,(2)分子動力学法に基づく変形素過程の抽出,(3)粗視化・加速分子動力学法に基づく高分子凝集体の状態探索,を行うための手法の整備・開発を実施した.

水素燃焼の数値シミュレーション

著者(所属)|神谷朋宏(岐阜大学大学院工学研究科)

高圧で液体水素が貯蔵されているタンクに穴が開いた場合,高圧の水素が雰囲気へと高速噴射され,気液間の相互作用により微粒化する.その後,蒸発および空気と混合を経て水素空気の混合気体ができる.そのため,液体水素の数値シミュレーションを行うためには,微粒化を精度よく予測する必要がある.そこで,本研究では,液体が気液間の相互作用により微粒化されていく過程を数値解析し,微粒化を予測するモデルを提案することを目的とする.

Ag - Al2O3接合機構の解明のためのマルチスケール解析

著者(所属)|芦田 肇 (大阪大学 工学研究科 マテリアル生産科学専攻 )

Ag-Al2O3接合はパワーエレクトロニクスにおいて重要な接合の一つである.本研究では従来法に比べて低温での接合が可能な酸化銀を利用した接合法に関して,その接合機構を分子動力学解析とその妥当性検証実験により,そのメカニズムを示唆した.

雷撃を受けたCFRPパネルの熱分布解析

著者(所属)|上野 航暉(同志社大学大学院 理工学研究科)

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics, CFRP)は近年様々な分野において利用がされているが,航空宇宙分野,特に航空機においては重量比で約50%のCFRPが利用されてきている。しかし,CFRPは各層の構造上,炭素繊維と樹脂による著しい導電率異方性を有している。このような各層の構造は複雑な電流分布や熱分布を引き起こす要因よなっている。そこで,本研究では,FDTD法(Finite Difference Time Domain)を用いて雷撃を受けたCFRPパネルの熱分布解析を行った。

水の誘電緩和の時空間構造解明

著者(所属)|岩下拓哉(大分大学 理工学部 共創理工学科 自然科学コース)

概要:水の誘電緩和スペクトルは、水分子のダイナミクスを解明する上で重要な手法でる。水の誘電緩和スペクトルは、水分子の配向緩和ダイナミクスに起因しており,10ps領域にデバイピークをもつのが典型的な特徴である。このデバイピークの微視的起源は未だに議論がなされている。本研究では、デバイピークの起源を調べるために、古典分子動力学シミュレーションデータから配向緩和の時間空間相関を計算し、相関時間や相関距離を見積もった。

致死性不整脈の発生メカニズムの理解とその制御方法の確立

著者(所属)|津元 国親(金沢医科大学 医学部)

心臓組織上での電気的興奮の伝播には、その組織構築構造上、異方性がある。心室性致死性不整脈の発生にその異方性は密接に関与すると考えられている。生理的な興奮伝播速度として、心筋線維走向方向と、それに直交する方向とで約3倍の速度差があることは以前から知られているが、その異方性成立メカニズムは未だ明らかでない。
 心筋細胞の活動電位(細胞)モデルを電気的に結合した心室組織モデルを構築した(図)。細胞配列パターンを変えながら、興奮伝播シミュレーションを繰り返し実施することで、生理的な興奮伝播速度を達成するために必要な細胞配列パターンを探索した。
 正方格子状に細胞を配列した心筋シートモデルにおいて、細胞長軸方向への興奮伝播速度(約70cm/s)は達成できたものの、心筋線維に直交する方向への生理的な興奮伝播速度(線維走行方向の約1/3)は達成できなかった。一方、煉瓦状に細胞を配列したシートモデルでは、線維走向方向の生理的興奮伝播速度を維持しながら、直交方向の生理的興奮伝播速度を達成することが可能であることを示した。この結果は、心筋細胞同士の電気的な接合部分において、複数の細胞が結合している機能的意義を説明するものである。生理的な興奮伝播を再現するモデルが確立されたことで、今後は、致死性不整脈の発生メカニズムを詳細に検討する。

低次元ナノ物質複合構造体の電子物性解明

著者(所属)|岡田晋(筑波大学 数理物質系)

本プロジェクトでは、各種異種物質ならびに外部電界と広義複合構造を形成した低次元ナノスケール物質に着目し、複合構造形成下における電子物性の変調の可能性を密度汎関数理論に基づく第一原理計算の手法と有効遮蔽媒質法を組み合わせることにより明らかにした。
本年度は、グラフェン端からの電界電子放出現象に対して、その物性現象の微視的かつ定量的な解釈を与えるため、強電界が印加された、種々のグラフェン端の電子物性を、端の形状に着目して解析を行った。その結果、グラフェン端からの電界電子放出による電流密度は、グラフェンの端形状に強く依存することが明らかになった。我々は、アームチェアと呼ばれるエネルギー的に最も安定な端形状を有するグラフェン端からの電流密度が最も大きく、逆にジグザグと呼ばれる端からの電流が最も小さいことを明らかにした。さらに、放出電流密度は、端に吸着された化学官能基種に強く依存することが明らかになった。特に水酸基、水素、カルボニル基といった端に電気的な双極子モーメントを誘起する官能基種により終端された端からは高い電流密度が得られることが明らかになった。

アーク溶接における溶融池形成予測シミュレーション

著者(所属)|荻野陽輔(大阪大学大学院工学研究科)

目的 アーク溶接プロセスにおける溶融池形状や温度履歴を予測するシミュレーションモデルを構築する.
内容 溶融金属の流動と表面変形挙動を計算するモデルならびにGUIを開発し,溶接時の溶込み形状や温度履歴など溶融池形成現象をシミュレーションした.
結果 溶接姿勢や溶接対象物の形状に依存した溶融池形成現象をシミュレーションし,熱源モデルの設定により実験結果を再現することができた.

マイクロ熱工学に関する分子シミュレーション

著者(所属)|芝原正彦,植木祥高・藤原邦夫(大阪大学大学院機械工学専攻)

ナノ・マイクロメートルスケールのエネルギー輸送現象を原理的に理解して制御することを目的として,ナノ構造が凝縮過程や凝縮時の熱抵抗に与える影響を,分子動力学法を用いて調査した.また壁面での凝固現象が微粒子に及ぼす影響に関しても分子動力学解析を用いて現象解明を行った.
そのために大規模可視化対応PCクラスタを用いた.

フォトニックナノジェットを利用した微細加工に関する研究

著者(所属)|上野原 努(大阪大学 大学院工学研究科 機械工学専攻)

フォトニックナノジェット(Photonic nanojet: PNJ)は誘電体マイクロ球にレーザを照射することで発生するビームである.PNJの高分解能な強度分布制御によって,高分解能に加工幅や加工深さを制御可能なレーザ微細加工技術の確立を目的とする.球に入射するビームの分布を制御することでPNJの強度分布制御が可能であることをFinite-Difference Time-Domain法を用いた電磁場シミュレーションによって明らかにした.具体的には,ガウシアンビーム入射によって大きなビーム径のPNJ,ラジアル偏光ビームによって小さなビーム径のPNJが得られることが明らかとなった

An elastic dumbbell model with binary non-affinity in multi-scale analysis of polymer-diluted turbulent flow

著者(所属)|Kiyosi Horiuti (Department of Mechano-Aerospace Engineering Tokyo Institute of Technology)

流体中を流動する高分子において通常仮定されている溶媒の変形への高分子の反変性に対し、共変性を導入した非追随性強度可変型モデルが昨年度構築されたが、その改善を図った.このモデルでは、高分子の伸長につれて非追随性強度が連続的に変化するのでなく、最小と最大の2値のみを取って中間値を取らない事により、弾性エネルギー生成の低下が解消されるため、大きな抵抗低減が達成される.
内容 
高分子をdumbbellモデルで近似し、そのBrownian dynamics simulation と溶媒のDNSを結合する多重スケール数値計算を行った.
結果 
図は定常状態を維持するために印加される外力の成す仕事 uifi 項の pdf を示す.強度連続可変型に比べて、2値バイナリー型は仕事の低下を示す.

レーザー磁気リコネクション実験の三次元PICシミュレーション

著者(所属)|LAW King Fai Farley(大阪大学 レーザー科学研究所)

目的 LFEXレーザーに照射されたスネイルターゲットで発生させた磁気リコネクション現象によるべき乗則粒子加速をシミュレーションで検証する。
内容 三次元Particle In Cell(PIC)コードを利用し、実験より縮小させた計算空間スケールで、スネイルターゲットの軸方向に加速されたプロトンのエネルギー分布を調べた。
結果 べき乗則のプロトンエネルギー分布がシミュレーションでも観測され、実験結果を定性的に再現させることに成功した。

湖沼・河川・内湾における流動水質シミュレーション

著者(所属)|①中谷 祐介、石野 謙介、多鍋 耀介、谷口 和也、中村 侑司 ②広瀬 太芽(①大阪大学 大学院工学研究科 地球総合工学専攻 ②大阪大学 工学部 地球総合工学科)

3D流体環境モデルSCHISM,FVCOM,CADMUS-SURF/3Dを用いて,琵琶湖の水質に及ぼす気候変動の影響シミュレーション,高閉鎖性海域における流動・水質シミュレーション,感潮河川における浮遊汚泥の挙動シミュレーション,河川舟運を利用した水質改善シミュレーションなどを行った.

Comprehensive understanding of mechanism of laser-produced magnetic field generation.

著者(所属)|Ryunosuke Takizawa(Institute of Laser Engineering, Osaka University)

目的 実験結果とシミュレーション結果との比較をするために、大型計算機が必要なため利用する
内容 プロトンによって電磁場を撮影したデータと粒子輸送のシミュレーションとを比較することによって、どの様な電磁気力が働いていたかを調べる。

結果 まだ環境構築の段階なのでシミュレーション結果はありません

航空機交通流分析のためのインタラクティブ大規模可視化

著者(所属)|安福健祐(大阪大学サイバーメディアセンター)

エージェントベースの航空機交通流シミュレーション結果およびCARATSオープンデータ等の実際のフライトデータから航空機の軌跡やその他の情報を効果的に可視化するため、本センターの24面大型立体表示システムに対応した。一般的なディスプレイよりも大型で12Kという高解像度のタイルドディスプレイウォールを用いることで、画面に日本全体を表示しても、視野全体で個々の航空機の動きを直観的に把握することができた。また、ステレオ立体視にも対応しており、平面図視点で表示しても、航空機の高低差を立体視によって確認することができた。

コロイドガラス平均場理論の数値解析

著者(所属)|吉野 元(阪大サイバーメディアセンター)

最近我々が開発した並進・回転自由度を併せ持つ粒子系のガラス転移に関する平均場理論を用い、パッチコロイドよび楕円体コロイドにおける並進・回転自由度のガラス転移を解析した。具体的にはこの平均場理論によって与えられる状態方程式を数値的に解き、並進・回転自由度のガラス秩序パラメータなどの振る舞いを解析した。SX-ACEでのベクトル化・並列化(openmp)を用いることにより、状態方程式の解析で必要な多重積分を高速に実行することができた。その結果、広いパラメータ領域での解析を行い、相図を明らかにすることができた。

ニュートン流体・粘弾性流体の壁面せん断流の遷移過程

著者(所属)|①塚原 隆裕、河田 卓也、森松 浩隆、藤村 俊介、竹田 一貴 ②明智 ゆき、田中 椋、仁村 友洋、山崎 広哉、、新田 圭、冨岡 武、福田 雄大、花房 真輝(①東京理科大学理工学部機械工学科 ②東京理科大学大学院理工学研究科機械工学専攻)

壁面せん断流の亜臨界乱流遷移において,その遷移過程と発現構造は複雑で,理論的アプローチが困難である.特に,ポリマー溶液などの粘弾性流体という非ニュートン流体となれば,ポリマー応力などの付加的応力やレオロジー特性時間(緩和時間)に依存してより複雑な遷移過程を呈する.本研究では,Giesekus粘弾性モデル流体流れの直接数値シミュレーションを行い,低レイノルズ数下での粘弾性による流動構造の変化や(ニュートン流体を含む)乱流遷移過程の変化を調査した.今年度は他に,テイラークエット流や,分散性粒子を含む固液二相流,OpenFOAMを用いた気液界面を含むミリスケール液滴・液膜の解析などを行った.

GPUプログラミングの教育・普及活動

著者(所属)|大阪大学数理・データ科学教育研究センター(大阪大学)

OCTOPUSを利用したワークショップを開催し、GPUプログラミングの実習を行った。

大規模数値シミュレーションによる3次元ハイゼンベルグ スピングラス模型の カイラルグラス相転移の解析

著者(所属)|小川匠(大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻)

磁性体において、相互作用の競合とランダムネスの効果によってスピンが空間的にランダムな方向に凍結したスピングラス秩序状態の本質を明らかにするこが本研究の目的である。スピングラスの実験結果を説明し得る有力なシナリオであるKawamuraによって提唱されたカイラリティ仮説を検証すべく、等方的3次元Heisenberg スピングラスについて、先行研究を超えるサイズであるL=48 (スピン数N=L3)までを、周期的境界条件および自由境界条件の二種類の境界条件の下でモンテカルロシミュレーション( 熱浴法 + over-relaxation 法 + 温度交換法)を行い、グラス転移温度TSG,TCGの精度の高い決定を行った。
その結果、転移温度がTSG=0.130(1)、TCG=0.143(1) と求まり、カイラリティ仮説の核となるspin-chirality 分離を支持する結果が得られた。

Ab initio approach to light nuclear systems based on quantum chromodynamics

著者(所属)|Hidekatsu NEMURA(RCNP Osaka University)

Comprehensive study of generalized baryon-baryon interaction including strangeness is one of the important subject of nuclear physics. In order to obtain a complete set of isospin-base baryon interactions, we perform a large scale lattice QCD calculation with almost physical quark masses corresponding to $(m_{\pi}, m_{K})\approx(146,525)$~MeV and large volume $(La)^4=(96a)^4\approx(8.1~{\rm fm})^4$. A large number of Nambu-Bethe-Salpeter correlation functions from nucleon-nucleon to $\Xi\Xi$ are calculated simultaneously. For the moment, we focus on the strangeness S=-1 channels of the hyperon interactions by means of HAL QCD method. Scattering phase shifts are calculated for $\Sigma N (I=3/2)$ system.

凝固しつつある液体乱流の直接数値シミュレーション

著者(所属)|太田 貴士(福井大学)

フェーズフィールド法と乱流の直接数値シミュレーションを組み合わせて,固液相変化を伴う乱流境界層を再現した.その結果,流れ場の瞬時構造の観察から,乱流の擾乱によって初期の凝固組織が発生していた.その後,主流によって下流に移流しながら,壁面形状が上流に向かって成長していた.壁付近の乱流に存在する流れの瞬時構造に対応した凝固組織が生成され,生成された凝固組織によって乱流構造が変化することが明らかになった.

超音速燃焼を考慮した圧縮性粘性流れの数値解析法に関する研究

著者(所属)|坪井伸幸(九州工業大学 大学院工学研究院 機械知能工学研究系)

マッハ数3程度の超音速空気流中に音速の水素が噴射した場合の衝撃波/境界層干渉と水素拡散の挙動を明らかにするために,化学種の質量保存を含む3次元非定常圧縮性粘性解析を行った.大規模な並列を行うことで,効率的に計算結果を得ることが可能となった.そして,噴流の上流側のせん断層や噴流背後の後流域において渦構造が存在し,空気と混合していることが分かった.

乱流および多相流のシミュレーション

著者(所属)|梶島岳夫・竹内伸太郎・大森健史・岡林希依(大阪大学 工学研究科 機械工学専攻)

二相乱流、二相伝熱、流体構造連成解析、界面および濡れの現象などを対象として、差分法、有限要素法、分子動力学法による新たな解析方法の開発、現象の予測とモデリングに関する研究をしている。

電離層プラズマ中の電位分布に関するシミュレーション

著者(所属)|山中千博(大阪大学大学院理学研究科 宇宙地球科学専攻)

スーパーコンピューターを用いた大規模粒子シミュレーション( Particle In Cell ; PIC )を実施し、電離層プラズマ中の電位分布を評価した。

配列リード直接比較によるゲノム構造変異解析法の開発

著者(所属)|加藤 有己(大阪大学大学院医学系研究科)

腫瘍由来のゲノム構造変異や、ゲノム編集で生じ得るオフターゲット変異を、簡便かつ高精度に検出する計算方法が求められている。本研究では、正常サンプルおよび変異サンプルのハイスループットシークエンサーから得られる配列リード群を直接比較することで、ゲノム参照配列へのマッピングが原則不要で、かつ複雑なフィルタリングも不要な変異検出法Bivartectを開発した。シミュレーションデータでは、Bivartectは既存手法に比べて同等以上の精度を達成した。また、実際のゲノム編集データで、他手法に比べて候補変異数が圧倒的に少なく、かつ既知の変異を含んでいることから、提案手法は変異検出における擬陽性率の低減に貢献すると期待される。

2次元放射流体シミュレーションコード開発

著者(所属)|①砂原 淳 ②城﨑 知至(①Purdue大学原子力工学科/大阪大学レーザー科学研究所 ②広島大学 大学院工学研究科)

レーザー生成プラズマのダイナミクスを解析するための2次元輻射流体シミュレーションコードstar2dの開発・改良を行った。本年度はベースとなる流体スキームの改良(2温度1流体の圧縮性非理想気体Eulerコードに対して、質量・運動量・エネルギー保存を保証するスキームの導入)、多種物質対応、熱伝導・輻射輸送・状態方程式等物理モデル並びに解法の改良を行った.また、2次元レーザー光線追跡計算ルーティンを作成・導入し、現実的なレーザー集光条件や斜入射条件でレーザー生成プラズマのダイナミクス解析を可能とした。レーザー核融合の爆縮から核燃焼までの一貫した計算・解析を行うために、核融合点火・燃焼ルーティンを結合した。

並列分散機械学習の資源割り当て方式に関する研究

著者(所属)|杉木章義(北海道大学情報基盤センター)

(目的)本研究では,近年の機械学習の中核である並列分散SGD(Stochastic Gradient Descent)に対して,学習時間の改善に関する研究を実施した.
(内容)大阪大学OCTOPUSが有するGPUノード,汎用CPUノードなどのさまざまな計算機で,並列分散化された学習タスク間で学習時間にばらつきが生じることを確認し,各タスクの学習時間をリソース割り当ての工夫により,平準化することで,改善することを試みた.
(結果)特に学習の遅れたタスクはstragglerとして知られており,広く改善が必要である.所属機関を含む他拠点の計算資源での研究の展開や,翌年度以降の研究に向けた知見が得られた.

負熱膨張物質Ca2RuO3.75 の第一原理フォノンモード解析

著者(所属)|石井明男,上馬場洋介,山添恵介(大阪大学 基礎工学研究科)

目的 負熱膨張材料Ca2RuO3.75における負熱膨張はその熱膨張の異方性に起因すると言われている.本研究では第一原理フォノンモード解析を用いてその線熱膨張係数の異方性を確認するとともに異方性の原因となるフォノンモードを特定する.
内容 図1のようなCa2RuO4よりO原子を一つ抜去したCa2RuO3.75のスーパーセルモデルを作成し,それを用いてフォノンモード解析を行った.各軸に対応する線熱膨張係数を計算し,異方性熱膨張の存在を確認した(図2).異方性熱膨張を引き起こすフォノンモードは低周波数のモードであり,O原子が大きく振動するモードであることがわかった.

Development of data-driven grand canonical Monte Carlo method

著者(所属)|Ei Kasuya, Shuhei Shinzato, Shigenobu Ogata(Graduate School of Engineering Science, Osaka University)

原子構造緩和の効果を考慮するグランドカノニカルモンテカルロ法では、原子浴の緩和計算に多大な時間を要するため、これをデータベース化して用いることにより高速化を実現した。データベースを用いることにより100,000原子程度の粒子浴を用いる場合に約100倍程度の高速化が実現できた。本手法を用いて金属粒界への固溶元素の偏析の解析を行い、偏析量の固溶元素濃度依存性、環境温度依存性、粒界性格依存性が解析可能であることがわかった。

勾配流法を用いたNf=2+1 QCDのエネルギー運動量テンソルの研究

著者(所属)|谷口裕介(筑波大学計算科学研究センター)

宇宙最初期に存在した、原子核の超高温状態であるクォーク・グルーオンプラズマ(QGP)の性質を研究する。特にエネルギー運動量テンソル(EMT)を用いて、QGPの熱力学的及び流体力学的な性質を探る。計算手法としてはウィルソンフェルミオンで構成された格子QCDを採用し、EMTの定義にgradient flowを用いた非摂動論的な繰り込みを利用している点に特色がある。
本公募研究ではクォークの質量を現実と同じ物理的な値に置いた計算を実施した。物理的なクォーク質量における計算には既に前年度から取り組んでいたが、温度190 MeV以下にあるはずの相転移点を観測できないでいた。本研究では温度122, 137 MeVにおけるゲージ配位の生成を行い、相転移点の確認を主目的として設定した。
下図はカイラル対称性に関するカイラル感受率を温度の関数として描いたものである。そのピークの位置がカイラル対称性が回復する相転移点を表す。図から明らかなように137 MeV付近にピークがあることが示唆される。

両面研磨加工におけるウェーハ厚さむら抑制のための加工条件最適化

著者(所属)|小川 貴大(大阪大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 榎本研究室)

半導体デバイスの性能および生産性向上のため,基板材料であるシリコンウェーハの両面研磨加工では表面を高平坦に仕上げる,すなわち厚さむらを極めて小さくすることが強く求められている.そこで本研究では,ウェーハ-研磨パッド間およびウェーハ-キャリアホール内壁間の摩擦と,ウェーハ-研磨パッド間の圧力分布を考慮した両面研磨加工モデルを構築し,そのモデルを用いて加工条件を最適化し,実際に厚さむらを安定して抑制できることを加工実験により明らかにした.

前進・後退接触角の非対称性

著者(所属)|大森 健史(大阪大学 工学研究科 機械工学専攻)

分子動力学法を用いた解析結果から前進接触角と後退接触角の接触線速度に対する依存性には非対称性があり,その原因は流れによって誘起される密度分布の非対称性にあることを明らかにした.

仮想心臓モデルによる心臓電気現象シミュレーション

著者(所属)|①稲田慎 ②原口亮 ③芦原貴司 ④中沢一雄(①森ノ宮医療大学保健医療学部,国立循環器病研究センター ②森ノ宮医療大学保健医療学部,国立循環器病研究センター ③滋賀医科大学循環器内科・不整脈センター,国立循環器病研究センター ④森ノ宮医療大学保健医療学部,国立循環器病研究センター)

目的:スーパーコンピュータ上に仮想心臓モデルを構築し,電気生理学シミュレーションを行うことで致死性不整脈のメカニズム解明や,予防・診断に役立たせることを目的している.内容:心筋細胞の電気的興奮に伴う電位変化(活動電位)を再現することが可能なユニット約2,000万個を組み合わせて心室形状モデルを構築した.モデルには,心外膜から心内膜にかけての電気生理学的性質の不均一性を組み込んだ.本研究では,遺伝性の心臓疾患の一つであるブルガダ症候群を想定し,心筋組織内の電気的興奮伝導障害の領域を設定し,伝導障害と心室性不整脈の誘発性および持続性との関係について検討した.その結果,伝導障害領域から正常な心筋組織への不規則な電気的興奮の広がりが不整脈発生のきっかけになることが明らかになるとともに,伝導障害領域が不整脈の持続性にも関与していることが明らかとなった.また,不整脈の誘発性や持続性は,伝導障害領域の部位,伝導障害領域の大きさ,障害の程度などが影響することも明らかとなった.さらに,同一の心臓モデルを用いた研究として,心室内からの不規則な電気的興奮(期外収縮)に伴う不整脈の発生機序を検討するとともに,心電図の特徴量の変化を解析することで,不整脈の発生起源を推定するための研究も併せて行った.

2次元電子系のハイブリッド型電荷秩序パターン

著者(所属)|岩野薫(高エネルギー加速器研究機構)

2次元電子系においては、電子が規則的に並んだ電荷秩序が発生するが、既知のパターンに加え、特に新しいハイブリッド型の秩序が大サイズの系で発生する可能性に興味がある。今回は、電荷自由度に注目したスピンレスフェルミオンモデルを6×6および8×4の格子サイズで、その基底状態を全運動量(良い量子数)を使って分類しつつ厳密に求めた。結果として、特に次近接クーロン斥力が比較的大きい場合を扱い、その場合の基底状態を求めたところ、ハイブリッド型が少なくとも全運動量=(0, π) において最安定状態になり得ることが分かった。

Gas adsorption and electron transport properties of doped graphene

著者(所属)|藤本義隆(東京工業大学理学院)

第一原理密度汎関数計算を用いて、グラフェンへのガス吸着による電子輸送特性に与える影響について調べた。 一酸化窒素分子や二酸化窒素分子がグラフェンに強く吸着し、その結果、電気伝導度が変化することが分かった。また、電気伝導度は吸着分子の種類に依存することも明らかになった。

Hydrodynamic simulation of HEDP Experiment

著者(所属)|Chang LIU(Osaka University,Institute of Laser Engineering)

We use the FLASH code to simulate the experiment. Six laser beams illuminate a low density (1mg/cc) foam filled Polyimide cylinder and turned the foam into plasma. An initial parallel seed magnetic field is compressed by the laser-produce plasma.

海洋中の乱流と混合に関する数値実験的研究

著者(所属)|吉川 裕、牛島 悠介、藤原 泰(京都大学大学院理学研究科)

海洋表層では風により発生する乱流により、活発な鉛直混合が生じ混合層と呼ばれる鉛直一様な層が形成される。この混合層の深さ(D)は、半慣性周期(π⁄(|f|)、fはコリオリ係数)のうちに1.5 U_*⁄√(N|f|)(U_*は風応力から決まる摩擦速度、Nは成層強度)程度にまで急速に深まることが知られている。多くの研究ではこの深度をDの代表値(すなわち定常値)として用いているが、実際にはDは時間変化するため、場合によっては不適切である。そこで、新たにラージ・エディ・シミュレーションを行い、その時間変化を調べたところ、5慣性周期後のDは半慣性周期の1.66倍にもなっていることが分かった。さらにパラメターを変えて実験した結果、Dの時間変化はD=1.7 U_*⁄√(N|f|) ((|f|)⁄N)^0.008 ((|f|t)⁄2π)^0.19と統一的に表されることを見出した。

Thermal stability of single-domain antibodies estimated by molecular dynamics simulations

著者(所属)|Narutoshi Kamiya(Graduate School of Simulation Studies, University of Hyogo)

Antibodies bind to antigens with high specificity and affinity and have complementarity-determining region (CDR) loops, which play an important role in antigen binding. Single-domain-antibodies, sdAbs, function like regular antibodies, however consist of only one domain. Because of their low molecular weight, sdAbs have advantages with respect to production and delivery to their targets. For applications such as antibody drugs and biosensors, an sdAb with a high thermal stability is required. In this work, we chose seven sdAbs, which have a wide range of Tm-values and have known structures. We then applied molecular dynamics (MD) simulations to estimate their relative stability and compare them with the experimental data. Here, high temperature MD simulations at 400 K and 500 K were executed with simulations at 300 K as control. The fraction of native atomic contacts, Q, measured for the 400 K simulations showed a fairly good correlation with the Tm-values. Interestingly, when the residues were classified by their hydrophobicity and size, the Q-values of hydrophilic residues exhibited an even better correlation. Measuring the Q-value on a per-residue level enabled us to identify residues that contribute significantly to the instability and demonstrate how our analysis can be used in a mutant case-study.

構造関数モデルを用いた二次元乱流噴流のLES

著者(所属)|吉田尚史,佐藤遼馬,西川春香(信州大学工学部 )

構造関数モデルを用いたLarge Eddy Simulationで二次元乱流噴流の発達を調べることを目的とする.レイノルズ数6000, 10000の二次元乱流噴流をLESで計算し,統計量を実験値と比較し解析した.構造関数モデルは数値的に安定で,時間平均速度や乱れ強さは実験値と一致する結果が得られた.

フォトニック結晶導波路中の光波の伝搬解析

著者(所属)|森藤 正人, 山口 拓也(大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 先進電子デバイス基礎領域)

帯域幅が従来よりも大きい、新たなフォトニック結晶導波路を提案し、伝搬特性を解析した。計算には3次元FDTD法を用いた。計算の結果、従来よりも伝搬損失が同等かそれ以下であるという評価をすることができた。

直接撮像法による若い恒星周りの太陽系外惑星探査、および気球搭載型遠赤外線干渉計望遠鏡の開発

著者(所属)|須藤 淳(大阪大学 理学研究科 宇宙地球科学専攻)

目的:SEEDS (Strategic Exploration of Exoplanets and Disks with Subaru)プロジェクトによる太陽系外の巨大ガス惑星の探査、および気球搭載遠赤外線干渉計FITE(Far-Infrared Interferometric Telescope Experiment)の開発。
内容:すばる望遠鏡を用いて年齢が1億年程度の恒星を撮像観測したデータを解析した。また、開発中のFITE構体の強度を計算するため構造解析を行なった。
結果:2009年10月から2015年1月までで40天体を観測し褐色矮星を3つ(うち1つは新規発見)を発見した。また、FITEは2019年以降の打ち上げに向けて開発を進めている。

自由噴流の混合制御に関する数値シミュレーション

著者(所属)|辻本公一(三重大学大学院 工学研究科機械工学専攻)

2つの噴流を配置した自由/衝突噴流を間欠的に噴出させるダイナミック制御と、単独の開花噴流のDNS(Direct Numerical Simulation)を行い,流動・混合/伝熱特性を評価した.自由噴流の場合,上流側で渦構造が間欠的に形成され,特定の制御周波数及び噴流間隔で,噴流が分岐し発達すること,周囲との混合が著しく促進されることを明らかにした.衝突噴流の場合,噴流間距離に関わらず噴流間の吹上げが抑制され,噴流間の伝熱特性が大きく改善されることを明らかにした.開花噴流について流動特性と混合・拡散特性を定量的に評価した結果.通常の自由噴流と比較して,開花噴流はより高い混合性能を有することを明らかにした.

Structure and Dynamics of Water at Water-Graphene and Water-Hexagonal Boron Nitride Sheet Interfaces Revealed by Ab Initio Sum-Frequency Generation Spectroscopy

著者(所属)|Tatsuhiko Ohto(Graduate School of Engineering Science, Osaka University)

シュレディンガー方程式を解いて原子に働く力を計算する第一原理分子動力学法(ab initio molecular dynamics, AIMD)を初めて水中のトリメチルアミンオキサイド(TMAO)と尿素に適用した。計算の結果、AIMDではこれまでの理解と反し、TMAOと尿素が直接水素結合する構造は不安定であるという結果が得られた。

半導体中のエキシトン状態と酸化物中の強相関電子状態のシミュレーション

著者(所属)|草部浩一(大阪大学基礎工学研究科)

エキシトン状態や酸化物中の強相関電子状態を、有効相互作用をもつ強結合模型を組み合わせて表現する多配置参照密度汎関数理論(MRDFT)での有効相互作用の評価方法を開発し、実施例を与えることを目的とした。そのため、絶縁性有機結晶と銅酸化物での有効相互作用決定のための、基礎データを与えた。結果として、準粒子励起間の遮蔽相互作用もMRDFTで定義できることを確認した。Nd2CuO4でのf電子でも多重項ごとのワニエ状態の広がりにより大きくUfの値が変わることを明らかにした。

Kinetic Monte Carloモデルを用いた転位運動解析に基づく合金材料の固溶体効果の非経験的予測

著者(所属)|新里秀平(大阪大学大学院基礎工学研究科)

合金材料の強度制御手段の一つである固溶体効果は材料中の転位と合金元素との複雑な相互作用により強い非線形性を持つ。このため新規合金材料開発プロセスにおいては経験的な強度予測は困難である。本研究では合金材料の固溶体効果を非経験的に予測する枠組みを構築することを目的として、原子モデリングに基づき非経験的に獲得された転位と固溶原子の相互作用パラメータを導入した動的モンテカルロモデルを構築し、転位運動に対して固溶原子、温度、付加応力が与える影響を転位の移動速度を求めることで解析した。得られた転位の移動速度より鉄基合金の降伏強度の非経験的予測を行なった。

ソフトウェアテストのためのテスト設計

著者(所属)|土屋達弘(大阪大学大学院情報科学研究科)

組み合せデザインの一種であるローケーティングアレイを生成する.ローケーティングアレイは,ソフトウェアのテストにおいて,故障検出と特定を可能にするテスト集合として利用できる.具体的な方法は,ロケーティングアレイの存在判定をブール式の充足可能性問題に帰着して,Glucose SATソルバを用いて解くことである.実験の結果,いくつかの問題例について,これまででは最小のロケーティングアレイを発見できた.

DNSを用いた乱流予混合火炎の数値PIV計測に関する検討

著者(所属)|坪井 和也(岡山大学)

乱流予混合火炎において重要な特性のうち,火炎変位速度を求めるために必要な局所流速の計測精度を評価するため,DNSデータを用いて現実のPIVにより近い数値計測手法を構築する.
3次元DNSによって構築された乱流予混合火炎のデータに対してサブピクセル補間を用いた数値PIV計測を行うことで,本来の数値計算によって算出される局所流速と数値PIV計測によって計測された局所流速の値を比較し,計測された局所流速にサブピクセル補間が与える影響を調べた.
本研究の条件下において,数値PIV計測にサブピクセル補間を用いた場合と用いない場合とでは,サブピクセル補間を行った場合の方がDNSと数値PIV計測の局所流速の間に高い相関が見られた.

脈動乱流場における運動量と熱輸送の非相似性に関する直接数値シミュレーション

著者(所属)|小田 豊(関西大学システム理工学部)

エンジン筒内の熱損失を高精度に予測する乱流伝熱モデルの開発を目標に,その基礎的な乱流場である脈動を伴う乱流熱伝達場を対象として,運動量輸送と熱輸送の相似性について検討を行った.H30年度はエンジンの低速~中速回転数域に対応する脈動条件(周波数10~80Hz)において平行平板間の脈動乱流熱伝達の直接数値計算を実施した.その結果,周波数が大きくなるほど運動量/熱輸送の非相似性が強まることが分かった.

Large scale atomistic simulation of crack propagation in amorphous metals

著者(所属)|Hongxian Xie, Akio Ishii, Shigenobu Ogata(Graduate School of Engineering Science, Osaka University)

大規模分子動力学シミュレーションにより金属アモルファスを作成し、作成した原子モデルに対して同シミュレーション手法を用いてせん断負荷を印加することにより、金属アモルファス材料中のき裂成長過程を解析した。その結果、切り欠き部から原子ひずみの高い領域が帯状に形成され、せん断き裂が成長する過程が観察できた。き裂が途中で細かく分岐すること、き裂成長に伴ってき裂部の温度が摩擦により上昇することがわかった。

次世代シーケンサーデータの解析パイプライン構築

著者(所属)|松本 悠希(微生物病研究所 遺伝情報実験センター 感染症メタゲノム研究分野 )

目的:次世代シーケンサーから出力されるデータは膨大であり,解析には多大な計算資源を要する.そこで共同研究用に次世代シーケンサーデータの解析パイプラインを構築し,計算資源のバックアップとしての利用検討を行う.
内容:OCTOPUS上で実行可能な解析環境を構築し,解析を行った.
結果:我々が独自に導入している計算機群と同様の解析環境を,OCTOPUS上に構築・実行できることが確認できた.一方で,共同利用していることから来るジョブ実行までの待ち時間や,ストレージやジョブ管理における差異についてはユーザ側で対処する必要があることが分かった.

並列プログラム生成系FlintにおけるSX-ACEプログラムのアクセスパターンの改善

著者(所属)|置田 真生,石田 祐二郎,萩原 兼一(大阪大学 大学院情報科学研究科)

本研究では,不規則なアクセスパターンを持つSX-ACEプログラムを対象に,メモリアクセス性能の高いアクセスパターンへ変換する方法を探る.
SX-ACEでは,ベクトル化の対象となる配列の定義および参照において,配列要素へ線形アクセスを行う場合にアクセス性能が高い.そこでベクトル化されるループの順番を入れ替えることでアクセスパターンを線形に変換する最適化手法が存在する.ただし,複数のベクトルデータ間で参照する配列要素に重複がある場合,線形アクセスの最大化には組み合わせ最適化を解く必要がある.
本研究は,メモリアクセス性能の高いアクセスパターンを貪欲法に基づいて求める手法を提案する.ベクトルデータごとの空間局所性を定量的に予測し,局所性の向上を期待できる順にループの順番と配列要素の配置を決定する.大規模な心筋細胞の膜電位シミュレーションプログラムに適用した結果,単純な手法と比較して,線形アクセスの割合を30%から60%に増大し,実行時間を最大15%削減した.

Atomistic simulation of nucleation of twin in Mg crystal

著者(所属)|Akio Ishii, Keisuke Yamazoe, Ryo Henzan, Shigenobu Ogata (Graduate School of Engineering Science, Osaka University)

双晶核生成過程の原子構造変化の詳細を調べることで核生成プロセスを原子レベルで明らかにすることを目的として、4000原子を含むHCP解析モデル結晶をMEAMポテンシャルで駆動し、300Kおよび2.8GPaの有限温度・有限せん断応力下で分子動力学解析を実施し、核生成過程を観察した。その結果、生成した核の境界がBP(Basal-Prism)境界、PB(Prism-Basal)境界、双晶境界によって構成されていることがわかった。また、核の成長(境界の移動)は、一様せん断変形と、原子対の回転(シャッフリング)がカップリングして実現されていることもわかった。

微細半導体素子のシミュレーション

著者(所属)|森 伸也,梶原 祐磨,牧平 真太朗,金 成雨(大阪大学大学院工学研究科)

極めて微細な半導体素子において,量子力学的な効果が,デバイス特性に与える影響を調べることを目的とした.
非平衡グリーン関数法を用いた電子・フォノンの連成輸送計算,Barker-Ferry方程式を用いた高電界輸送特性解析,量子ドリフト拡散モデルに基づくナノシートトランジスタのシミュレーションを行った.
電子・フォノン連成シミュレーションでは,ドラッグ効果によるフォノン熱コンダクタンスの変化を確認した.また, Barker-Ferry方程式を零固有値問題に帰着して解くことに成功した.さらに,ナノシートトランジスタのシミュレーションを行った結果,古典的な手法では,電子は周辺部に多く分布するが,量子論では,中央に多く分布することなどが分かった.

開いたキャビティを過ぎる三次元非圧縮流れにおける渦構造のシミュレーション

著者(所属)|吉田尚史,成田翔,角田雄太(信州大学工学部)

開いたキャビティを過ぎる三次元自励振動流の渦構造を解析することを目的とする.キャビティアスペクト比2.0について直接数値シミュレーションを実行し,自励振動と渦構造を可視化した.せん断層とキャビティ内の循環渦の縦渦構造を可視化し、縦渦構造の時間発展を調べた.

Captionから高解像・多フレームな動画を生成するための深層学習モデルの改良に関する研究

著者(所属)|①村田征矢 ②李天鎬(①大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻 ②大阪大学サイバーメディアセンター先進高性能計算機システムアーキテクチャ共同研究部門)

Generative Adversarial Network (GAN)モデルを活用したCaption(文章)からの高解像・多フレームな動画を生成する時に生じる空間的、時間的、意味的問題に対して、動画生成の多段階化、Temporal Generatorの導入、Caption中の単語の活用を行いGANモデルを改良した.提案手法が既存手法(TGANs-C)よりも、Captionに忠実で鮮明な動画をより高解像・多フレームで生成できることを確認した.

肺気道を考慮した三次元肺音シミュレーション

著者(所属)|①伊井仁志 ②竹田圭佑、和田成生(①首都大学東京大学院システムデザイン研究科 ②大阪大学大学院基礎工学研究科)

肺音において,肺気道の経路構造が肺内の音伝播および肺外への音放射に与える影響を明らかにするため,気道,肺実質・間質内および肺外部での伝播を再現する多媒質弾性波モデルに対し大規模並列シミュレーションを行った.肺気道の影響として,その経路構造は肺内の圧力伝播に,また,その存在が肺全体の振動挙動および肺外への音放射にそれぞれ影響を与えることを示した.

混相流数値シミュレーション

著者(所属)|杉山 和靖(大阪大学 大学院基礎工学研究科)

VOF法/MTHINC法,Boundary Data Immersion法に基づく気液二相,流体構造連成コードの整備を進め,MPI並列版の動作確認を行なった.OCTOPUSを使用してのプロダクトランは行なわなかった.

Deep learning network by efficient discretisation of stochastic differential equation

著者(所属)|Shuhei Miyamoto(Graduate school of engineering science Masaaki Fukasawa, Graduate school of engineering science)

深層学習の層の設計において、近年そのパフォーマンスの良さが注目されているResNetなどは、ODEなど連続時間のダイナミクスの離散化として解釈できることが指摘されている。そこでランダマイズした層の設計のために、SDEの離散化に関する最新の知見を応用し、既存手法より少ないパラメータ数、したがって少ないメモリ使用で、同等の精度の判別精度を得ることが出来た。

ファイバ中の誘導ブリルアン散乱を用いたフォノン寿命限界を超える光パルス圧縮

著者(所属)|松本正行、木曽一志(和歌山大学システム工学部)

誘導ブリルアン散乱(SBS)は互いに逆方向に伝搬する光波間の増幅・非線形過程であり、高出力・大電力の光パルス圧縮が比較的容易に実現できる。本研究では、ファイバ中のSBSを用いたパルス圧縮に関して、ファイバに入力する光パルス幅と入力パルスの立ち上がり時間を制御することによって、媒質のフォノン寿命よりも小さいパルス幅への圧縮が可能であることを数値計算によって明らかにした。

噴流-エッジ系における自励振動流のシミュレーション

著者(所属)|吉田尚史,松村竜典,長岡弘樹(信州大学工学部 )

噴流がエッジに衝突すると噴流が上下に発振する.噴流エッジ間距離を変え振動の変化を調べることを目的とした.噴流-エッジ間距離5から7まで変化させた計算を行い,流れ場や渦構造を可視化した.エッジ先端近傍の速度波形が変化し、渦の数が変化することによって振動モードの変化が起きることを明らかにした.

爆轟現象の解明とその応用に関する研究

著者(所属)|坪井伸幸(九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学研究系)

水素/空気予混合気に対する詳細化学反応モデルを使用して,3次元の非定常圧縮性非粘性解析を行った.今年度は高次精度スキームを使用した3次元デトネーションについて解析を実施し,空間精度向上の効果を評価した.

レーザー核融合ロケットの実現に向けたプラズマ流の数値解析

著者(所属)|①枝本雅史, 山村徹 ②川邊智 ③森田太智(①九州大学大学院 総合理工学府 ②九州大学 工学部 ③九州大学 総合理工学研究院)

レーザー核融合ロケットの推進原理実証のために,star2Dコードを用いたプラズマの輻射流体シミュレーションを行った.解析対象はレーザー生成プラズマ,および,実機を想定した高温プラズマとした.レーザー生成プラズマについては,核融合ロケットの模擬実験として行っているレーザー生成プラズマ実験の解析・新規提案を目的とした.実機を想定したものについては,実機での仕様が想定されている様々なターゲット形状の検証および最適化を目的とした.

超音速 Batchelor 渦における線形不安定モードの発達

著者(所属)|比江島俊彦(大阪府立大学 工学域 航空宇宙工学分野)

超音速 Batchelor 渦における微小攪乱の成長を捉えるために,3つの差分精度スキームを使って線形攪乱の空間発達を調べ,発達する攪乱の固有関数分布から攪乱の増幅率と線形発達域を求めた。