Gaussianは、非経験的分子軌道計算プログラムとして広く使用されている ソフトウェアです。大規模計算機システムでは、バッチリクエストによる Gaussian16.C.01 の利用が可能となっております。
なお、Gaussianの利用は申請制としております。利用を希望される方は以下のページをご覧ください。
基本的な利用方法
本項では、OCTOPUSを使ってGaussianを実行する方法を解説しています。より詳細な利用方法を知りたい方は、Gaussian公式WEBページや公式WEBページ内のUser Referenceを併せてご参照ください。
Gaussianの実行は、バッチリクエストによる処理のみ許可しています。フロントエンドノードに接続し、計算に必要な入力データ、ジョブスクリプトを作成後、バッチジョブとして投入してください。
入力データ、ジョブスクリプトは、ローカル端末で作成するか、フロントエンドノードに接続し、vi, emacsなどのテキストエディタで作成します。エディタの使い方についてはエディタ利用方法ページをご参照ください。
入力ファイルの作成
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はじめに、入力ファイルを作成します。エディタを用いて、以下の例(水のシングルポイントエネルギー計算)を記入し、適当な名前で保存します。
ここでは、“single_point_energy_calc_on_water”という名前で保存しています。
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%Chk=water # HF/6-31G(d) water energy 0 1 O -0.464 0.177 0.0 H -0.464 1.137 0.0 H 0.441 -0.143 0.0 |
1行目 Link0コマンド行 | スクラッチファイルの位置と名前(終端に空行を入れません) この例では、チェックポイントファイルの場所と名前を指定します。 |
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2行目 | この例では改行が入っていますが、実際は必要ありません |
3行目 ルートセクション(# 行) | 行いたい計算のタイプ,モデル化学やその他オプションを指定(空行で終わりを示す) |
5行目 タイトルセクション | 計算の簡単な説明(空行で終わりを示す) |
7行目 分子指定 | 検討する分子系の指定(空行で終わりを示す) この例では、0 電荷(中性分子),スピン多重度 1 (一重項) |
8行目-10行目 | 分子中の各原子の位置を指定 |
11行目-12行目 | ファイルの終わりには必ず改行を入れてください。(改行が無い場合、エラーになります) |
入力ファイルについての詳しい説明は、公式WEBページ User ReferenceのAbout Gaussian 16 Inputをご参照ください
ジョブスクリプトの作成
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次に、ジョブスクリプトを作成します。こちらも、エディタを用いて、“oct_water.sh”として保存します。
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#!/bin/csh #PBS -q OCTOPUS #PBS -l elapstim_req=1:00:00 newgrp g03 setenv g16root "/octfs/apl/Gaussian/g16c01" setenv GAUSS_SCRDIR "/octfs/work/(グループ名)/(利用者番号)" source ${g16root}/g16/bsd/g16.login cd $PBS_O_WORKDIR $g16root/g16/g16 < single_point_energy_calc_on_water >& result |
2行目 | 実行キューを指定 | |
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4行目 | グループを変更 | |
5行目 6行目 | Gaussianの起動に必要な環境変数を設定しています。 | |
g16root | Gaussianのトップディレクトリ(使用するディビジョンに合わせて変更してください。上記の例ではB.01を使用しています。) | |
GAUSS_SCRDIR | スクラッチディレクトリが設定されます。ディレクトリを指定していない場合は Gaussianを実行したディレクトリがスクラッチディレクトリとなります。 | |
7行目 | 設定ファイルの読み込み | |
8行目 | ジョブ投入時のカレントディレクトリに移動しています。 | |
PBS_O_WORKDIR | NQSII用の環境変数で、qsubコマンドを実行した時のカレントディレクトリが設定されます。 | |
9行目 | Gaussian起動コマンド 作成しておいた入力ファイルをリダイレクト(<)で入力し、結果を“result”へリダイレクト(>)しています (標準出力/標準エラー出力ファイルは制限していますので、リダイレクト(>)を使いファイルに出力することをお勧めします。) |
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10行目 | 必ず空行を挿入してください。 |
※ジョブスクリプトの内容についての詳しい説明はジョブスクリプトの書き方ページをご参照ください。ここでは、Gaussian利用で必要な項目について説明します。
ジョブスクリプトの作成(GPU利用)
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Gaussian16はGPUでの演算に対応しております。GPU4枚を使用する場合のジョブスクリプト例は次のとおりです。
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#!/bin/csh #PBS -q OCTOPUS #PBS -l elapstim_req=1:00:00,gpunum_job=4 newgrp g03 setenv g16root "/octfs/apl/Gaussian/g16c01" setenv GAUSS_SCRDIR "/octfs/work/(グループ名)/(利用者番号)" source ${g16root}/g16/bsd/g16.login cd $PBS_O_WORKDIR $g16root/g16/g16 -c="0-23" -g="0-3=0-1,12-13" < single_point_energy_calc_on_water >& result |
Gaussian16でのGPU利用方法の詳細は、公式WEBページ User ReferenceのUsing GPUsをご覧ください。
ジョブスクリプトの投入
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入力ファイルとジョブスクリプトが完成したら、ジョブを投入します。
% qsub oct_water.sh (enter)
実行が成功すると、結果ファイル“result”に計算結果が保存されます。
参考情報