湾曲流路を流れるLi噴流内部の詳細な流動構造に関する研究

 

氏名:帆足英二

所属:大阪大学大学院工学研究科 環境エネルギー工学専攻

概要:核融合炉材料試験を実現するための核融合中性子源では、液体リチウム(Li)ターゲットに重陽子ビームを照射することで高エネルギー・高フラックス中性子場を形成するが、ビーム照射に伴う熱を除去するためにLiは高速で流される。施設の安全性や効率化を考える上で、液体Liターゲット内部の流動構造を詳細に把握することは重要な意味を持つ。そこで本研究では核融合中性子源で採用される湾曲流路を流れるLi噴流表面の状況やその内部の詳細な渦構造の把握を目的とし、LES計算を用いたLiターゲット流のシミュレーションを実施してきた。これまでは、実機サイズの1/2.5である阪大所有Liループを計算対象としてきたが、本研究では実機サイズを計算対象としている。膜厚は25mm、10mmであった阪大Liループモデルよりも計算体系そのものが大きくなる。噴流を形成する二段縮流ノズルとLi噴流部から成り、ノズル出口断面平均流速で15m/s条件の流量をノズル入口に設定した。Li噴流部はArガスとの気液二相流となっている。Li噴流は湾曲流路を流れており、流路幅方向は10mmとして周期境界条件を適用した。メッシュ数は約2100万、LES乱流モデルを用いて計算した。旧 日本原子力研究開発機構(現 量子科学研究開発機構)で実施された実機サイズのLiターゲット実験との比較を行い、計算結果が現象よく再現できていることを確認した。また、湾曲流路の底部近傍に形成される渦構造を捉え、それが成長していることを明らかにした。

 

論文掲載,発表実績:
(国際会議会議録掲載論文)

  • 32nd Symposium on Fusion Technology, 18th-23rd September 2022 in Dubrovnik, Croatia.
    発表予定(アブストラクト投稿済)




Posted : 2022年03月01日