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利用成果の提出・作成方法

 

過去の研究成果

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自己免疫疾患の病態理解のための1細胞単位での発現解析

著者|目次 正一
所属|大阪大学大学院医学系研究科先端免疫臨床応用学

内容 ここ5年間で1細胞単位での数千遺伝子のmRNA発現値を得る技術が大幅に進歩した。本研究では自己免疫疾患のサンプルを用い、健常成人と比較し発現変化した血球細胞種が存在するか、細胞数が増加/減少した血球細胞種が存在するか、の計算を実施した。
結果 メモリの多い大規模計算機の利用により、より多数の症例のより多細胞の同時解析が可能になった。現在計算継続中である。

環状構造を含む・絡み合う単環状ブロック共重合体の密度汎関数法

著者|冨吉 良徳、本田 隆
所属|お茶の水女子大学 ソフトマター教育研究センター

環状構造を含む一般的なトポロジー構造を持つブロック共重合体のミクロ相分離構造を予測する方法論は確立されていなかった。また絡み合いを持つ単環状ブロック共重合体の相挙動は、理想鎖統計に従わないために従来の方法論では予測することが出来ない。上記の問題を克服するため、理想鎖統計に従う任意のトポロジー構造を持つ/絡み合い持つ単環状ブロック共重合体の密度汎関数法(自己無撞着場理論・Ginzburg-Landau理論)を開発した。グラフ理論や中性子実験の知見を用いてそれぞれの理論を発展させシミュレーションを行うことで、対象とした系の相図や新規の準安定相を明らかにした。

加速演算装置を用いた相同性検索の評価

著者|木戸 善之
所属|岡山理科大学情報理工学部

遺伝子解析は相同性検索や発現量解析などを通じて,生理現象の鍵となるハブ遺伝子を見つけることが重要となる.
本研究では,遺伝子相同性検索および発現量時系列解析のアプリケーションを,演算加速装置(GPGPUあるいはベクトルプロセッサ)にて実行することで,効率化および最適化を目指す.

腎組織画像解析モデルの構築

著者|松井 功
所属|大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学

稀な糸球体変化 を検出することを目的として、深層学習モデルを構築した。Periodic acid-Schiff 染色腎組織画像をWSIスキャナーでデジタルデータ化し、パッチ画像に分割して学習データとした。稀な形態変化について、検出しやすい病変と検出しにくい病変を認めた。

EUV-FELナノ集光光学系の開発

著者|花田 翔
所属|大阪大学大学院工学研究科 物理学系専攻 精密工学コース

SACLAにおいて、硬X線自由電子レーザーXFELパルスの7 nm回折限界集光が達成され、原子物理学をはじめとする高エネルギー密度科学分野への応用が期待されている。我々は次の目標として実験可能な波長を広範囲に展開し、EUV-FELのナノレベル集光を達成し、物理学の新境地の開拓を目指す。EUVの波長は硬X線と比較して約100倍長く、ナノレベル集光のためには光学系作製技術と波面補正技術ともに高い技術が求められる。光線追跡と波動光学に基づく計算シミュレーションを行ったうえで、光学系を製作し、集光実験を行う予定である。

通電下における酸素欠陥を有する金属酸化物の表面状態の変化に関する理論的研究

著者|飯田 健二
所属|北海道大学触媒科学研究所

電力を利用する触媒反応について注目が集まっている。しかし、通電状態に関する理論計算研究はこれまで進んでこなかった。そこで、電子ダイナミクス計算プログラムSALMONを用いて、酸素欠陥を有する酸化チタン表面に水素原子が吸着した系の通電状態をシミュレーションした。そして電子占有数の通電による時間変化を解析したところ、水素が酸化チタン表面に吸着すると、通電によって電子構造がより大きく変化することが明らかになった。

グラフ機械学習を用いた空間オミクス解析法の開発

著者|加藤 有己
所属|大阪大学大学院医学系研究科

空間座標を保持したまま遺伝子発現情報を計測する空間トランスクリプトーム (ST) 解析が可能となった。これは画像情報も含まれる。複数モダリティのデータを統合する技術は発展途上であるため、マルチオミクスデータを統合して解析する手法を開発することを目指す。ここでは、グラフニューラルネットワークを用いてSTデータにおける細胞の埋め込みを学習した。具体的に、遺伝子発現量と画像情報を用いてグラフを構成し、グラフニューラルネットワークにより対照学習を行った。1サンプル空間クラスタリングの精度は既存手法と比べて同等以上を達成した。

Tsai型Ag-In-Yb準結晶表面に吸着したペンタセンの反応性に関する第一原理計算を用いた検証

著者|佐藤 壮紀
所属|鹿児島大学大学院 理工学研究科 総合理工学専攻

Tsai型Ag-In-Yb準結晶表面に吸着したペンタセン(Pn)分子の反応性を明らかにすることを目指し、密度汎関数理論による第一原理計算を用いて調査した。反応性の調査を行うための準備段階として、表面の詳細な吸着構造を調べたのち、当該吸着表面の差電荷密度等の反応性検証のための計算を行った。現時点でまでに準結晶表面に特有な傾向等は見いだせていない。詳細を明らかにするためには今後も調査が必要である。

銅電極触媒上におけるCO二量化反応の表面配位数依存性の解析

著者|神谷 和秀
所属|大阪大学基礎工学研究科太陽エネルギー化学研究センター

CO2またはCO電解還元において、銅系触媒のみが有意な速度かつ高活性に高付加価値物質(C2+化合物)を生成する。CO2およびCOからC2+化合物に至る重要な素反応であるCO二量化反応は、銅表面構造によって大きく左右されることが知られている。本課題では、CI-NEB法を用いて、異なる表面配位数(SCN =9, 8, 7)サイトでのCO二量化反応の活性エネルギーを評価することで、その表面配位数依存性を評価した。その結果、CO二量化後のOCCO中間体は表面配位数が小さいサイト(SCN = 7)よりも大きいサイト(SCN =9, 8)上で安定化され、その後の中間体還元反応が進行すると示唆された。

アカリオクロリス光化学系Iが持つスペシャルペアP740の電子状態計算

著者|鬼頭 宏任
所属|近畿大学 理工学部

アカリオクロリス光化学系Iの結晶構造をもとに、スペシャルペアP740の光誘起電荷分離後の電子状態をQM/MM計算によって求めた。量子化学計算プログラムはORCA の最新ヴァージョン6.0.1を用いた。P740(クロロフィルdとクロロフィルd’の2量体)をQM領域、タンパク質とその他の色素/補因子をMM領域に設定したQM/MM(UB3LYP-D3BJ/def2-TZVP:Amber99)計算を実行し、QM領域の構造最適化後にスピン密度を解析した。その結果、P740カチオンのスピン密度はタンパク質からの静電相互作用の影響によってBブランチ側クロロフィルに偏り、対称性が破られていることが分かった。

量子化学計算と分子動力学計算による電極界面イオン液体の挙動解析

著者|福井 賢一
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科

目的 電気化学デバイスにおけるイオン液体電解液と電極の界面のシミュレーション
内容 (1)量子化学計算による電解液の電子状態解析
   (2)分子動力学計算による電位に依存した界面電気二重層構造の解析  
結果 (1) Li+イオンを含むイオン液体電解液について,cation-anion間の相対配置と相互作用が吸収スペクトル(実験結果)に与える影響の評価ができた
   (2)電極電位に応じてLi+イオンを含むイオン液体電解液の電極近傍での振る舞いとアニオンに配位されたLi+イオンが正電荷をもつ電極にいかに接近するか解析できた

Nature Gas Disperion Simulation with OpenFOAM

著者|Amuro Halawa
所属|Kyushu University

Investigate the spatial distribution of natural gas concentration resulting from dispersion on a ship. We investigate the nature gas concentration spatial distribution in 200 seconds with different wind speed and monitoring points.

SQUIDにおける分散深層学習のスケーラビリティ向上

著者|高橋 慧智
所属|大阪大学 D3センター

SQUIDにおける分散深層学習のスケーラビリティを測定・改善することを目的とし、MLPerf HPCのCosmoFlowベンチマークをGPUノード上で実行した。大規模実行時にはストレージI/Oや集団通信がボトルネックとなることを特定し、データセット読み込みの並列化、前処理のGPUオフローディング、GPUメモリへのプリフェッチ、CPUコア割当の固定など多面的な最適化を実施した。その結果、1ノードで3.6倍、16ノードで2.4倍の性能向上を達成した。

Molecular Dynamics Analysis of Deformation and Fracture Process of WC-Co Cemented Carbides using Machine Learning Potential

著者|Ayaka Satani, Yusuke Nishii, Haruhi Ochi, Souma Tanaka, Junki Obata, Yuki Ando, Jiaqin Xu, Shihao Zhu, Yangen Li, Md. Hossain Rana, Shuhei Shinzato, Shigenobu Ogata
所属|大阪大学基礎工学研究科

本研究では、切削工具等に用いられる超硬セラミックスの変形・破壊メカニズムを理解することを目的として、タングステンカーバイド-コバルト(WC-Co)系のニューラルネットワークポテンシャルを構築し、これを用いた分子動力学法による焼結体の変形・破壊解析を実施した。その結果、構築したポテンシャルは、WCおよびCoの力学特性に関して第一原理計算の結果をよく再現することを確認した。さらに、構築したポテンシャルを用いた引張解析を実施し、焼結体のCo含有量を調整することにより変形・破壊モードが変化し、強度および靭性が向上することを示した。

高分子溶融体の冷却過程における結晶・ガラス構造の微視的構造の観察

著者|高橋 和義
所属|産業技術総合研究所

結晶性高分子の大規模分子系を徐冷・急冷する大規模分子シミュレーションの実施により、結晶化・ガラス化の挙動および微視的構造を明らかにした。

アンモニアおよび水素燃焼炉の数値解析

著者|堀 司
所属|大阪大学工学研究科

近年,燃焼過程からの二酸化炭素排出削減の観点から,アンモニアや水素などのカーボンフリー燃料の利用が注目されている.本研究では,アンモニアおよび水素燃焼を適用した燃焼炉から排出されるNOや未燃燃料の予測を目的とし,燃料の素反応を考慮した数値解析ソルバを開発している.これまで,MPIとOpenMPによるハイブリッド並列化に加え,ダイナミック・ロードバランシングおよび高速ODEソルバの導入により,計算時間の大幅な短縮を実現した.加えて,輻射モデルおよび固体-流体熱連成解析を組み込むことで,1MW級の大型燃焼炉の数値解析を可能とした.

物理シミュレーションとコンピュータビジョンのための幾何学的深層学習の開発

著者|松原 崇
所属|北海道大学 大学院情報科学研究院

データが持つ対称性などの幾何学的構造を保存する深層学習である幾何学的深層学習を開発し,物理シミュレーションとコンピュータビジョンに応用する.これによって,ニューラルネットワークを基底とした有限要素法の効率的な学習法の開発,連成学系の深層学習によるモデル化と構造の同定,データ空間の幾何学的構造の同定などを行う.

ディープラーニング手法を用いた一細胞レベルエンハンサー検出法の開発

著者|村上 賢
所属|大阪大学医学部

目的:組織は多種多様な細胞が環境に応答し、それぞれ異なる遺伝子発現を示すことによって機能している。そのためにはエンハンサーとよばれる遺伝子発現の制御領域が細胞ごとに異なる活動を示す必要がある。しかし現在の手法ではエンハンサー領域を一細胞レベルで同定することは不可能である。そこで深層学習手法とシングルセルデータから一細胞レベルでエンハンサー領域を決定する手法を開発する。
内容:まず遺伝子近傍のシングルセルATAC-seqデータから遺伝子発現を予測するニューラルネットワークを構築する。その後、予測結果に大きく影響を与えるATACピーク領域を解析し、エンハンサーとして決定する。
結果:エンハンサーの決定能を公開データを用いて検証したところ既存の手法より高いAUROCスコアを示した。さらに腫瘍患者由来のデータの解析では、腫瘍特異的な転写因子・エンハンサー領域を決定できただけでなく、腫瘍内で腫瘍浸潤に関連する転写因子ZEB1の活性に不均一性が存在することを検出できた。

触媒における欠陥の移動と光吸収のシミュレーション

著者|加藤 弘一
所属|東京大学生産技術研究所

水などが触媒(TiO2)の働きによってどのように分解し、その後どのような反応過程をするかを明らかにする。今回、TiO2触媒中の酸素欠損はTiO2触媒表面から内部方向に拡散し、内部において凝集し易いことが分かった。酸素欠損は触媒内部で安定とあり、2光子吸収に寄与すると分かった。

過冷却条件の液体乱流における凝固組織構造の形成メカニズムの解明

著者|太田 貴士
所属|福井大学

本研究では,液体乱流の過冷却凝固における凝固組織および凝固要素の構造の形成メカニズムの解明を目指した.そのために,壁乱流の直接数値シミュレーションとフェーズフィールド法を組み合わせて,過冷却条件において発達した壁乱流が凝固する様子を再現した.このとき,研究成果が計算条件の設定に依存しないことを示し,過去の研究に対して,計算領域の大きさと格子解像度の設定を見直した.さらに,固液混相の流れ場における流体の粘度の設定法を改良した.そして,乱流構造と凝固組織形態の関係性を観察し,過冷却条件の液体乱流における凝固組織構造の形成メカニズムを解明した.以上のような研究過程において,独自の解析手法の実現により可能になった大規模数値シミュレーションで凝固組織の形成メカニズムと乱流構造の関係性を調べたことにより,次の成果を得た.
 過冷却凝固開始時に発達した壁乱流における高速ストリークとヘアピン渦の存在によって,その後の凝固要素の分布が決まる.すなわち,乱流特有の空間スケールである粘性長さスケールで特徴づけられる乱流構造に応じた凝固組織が形成される.そして,形成された凝固組織は,乱流構造を選択的に変化させ,変化した乱流構造に対応して,新たな凝固要素が形成される.また,析出した凝固要素は,過冷却流体の影響を受け,特徴的な形状に成長する.これらの液体乱流中で形成される凝固組織の構造的特徴は,流れ条件に依存せず,異なるレイノルズ数においても,同様の傾向が見られる.以上のことより,凝固組織構造と乱流構造の関係性から,液体乱流における凝固組織構造の形成メカニズムを解明した.これらの成果の発展には,乱流構造の空間的な特徴と関連づけて,流れ場の熱伝達特性や流動抵抗の変化,材料強度に関する問題などの工学的な課題の解決に寄与できる.

可変長混合精度数値計算とその応用

著者|幸谷 智紀
所属|静岡理工科大学

複素基本線形計算,疎行列・ベクトル乗算をサポートした多倍長精度数値計算ライブラリBNCmatmulの新バージョンををSquid上で動作させ,オンプレマシンとの比較検討を行う土台を作る。2024年度はIntel One APIコンパイラを使用してのコンパイルと,AVX2を用いた基本線形計算部分の動作確認が取れた。

分子性結晶中の弱い分子間相互作用の解析

著者|桶谷 龍成
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科

多くの有機結晶は分散力や弱い分極に基づく静電相互作用によってその結晶構造を形成している。この分子間相互作用を正確に見積り、結晶構造の成り立ちを理解するためには、大きな基底関数系を用いた量子化学計算が必要である。本研究は水素結合性有機構造体をはじめとする有機結晶中の分子間相互作用を計算し、定量的に分子間相互作用を理解することを目指した。

AIによる組み合わせ最適化問題のソルバー技術開発

著者|浜田 伸一郎
所属|パナソニックコネクト株式会社 技術研究開発本部 知能システム研究所

目的 様々な組み合わせ最適化問題を、手作業によるヒューリスティックを少なく、あるいは全く使わずに解くアルゴリズムを自動的に構築するAI技術を開発する。
内容 深層学習を始めとする機械学習手法に基づく組み合わせ最適化問題を解く先行研究を評価し、これらの成果をもとにより効果的な改善モデルを開発する。
結果 以下2つの先行研究のモデルを巡回セールスマン問題に対して評価し、そこで明らかになった課題をもとにモデル改善のための切り口を蓄積した。

-Joshi, Chaitanya K., Thomas Laurent, and Xavier Bresson. “An efficient graph convolutional network technique for the travelling salesman problem.” arXivpreprint arXiv:1906.01227 (2019).
-Chen, Lili, et al. “Decision transformer: Reinforcement learning via sequence modeling.” Advances in neural information processing systems 34 (2021): 15084-15097.

爆轟現象の解明とその応用に関する研究

著者|坪井伸幸
所属|九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学研究系

水素/空気予混合気に対する詳細化学反応モデルを使用して,0.4気圧, 300 K,当量比1の水素空気予混合気が充填された,障害物を有する管内を伝播する3次元の非定常圧縮性粘性解析を行った.爆燃から爆轟への遷移について,計算手法の影響を評価した.数値計算手法としては,数値流束については2次精度MUSCLとHLLC,時間積分は3段階TVD ルンゲクッタ法,粘性項は2次精度中心差分,反応モデルは詳細反応モデルUT-JAXAモデルでpoint implicit法を用いた.また,火炎面の格子解像度を擬似的に向上させる,ATF(Artificial Thickened Flame)も用いてその効果を調べた,正方形断面は40 mm x 40 mmであり,格子点数は1900万点である.ATFの有無にかかわらず,火炎着火位置の管端から4つめ付近の障害物を乗り越えるとデトネーションに遷移する結果が得られた.

壁乱流および複雑流の各種数値シミュレーション

著者|塚原 隆裕
所属|東京理科大学

亜臨界遷移域における壁乱流の直接数値シミュレーション(DNS)により,状態遷移過程や臨界値を明らかにした.粘弾性流体のDNSにより,渦変調の調査と乱流抑制の解明を行い,また機械学習の訓練データを提供した.固気混相流のサイクロンセパレータ内流れの解明に向けたLarge-Eddy-Simulation(LES)と,液膜内マランゴニ対流の解明に向けた気液混相シミュレーションを,オープンツールOpenFOAMにより実施した.

密度汎関数理論を用いたナノ粒子のエネルギ論的解析

著者|石井明男
所属|大阪大学

Quantitatively analyze the energetics of nanoparticles using density functional theory

一様発熱面の熱容量がチャネル内脈動乱流場の熱伝達機構に及ぼす影響

著者|小田 豊
所属|関西大学システム理工学部

脈動乱流における熱輸送の仕組みを明らかにするため,壁面一様発熱条件を模擬したDNSを実施し,実験との比較と解析を行った。金属膜ヒーターの熱的境界条件を再現するため,熱容量のある発熱壁を有するチャネル乱流場のシミュレーションを行った結果,発熱面の熱容量が極めて小さいと壁面近傍の温度変動が増し,乱流熱輸送が促進されることが分かった。

海洋分解高分子の分子動力学シミュレーション、メカニズム解明

著者|森田 裕史
所属|国立研究開発法人 産業技術総合研究所 機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター

本研究では海洋分解高分子の研究として、解離型動的架橋エラストマーの粗視化モデルを作成し、そのダイナミクス、物性の計算を行った。作成した動的架橋エラストマーモデルの分子動力学シミュレーションにより、動的架橋点配置の依存性について検討した。シミュレーション結果より、動的架橋エラストマーの架橋点配置を変えることで、架橋形態が変化し、有効な架橋点の数が変わることから弾性率にも影響することが示された。

Analysis of thermal transport in disordered systems

著者|Anilkumar Chirag
所属|The University of Tokyo

Thermal transport in crystalline materials can be suppressed due to the inclusion of local elastic heterogeneities or impurities, where long wavelength phonons get scattered, causing a reduction in the mean free path. The impurity-based scattering mechanism is well understood through the Rayleigh scattering mechanism. However, for amorphous materials, where the thermal transport mechanism comprises both propagating (like phonons) modes called propagons and non-propagating modes called diffusons, it is more challenging to characterise the effect of impurities on vibrational modes. In this study, NEMD simulations were performed on amorphous silicon (a-Si) to investigate the impact of impurities on thermal transport.

SQUID GPUノードにおけるGPU間集団通信性能の分析

著者|高橋 慧智
所属|大阪大学 D3センター

SQUID GPUノードにおけるGPU間集団通信性能を明らかにすることを目的とし、OSU MicroBenchmarks (OMB) を用いてAllreduceの性能を評価した。SQUID標準のOpen MPI(BaseGPU/2024)、NVIDIA HPC SDK同梱のOpen MPI、NVIDIA NCCLを比較した結果、NCCLが全メッセージサイズで最速であった。BaseGPUモジュールのOpen MPIはNVLinkを利用できておらず、NVIDIA HPC SDKのOpen MPIとは集団通信ライブラリ(UCCやHCOLL)のリンク有無が性能差の要因と推察される。

津波災害デジタルツインの研究開発

著者|撫佐 昭裕
所属|東北大学サイバーサイエンスセンター

目的: 津波浸水被害予測システムをベースとして津波災害デジタルツインの研究開発を行う。
内容: 本研究は、津波災害デジタルツインを開発するものである。このデジタルツインは、リアルタイムに津波現象を再現する「ハザード層」、その津波による被害を予測する「社会影響予測層」、そしてその被害に対して救援や救助のための情報を提供する「最適対応層」からなるものである。津波災害デジタルツインは津波発生時に短時間で被害状況を予測するものであり、本年度は「ハザード層」を構成する津波浸水被害予測シミュレーションについてSQUIDの汎用CPUノード群、GPUノード群、ベクトルノード群で動作させ、南海トラフ地震を想定したシミュレーションの実行時間を計測した。
結果: 本研究ではGPUノード群で津波浸水被害予測シミュレーションを動作させるため、MPI化していたプログラムをOpenACCを用いてハイブリッド並列を行った。計測には高知県の海岸線を10m格子とした多角形領域接続のモデルを使用して、津波発生から6時間の津波浸水シミュレーションの実行時間を計測した。その結果、GPUノード群とベクトルノード群は同じノード数でほぼ同等の実行時間であることが判明した。具体的には4ノードを使用して、GPUノード群の処理時間が135秒、ベクトルノード群が136秒であった。また、汎用CPUノード群はGPUやベクトルプロセッサなどの加速機構がないため、ほぼ同等の実行時間を達成するためにはGPUノード群とベクトルノード群に比べて4倍から8倍のノード数が必要であることも明らかになった。さらに、本研究によって6時間先の津波現象を各ノード群において200秒以内に行えることからSQUIDシステムはどのノード群を用いても津波浸水のリアルタイム処理が可能であることが明らかになった。

エアスプレーガン近傍流れの数値シミュレーション

著者|宮川泰明,三上京介
所属|弘前大学

近年,スプレーガンのノズルにV字のスリットを設けると,微粒化特性がよくなることが明らかとなった.しかしながら,なぜ微粒化特性がよくなるのか,そのメカニズムは不明である.そこで,本研究の目的はスプレーガンノズルのV字スリットが流れ場に与える影響を数値的に明らかにすることである.
OpenFOAMを用いて,スプレーガン近傍の流れ場を解析し,スリットの有無が与える影響を調べたところ,スリットにより軸対称な流れ場が乱され,中央の液コア部を崩壊させるような流れ場が生じていることが明らかになった.

流れ中の粒子運動の解析

著者|関 眞佐子
所属|関西大学

粘弾性流体の正方形管内流れに浮遊する球形粒子の運動をFENE-Pモデルを用いて数値解析した。パラメータ毎に管下流断面における粒子位置を調べた結果、流体の物性によりさまざまな粒子集束パターンが得られた.ヒドロゲル粒子を用いた実験結果と比較することにより、ヒドロゲル粒子のヤング率を得た.

CT画像からレポートを作成するvision-language model作成

著者|Junya Sato
所属|Department of Artificial Intelligence Diagnostic Radiology Osaka University Graduate School of Medicine

放射線科医の診療負担を軽減するため、CT画像からレポートを自動生成する診断支援システムの構築を目指した。CT画像と自由記述式読影レポートをCLIPを用いて学習させたが、出力された文章は画像の状態を正確に反映できなかった。

Machine-learning molecular simulation for accurately predicting lattice defect properties

著者|横井 達矢
所属|名古屋大学

First-principles calculations were performed to obtain a large amount of training datasets for lattice defects in Si, with the goal of constructing general-purpose machine-learning potentials and molecular simulations transferable to various lattice defects.

超音速ジェット流におけるマッハ波の発生機構

著者|比江島 俊彦
所属|大阪公立大学 工学部 航空宇宙工学科

ジェットマッハ数0.8~2.5の数値計算を行い,マッハ波の発生にせん断渦がどのように関係しているのか,SPOD (Spectral Proper Orthogonal Decomposition) 解析を行って流れ場を詳細に調べた。

前周期遷移金属錯体触媒によるアルキンとシクロプロペンの環化付加反応に関する反応機構解析

著者|秋山 拓弥
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻

前周期遷移金属錯体を触媒とするアルキンとシクロプロペンの環化付加反応によるシクロペンタジエン誘導体の合成反応について、Gaussian 16 を利用したDFT計算により詳細な反応機構を明らかにした。その結果、触媒サイクル中の反応中間体や遷移状態の構造やエネルギーを明らかにすることに成功し、反応機構の全貌の解明につながる重要な知見を得た。

Atomistic simulation of interstitial and vacancy diffusivity by chemical ordering control in CrCoNi

著者|Yangen Li, Junping Du, Fanshun Meng, Shihao Zhang, Dan Wei, Junyu Zhang, Md. Hossain Rana, Heting Liao, Shuhei Shinzato, Shigenobu Ogata
所属|Graduate School of Engineering Science, The University of Osaka

To investigate the chemical ordering formation and its effect on interstitial and vacancy diffusion in CrCoNi. Chemical ordering impact on interstitial and vacancy diffusion in CrCoNi using atomistic simulation. In this work, we explored the influence of chemical ordering on interstitial and vacancy diffusion in CrCoNi MEA, illustrating the potential to modulate this diffusivity by adjusting the chemical ordering through controlling annealing conditions, such as temperature and duration. Our simulations show that distinct chemical ordering structures emerge in CrCoNi MEA when annealed at certain temperatures. These structures effectively repel interstitials and vacancies, resulting in a restricted diffusion region and, consequently, slower effective diffusion rates of the entire system. Notably, diffusivity correlates directly with the degree of chemical ordering, which in turn is influenced by the annealing duration at a given temperature. This underscores the potential to regulate the diffusivity of interstitials and vacancies by modulating the degree of chemical ordering, achieved by fine-tuning the annealing temperature and duration. We conclude by highlighting the pivotal role of operating temperatures on diffusion, emphasizing that to preserve the slow diffusion effect, the operating temperature should remain well below the annealing temperature.

自由噴流の混合制御に関する数値シミュレーション

著者|辻本 公一
所属|三重大学大学院工学研究科機械工学専攻

DNS(Direct Numerical Simulation)により噴流に関する3種類の伝熱・混合制御を行い,次のことを明らかにした.i)六角形に配置された7つの円形噴流のそれぞれに位相差を与え,間欠的に噴出させ伝熱面に衝突させた場合.低周波数で個別に噴出させた際,伝熱面上でより均一な伝熱特性が実現される.ii)2本の自由噴流に対し位相差を与え間欠的に噴出させ,それぞれの間欠周波数が同一の場合,特定の周波数で流れの分岐が発生し,非同一周波数の場合,より均一に混合が促進される.iii)単独の衝突噴流の噴出角度を周期的に変化させるスウィープ制御を行った場合,スウィープ周波数が低い場合で伝熱面上により均一な伝熱特性が実現できること.

ニューラルオペレータによる構造物のデジタルツイン作成

著者|金 哲佑
所属|京都大学

Recent advancements in numerical methods for solid mechanics have focused on the development of physics-informed neural networks (PINNs) and deep neural operators. These innovative approaches aim to address key challenges in solving governing partial differential equations (PDEs) while enhancing computational efficiency and predictive fidelity. This study presents two significant contributions: the Physics-Informed Neural Operator Solver (PINOS) and the Vehicle Bridge Interaction Neural Operator (VINO), both of which leverage machine learning techniques to improve structural analysis and monitoring.
The Physics-Informed Neural Operator Solver (PINOS) facilitates accurate and efficient simulations without the need for labeled datasets. It incorporates a neural operator backbone, geometry-decoded layers, and weak-form PDEs based on the principle of least work. Validation through various numerical simulations, including one-dimensional trusses and three-story building structures, reveals that PINOS achieves speedups ranging from 3 to 20 times compared to traditional finite element software. These results demonstrate the potential of PINOS to enhance solution approximations while significantly reducing computational costs.
The Vehicle-Bridge Interaction Neural Operator (VINO) focuses on structural design analysis and condition monitoring by learning the relationship between structural responses and damage from a bridge finite element model. As a surrogate model, VINO has demonstrated over 99% accuracy in predicting structural responses and a remarkable 2000-fold speedup in analysis. Additionally, it effectively detects, localizes, and quantifies bridge damages through experimental validation. Together, these advancements underscore the promising integration of PINNs and deep neural operators in structural engineering, paving the way for future research on complex geometrical structures and non-linear constitutive relationships.

脱炭素社会を目指したアンモニアバーナーの最適化設計

著者|奥村 幸彦
所属|香川大学 創造工学部

近年,水素を効率よく運搬・貯留するために水素キャリアとしてアンモニアが注目されている.かつ工場ではアンモニアを水素用途のみではなく,直接的に燃料として利用することが実用的観点から望まれている.しかしながら,アンモニアの燃焼速度は6.0 cm/s以下であり,炭化水素燃料(石油系燃料)と比較すると極端に低いために安定燃焼が困難であり,かつ強制燃焼させると大量のNOxを生成する.本研究では,難着火性のアンモニアを安定に燃焼させ,かつNOxを同時低減するCO2 フリーバーナ-を開発する.同時に、燃焼室規模であるバーナーをベンチスケールレベル(最終的には実機レベル)まで大型化することを目指している.

次世代コンデンサを目指した誘電体材料の網羅的計算

著者|菊地 諒介
所属|パナソニック株式会社

Materials Projectなどの第一原理計算データベースから候補材料の結晶構造を約6000件抽出し、最終的に約4000件の比誘電率計算が完了し、比誘電率データベースの構築に成功した。第一原理計算にはVASPを使用した。

脊椎CTでのAnatomical PointのDetection AIの構築

著者|喜多 洸介
所属|大阪大学大学院医学系研究科

本研究では、スーパーコンピュータSQUIDを用い、脊椎CT画像から椎間板等の解剖学的構造点を高精度に自動検出するAIを構築した。この基盤技術は、神経根管狭窄や脊柱管狭窄の重症度を自動分類する先進的診断システムの開発に不可欠な第一歩であり、客観的で効率的な脊椎変性疾患診断の実現に貢献する。

タンパク質水和の深層学習モデルの改良に向けた大規模計算

著者|吉留 崇
所属|東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻

タンパク質周囲の水和分布と水和自由エネルギー分布を高速に予測する深層学習モデル「gr Predictor」と「Deep GIST」を改良することを目的とし、Deep GISTのハイパーパラメータサーチ並びにgr PredictorとDeep GISTのリガンド複合体への拡張に向けた大規模計算を行った。その結果、Deep GISTは、既存の手法の約1/1000の計算時間(約1分)で、「リガンド結合に伴い移動する水分子の自由エネルギー」を約8kcal/molの誤差で計算出来た。また、リガンド複合体に拡張したgr Predictorの予測精度(R2スコア)は、0.9だった。

流体中の分子現象解明

著者|藤原 直澄
所属|株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ

半導体ウェット洗浄中にデバイス表面に起こる様々な現象のメカニズム解明のため、マクロレベルのシミュレーションで表現できる処理条件の変化がミクロレベルに与える影響を、ミクロレベルのシミュレーションにより解明することを目的とする。
本年度においては、半導体パターンを模したモデルに対して半導体ウェット洗浄の乾燥工程を想定した分子動力学計算を実施し、パターン同士の接着によるパターン倒壊挙動を評価した。また、パターン表面に疎水基を付与することによるパターン同士の接着への影響も評価した。

仮想心臓モデルによる心臓電気現象シミュレーション

著者|稲田 慎¹, 原口 亮², 芦原 貴司³, 鈴木 亨⁴, 中沢 一雄¹
所属|森ノ宮医療大学 医療技術学部¹, 兵庫県立大学大学院 情報科学研究科², 滋賀医科大学 情報総合センター・医療情報部³, 金沢工業大学 高信頼理工学研究センター⁴

我々は,仮想心臓モデルを構築し,電気生理学的シミュレーションを行うことで不整脈のメカニズム解明や,予防・診断に役立たせることを目指している.心筋細胞の電気的興奮に伴う電位変化(活動電位)を再現することが可能なユニット約136万個を組み合わせて心房モデルを構築した(右図).まず,洞調律に対応する電気刺激を上大静脈に加え,洞調律時の興奮伝播過程を再現した(下左図).次に,肺静脈からの異常興奮による不整脈の発生機序を検討するために,4つの肺静脈(左上肺静脈,左下肺静脈,右上肺静脈,右下肺静脈)にそれぞれ洞調律よりも速い頻度の電気刺激を与えた.その結果,心房細動に相当する心房内を旋回する興奮波を再現することができた(下右図).肺静脈へ与える刺激の間隔を変更しながらシミュレーション実験を繰り返し,不整脈の誘発性および持続性を検討した.シミュレーション実験の結果,心筋細胞の電気生理学的特性や細胞間の電気的結合,心臓の解剖学的構造が不整脈の誘発性や持続性に影響を与えることが示唆された.今後は,カテーテルアブレーションを想定したシミュレーション実験も行い,新たな治療戦略の開発を目指す.

微小重力環境における強制対流沸騰の数値計算

著者|矢吹智英¹,Yohei Sato²,畑中健太¹,庄野竜生¹,今津朗¹
所属|九州工業大学¹,Paul Scherrer Institute²

微小重力環境での強制対流沸騰の冷却性能を評価するために,二相流CFDソルバーであるPSI-BOILを用いて沸騰の数値計算を実施してきた.今年度は,微小重力空間における沸騰現象を,地上実験で再現するために下向き伝熱面を用いることの有効性を検証した.重力を0G(微小重力条件)と-1G(下向き伝熱面)として計算を行った結果,両者の差は10%程度と小さいことがわかった.

分子シミュレーションと機械学習を用いた相変化・界面現象の解明

著者|平塚 将起
所属|工学院大学

浮遊状態にある水―エタノール液滴における蒸発速度は,実験により明らかにされている.しかしながら,実際には液体は常に蒸発を行うため,その初期挙動を観察するのが難しいのに加え,蒸発している分子やその詳細を観測するのは難しい.実際に目に見える液滴が徐々に蒸発する際,その直径はミリからミクロへ,ミクロからナノへと変化する.そこで,本研究では,初動の短い時間(~10 ns)の蒸発過程を観測した.さらに,各蒸発分子数を調べ,蒸発の前後での濃度変化など各種数値を評価した.
エタノール濃度が高いほど蒸発数は増加し,蒸発が速くなることが分かり,先行研究と同じ傾向を示した. 蒸発過程としては,先行研究同様に混合溶液はのみ非線形的な傾向を観察できたが,純粋なエタノール・水は一定に蒸発をしていった.水蒸気の分子数は飽和水蒸気量よりもはるかに多かったが,水蒸気が存在するとき蒸発は遅くなり,先行研究と同じ傾向をすることを確認できた.水蒸気が存在すると,凝縮する分子に加え,蒸発分子数が抑えられるため,総合して蒸発は遅くなっているが分かった.また,凝縮する分子数は,エタノール濃度が高いほど凝縮する分子数は増加した.飽和水蒸気量を超える水分子を用いたため,純粋な水では,蒸発分子数より凝縮する分子の方が多く,液滴が大きくなった.
濃度(質量分率)変化は湿度が存在する場合の方が変化率は低くなることが分かった.これは,本研究では,水蒸気分子数が多かったためにセル内の圧力が上昇したことで,エタノールの蒸発が抑えられたからだと考えられる.構造については,エタノールが存在する場合には,エタノールが表面を覆うような構造が確認できた.親水基と疎水基を持つエタノールが水の周りを囲むように結合するためだと考えられる.

Construction of a SiO2 Interatomic Potential Model by Machine Learning and Its Application to Molecular Dynamics Simulations.

著者|田中 駿也
所属|大阪大学工学研究科マテリアル生産科学専攻浜口研究室

近年,材料科学の分野において,機械学習を用いた分子動力学(MD)シミュレーション用の原子間ポテンシャルが開発されている.機械学習原子間ポテンシャルは,密度汎関数理論(DFT)に基づく量子力学計算で事前に評価された膨大な数の原子配置データと膨大な数の力場データを補間することで,対応するDFTに基づく量子力学計算よりもはるかに迅速に力場を提供することができる.また,機械学習原子間ポテンシャルは広く使用されている古典的な原子間力場モデルよりもはるかに正確であることが期待されており,DFT計算で得られるものと同等の精度を実現できる可能性がある.しかし,材料科学で広く使用されている熱力学的平衡状態における典型的な分子動力学シミュレーションとは異なり,スパッタリング/エッチングシミュレーションでは,このような力場の開発に特別な注意が必要となる.高イオンエネルギー衝撃を伴う典型的なスパッタリングシミュレーションでは,原子間の距離が極端に小さくなることがあり,標準的なDFTベースの力場データでは精度を担保できない.そのため,本研究では,短距離斥力相互作用を表すためにZiegler-Biersack-Littmark(ZBL)ポテンシャル関数を使用し,それ以外には機械学習による力場を採用した.機械学習原子間ポテンシャルは,グラフニューラルネットワーク(GNN)を基に,Query By Committeeに基づいた能動学習を用いて開発した.開発した機械学習原子間ポテンシャルを用いたMDシミュレーションでは,SiおよびSiO2のイオンビームスパッタリング/エッチングを実施し,その結果をビーム実験データおよび既存の古典的MDシミュレーション結果と比較した.

乱流・混相流の数値シミュレーションとデータ駆動型流体力学

著者|岡林 希依
所属|大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻

乱流,気泡や粒子などを含む分散性二相流,伝熱,潤滑,流体-構造連成解析,界面現象などを対象として,数理モデルの開発,解析手法の高度化・高精度化,現象の解明,データ駆動型モデルの開発.

Studies of classical and quantum many-body problems: tensor network approach

著者|Yasuhiro Akutsu
所属|Graduate School of Science, Osaka University

前年に引き続き、結晶微斜面における短距離ステップ間引力の効果について研究した。前年導入した、ステップ間に引力的相互作用がある微斜面模型模型において、ステップ密度の全領域での振る舞いを解析した。手法としては転送行列に対するDMRG法を用いた。次近接・次々近接相互作用強度の増加に伴い、ある値を境に、ステップの2体束縛状態形成を契機とする、ステップ密度の不連続変化(1次相転移)が、低密度領域のみならず、高密度領域でも生ずることが見いだされた。この現象は、ステップが欠けた領域(「ネガティブステップ」)のバンチングと解釈される。

SSMを用いた動画生成モデルのシミュレーション

著者|大島佑太
所属|東京大学

目的:動画生成にSSMを用いた場合の挙動を確認する.
内容:新たに,Transformerベースの動画拡散モデルを学習する.
結果:SSMsを用いた場合,Transformerベースでは少し異なる工夫が必要だとわかった.

第一原理計算を用いた非調和フォノン特性データベースの構築

著者|大西 正人
所属|統計数理研究所

近年,データ駆動学材料開発が急速に進んでいるが、無機材料に関しては Materials Projectなどの従来のデータベースに加え,DeepMind GNoME (2023),META OMat24 (2024), Microsoft MatterK (2025) など巨大かつ新しいデータベース公開も続いている.しかし,これらのデータベースは熱物性データが不足、あるいは材料空間が制限されている。また熱物性は不純物,キャリア密度などにより大きく変化するため、条件が明確な理論計算による熱物性データベース構築が望まれていた。そこで、本研究では第一原理計算に基づく非調和フォノン特性データベースを構築し、さらにデータベースを用いたスケーリング則の実証やスクリーニングによる高熱・低熱伝導材料の探索を行った。

閉鎖型BCMP待ち行列ネットワークにおける窓口数最適化の提案

著者|Shinya Mizuno
所属|Juntendo University

本研究の目的は、閉鎖型BCMP待ち行列ネットワークにおいて、各ノードに配置すべき窓口数を最適化する手法を提案することである。ノードごとの人気度やノード間距離といった現実的な要素を考慮しつつ、窓口の導入コストとシステム内の混雑をバランス良く最小化することを目指す。

探針増強ラマン散乱と密度汎関数理論によるヘリセン分子の光学活性評価

著者|服部 卓磨
所属|大阪大学

ヘリセン分子のラマンスペクトルの計算と、その実験との比較。

Three-dimensional dislocation networks in α-Iron twist grain boundaries: Insights from first-principles neural network interatomic potentials

著者|Fanshun Meng, Junping Du, Shihao Zhang, Shuhei Shinzato, Shigenobu Ogata
所属|Graduate School of Engineering Science, The University of Osaka

To uncover the relationship between the structural and energy of twist grain boundaries (TWGBs) in α-Iron, the atomic structure and formation energy of TWGBs were investigated using molecular statics in conjunction with neural network interatomic potentials (NNIPs). We charted the grain boundary energy of TWGBs for (100), (110), and (111) terminations, achieving concordance between NNIP predictions and DFT calculations. Exploring dislocation networks in TWGBs with small twist angles unrevealed distinct network patterns. Squared and hexagonal dislocation networks patterns in (100) and (110) TWGBs were obtained, mirroring experimental observations in BCC metals. Significantly, (111) TWGBs with small twist angles exhibited a novel 3D dislocation pattern, a phenomenon uncovered for the first time. The novel 3D dislocation pattern was validated through principal component analysis, NNIP ensemble model, and further crossing verification using other independent machine learning potentials. Our work sheds light on the uncharted territories of dislocation networks in certain configurations.

First-principle calculation for dislocation-core structure in compound semiconductors

著者|松永 克志
所属|名古屋大学

First-principles calculations were performed to determine the atomic and electronic structures of dislocation cores in compound semiconductors. It was found that excess carriers have critical impacts on preferred atomic structures of dislocation cores by altering the bonding nature of dislocation atoms.

有機溶媒の第一原理MDと機械学習力場MDの検証

著者|石塚 良介
所属|大阪大学工学研究科日本触媒阪大協働研究所

機械学習力場と第一原理MDを有機溶媒に応用し、動径分布関数の比較から機械学習力場の精度を検証する。

CHO 3元系の超イオン相中の第一原理分子動力学シミュレーション

著者|村山 大輔
所属|大阪大学工学研究科

水素、酸素、炭素は、太陽系の存在量に基づくと、天王星や海王星のような氷惑星の主成分であり、C-H-O三元混合物を形成している。惑星内部では、これらの物質は1000K、100GPaを超える極端な温度・圧力条件にさらされる。ここでは、第一原理分子動力学シミュレーションを用いて、惑星内部環境の水素、炭素、酸素が完全に混合した場合の相挙動の候補を明らかにする。

致死性不整脈の発生メカニズムの理解とその制御方法の確立

著者|津元国親
所属|金沢医科大学

撃発活動とは、心室性致死性不整脈発症のきっかけとなる応答として知られる。本研究は、撃発活動の生成メカニズムを明らかにし、不整脈誘発危険度を定量化することで、不整脈の発症予防・制御の方法論の開発を目的とする。これまでに撃発活動の形成メカニズムを明らかにしてきた。本年度は、特定のイオンチャネル電流を制御することで撃発活動形成を抑制できるかどうかを検討した。心室筋細胞膜に発現する一過性外向きK+チャネル電流(Ito)を抑制することで、撃発活動形成が阻害されることを見出した。Itoは、心室筋活動電位ダイナミクスである早期後脱分極(Early afterdepolarization: EAD)の発生を抑制する可能性も見出した。

Development of standard n-γ mixed fields for dosimetry studies in BNCT

著者|村田 勲
所属|大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻

中性子とガンマ線の混在場となるBNCTの治療場における、両粒子の分離線量計測手法検証のための標準混在場の設計及び製作を目指し、汎用モンテカルロコードPHITSを用いた中性子・ガンマ線の標準混在場の設計を行った。線源はDD中性子源と仮定しし、高速、熱外、熱中性子及びガンマ線の割合を任意に設定できる場を目指した。その結果、中性子のみ、ガンマ線のみの他、高速、熱外、熱比がそれぞれ70%を超える場と、その場合にガンマ線との任意の比率を持つ場の構築に成功した。

開殻分子の磁性・光物性、発光性錯体の光物性に関する研究

著者|鈴木 修一
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科

Gaussian16 を利用して、各種開殻π電子系分子とその集合体について、軌道計算、電荷分布、スピン密度分布、TD-DFT 等の計算を行い、実験結果を比較、補足した。特異な開殻π電子系分子集合体における光吸収特性の帰属を行うことで 、各種π電子系分子が示す新奇現象のメカニズム解明に向けた。また、発光性錯体の光機能性に関する計算も行った。

自治体脱炭素化支援のためのエネルギー需要モデルの開発

著者|山口 容平
所属|大阪大学大学院工学研究科

自治体の脱炭素化を支援することを目的として、自治体単位で民生家庭部門・業務部門の二酸化炭素排出量を推計するためのエネルギー需要モデルを開発した。開発モデルは一つ一つの世帯・業務施設を計算単位として詳細なエネルギー需要推計を行い、その結果の積算値から対象部門の二酸化炭素排出量を定量化するボトムアップモデルであり、4つのプロセスで構築される。①データベース構築過程では、国勢調査やゼンリン社建物ポイントデータ、Google Maps Places APIなどの利用可能なデータソースに基づいて対象自治体の住宅・建築物に関するデータベースを構築する。②合成人口・建築物ストックモデル構築過程では、収集データの組み合わせにより個々の世帯・施設を個人・施設の単位で模擬した合成データモデルを構築する。ここでは世帯・業務施設のエネルギー需要に大きな影響をもたらす設備や人の行動に関する特徴について条件設定するほか、将来の時間断面において技術等の変化を考慮する機能を持たせている。③需要シミュレーション過程では、気象データに基づいて1年間のエネルギー需要シミュレーションを行い、個々の合成世帯・建築物のエネルギー需要、二酸化炭素排出量を推計する。④シナリオ分析過程では、自治体内での変化を想定したシナリオの下で推計されたエネルギー需要、二酸化炭素排出量を集計し、無対策ケースの二酸化炭素排出量ベースラインを推計するほか、自治体の努力による削減効果を定量化する。開発モデルを複数の都市に適用してケーススタディを行い、電力スマートメータとの比較を行ったところ、推計誤差は10%程度であった。また、アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)は技術導入による削減量評価のためのベースライン推定の精度について、1時間間隔の年間データより算出するCVRMSEが30%以内となることを許容範囲として定めているが、この許容範囲をクリアすることを確認することができた。

高構造物雷撃に伴う電磁界パルスに与える大地導電率の影響

著者|西村 駿亮
所属|同志社大学

(目的) 高構造物への落雷時に発生する電磁界パルスから雷電流波形を高精度に推定する手法の確立。
(内容 )地盤の導電率を変化させた場合の電界波形に与える影響について検討する。
(結果) 導電率の低下に伴い電界ピーク値は減衰し、高構造物内の電流の反射による電界波形の振動が現れなくなるため、雷電流波形の推定において導電率の影響を考慮する必要があることが判明した。

Rational Design of Nickel Nano-catalysts on Nitrogen-Sulfur-Carbon Materials for CO2 Reduction: Molecular Dynamics and Artificial Intelligence Study

著者|ファージ ムタキン
所属|Department of Precision Engineering, Osaka University

We study the catalytic activity of Nitrogen-Sulfur-Carbon 2D materials towards CO2 hydrogenation. We particularly compare the mechanism of CO2 hydrogenation into HCOO and COOH species.

Calculation of physical properties of barium titanate-related materials

著者|Hikaru Azuma
所属|Nagoya Institute of Technology

チタン酸バリウムの強誘電体ドメイン壁および酸素空孔の形成自由エネルギーを計算し、関連材料の強誘電特性を解析することを目的とした。MPI+OpenMPでハイブリッド並列化された独自プログラムを用いた分子動力学シミュレーションにより、計算を実行した。その結果、チタン酸バリウムにおいて、強誘電体ドメイン壁近傍で酸素空孔の形成エネルギーが低下することを明らかにした。これは、ドメイン壁近傍に酸素空孔が蓄積しやすいことを示唆する。

大規模多孔質場における反応輸送解析

著者|津島 将司
所属|大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻

気液二相流動を伴う電気化学反応輸送解析をポアネットワークモデルを導入した格子ボルツマン法により行い,多孔質電極内の反応生成物分布ならびに不可逆損失に関する検討を行った.

原子スケールシミュレーションを用いた接合界面の評価

著者|Hiroaki Tatsumi
所属|Joining and Welding Research Institute, The University of Osaka

近年、半導体部品の高集積化、高電流密度化の要求が高まっている。それに伴い、半導体チップを回路基板に電気的・機械的に接続する接合技術の重要性が増している。半導体部品は、半導体や金属、セラミックなどの多様な異種材料の接合部から構成される。よって、信頼性に優れた半導体部品を実現するうえで、異種材料接合部の界面構造の理解と制御が重要である。そこで本研究では、半導体部品の接合部を対象とし、異種材料の接合界面構造の原子スケールでの理解、接合性の指標となる剥離エネルギーの推定を行う。

配位子の構造計算

著者|山本 啓太
所属|大阪大学大学院工学研究科日本触媒協働研究所

機械学習を用いて材料開発を行うマテリアルズ・インフォマティクス(MI)においてデータの質と量が重要となる。本件では配位子を対象とした量子化学計算について検討を行った。具体的な計算内容としては100種の配位子構造に対してxTB, CRESTによる配座探索とGaussianによる構造最適化計算を行い、最適化後構造を得た。計算にはSQUID CPUを用いた。

逐次型データ同化津波予測における観測点とアンサンブルの同時制御

著者|小池 信昭
所属|和歌山工業高等専門学校

逐次型データ同化アンサンブルカルマンフィルタ・スムーザーを用いた津波予測では,観測点・アンサンブルが多すぎるとかえって精度が悪化する場合もあり,どのように観測点・アンサンブルを制御すれば予測精度が向上するか明らかにする必要がある.
沖合観測点での予測が良ければ沿岸部でも予測精度が向上するという考え方で制御を行った.つまり,沖合観測点での地震発生から5分間の観測波形とデータ同化波形をRMSE・相関係数R・RMSEとRの両方を用いて比較し,波形の一致度が悪い観測点・アンサンブルは取り除いた.

超音速燃焼を考慮した圧縮性粘性流れの数値解析法に関する研究

著者|坪井 伸幸
所属|九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学研究系

多成分極低温超臨界・遷臨界流体解析を可能とするロバストな数値解析手法の開発を行い,そして開発されたコードを用いて流動構造の把握を行うことを目的としている.密度差が100倍程度でもロバストに解析可能な,エネルギー保存(EB)ベースの解法と圧力ベース(PB)の解法を組み合わせたハイブリッド手法(HB(EB/PB))により,3次元非定常圧縮性粘性解析を行った.対象とする化学種は窒素単成分および酸素/水素2成分としている.対流項には3次精度のSLAU2(最小エントロピーを用いて安定化),時間積分は3段階ルンゲクッタ法,乱流モデルはSpalart AllmarasモデルとImplicit LESを組み合わせるILES/RANSハイブリッド法を用い,格子点数は約700万点とした.CFL数が0.8程度でもロバストに安定に解析を実行することができた.また,軸上の密度分布の実験データが存在する窒素噴流についても,良好に一致することが示された.

分子動力学計算によるポリマーDB構築

著者|石山 裕輝
所属|旭化成株式会社 デジタル共創本部 データインテリジェンスセンター 先端技術戦略部

目的: MIによる高機能ポリマー探索を行うため、分子動力学計算データベース(DB)を構築する。
内容;大量のポリマーに対し、分子動力学計算ソルバーのLAMMPSを用いて複数の物性値を計算、その結果をDBに蓄積する。
結果:これまで構築したポリマーDBに対し、今年度は新規構造や計算物性の追加を行い、MIに用いるためのポリマーDBの拡充を進めた(数千構造)。

有機無機ハイブリッド材料による分離膜向けMD技術

著者|川口 博
所属|神戸大学

有機無機ハイブリッド材料による分離膜を題材とし、AIを活用することで従来の分子動力学より高速かつ高精度なシミュレーションを可能とする技術を開発する。研究の始点として、無機膜材料に対する第一原理分子動力学シミュレーションによって、データセットの作成を行った。

マイクロトロイダルによるプロトン・ボロン磁場核融合の3次元シミュレーション

著者|村上 匡且
所属|大阪大学レーザー科学研究所

本研究では、SQUID を使って、現実的なレーザーとプロトン・ボロン混合プラズマの相互作用を考慮した3次元の粒子シミュレーションを行う。それによって、ミクロンスケールのトロイダル構造内部に形成される極超高磁場中のプラズマ挙動を精査すると共に人類未到の 「メガテスラ磁場環境下でのマイクロトロイダル核融合」を世界で初めてデモンストレーションすること、そしてその学理構築および理論設計を目的とする。

Exploring quadrupole and octupole correlations in Zr isotpopes using relativistic nuclear DFT

著者|Kenta Suzuki
所属|Hokkaido University

Analysis with microscopic mean-field calculations were performed to investigate intrinsic structure and deformations in Zr isotopes, especially focused on reflection-asymmetric tetrahedral symmetry. A finite beta_{32} value was obtained as a global minimum in potential energy surface in Zr110, which indicates the exotic deformation in low-lying states and is not yet confirmed experimentally.

固液連成シミュレーション

著者|福田 朝生
所属|琉球大学

混合粒径固液混相流における粒子の運動は実験では計測が困難である.本研究は混合粒径固液混相流のシミュレーションを行い,計算力学的アプローチにより分級の運動機構を分析した.混合粒径固液混相流のシミュレーションを行い,全粒径の平均鉛直速度に対する各粒径の平均速度の差を分級速度とし,分級速度を計算結果から抽出した.さらに分級速度と,流下方向速度の鉛直勾配と,粒度分布の変動係数の関係性を明らかにした.

湖沼,流域,河川,海域の水環境シミュレーション

著者|中谷 祐介
所属|大阪大学

流動水質モデルおよび流域水文水質モデルを用いて,各種水域の流動・水質・物質輸送の数値シミュレーションを行った.

マルチタスク表形式データ基盤モデルの構築

著者|Jun Matsuzaki¹; Ulf Mertens²; Naoki Setoguchi¹; Yoshito Tsuruda¹; Ta-Wei Chang¹; Felix Wick²
所属|Panasonic Connect Co. Ltd.¹; Panasonic R&D Center Germany GmbH²

複数タスクの複数表形式データに同時対応できる基盤モデルを目指すべし、LLMの利活用などの手法改善を行い、複数のタスクに対応できる、表形式データに対応する基盤モデルを学習し、構築した。結果として、複数のタスクにおいて、それぞれ複数のデータに基づいて学習し、基盤モデルとなりうる構造を見出した。

Phenomenological description of fluid motion at atomistic scales

著者|Takeshi Omori
所属|Osaka Metropolitan University

近年のMEMS技術の進展に伴い,微小流路内での流動制御の重要性が増しているが,制御のベースとなる流体運動の物理モデル(現象論)には未確立の要素が多い.本研究では,分子動力学法による計算結果を巨視的な視点から捉え直すことを通じて微小(ナノスケール)流動の現象論構築を進めた.

Simulation of the dynamics of plasma around a black hole and radiation modelling.

著者|Ryota Tomaru
所属|Osaka University

The aim of this study is to elucidate the characteristic parameters of photoionized plasmas—such as the ionization parameter, the line-of-sight integrated density (column density), and the absorption line velocity width—that are formed by X-ray irradiation from the vicinity of compact objects such as stellar-mass black holes and neutron stars. To achieve this objective, we constructed a radiative model using the microcalorimeter analysis framework onboard the XRISM X-ray astronomy satellite in conjunction with the SQUID general-purpose CPU node cluster. This model was developed by performing numerous radiative transfer simulations while varying key parameters, including the gas ionization parameter, column density, and the turbulent velocity (which determines the absorption line velocity width), and by integrating the outcomes of these simulations. In total, 10,816 radiative transfer simulations were conducted, and the use of the SQUID CPU node cluster enabled the efficient construction of the model. This radiative model was then applied to analyze ultra-precise X-ray spectroscopic data obtained by XRISM, which offers more than a tenfold improvement in spectroscopic capabilities compared to previous instruments.

計算科学による複合材料設計

著者|山崎 隆浩
所属|大阪大学大学院工学研究科住友電工共同研究講座

第一原理計算プログラムと機械学習ポテンシャルを使った大規模系を連携する手順を確立し、材料設計ツールとして利用する。

Atomic structure and stability of organic molecules in octacalcium phosphate

著者|Katsuyuki Matsunaga
所属|Nagoya University

The particle swarm optimization combined with first-principles calculations was performed to determine the atomic structures and stability of organic molecules in octacalcium phosphate. It was found that the lowest-energy structures have (100)-plane spacings close to experimental values, which enables us to validate our calculated results and to analyze the detailed atomic and electronic structures.

マイクロ熱工学に関する分子シミュレーション

著者|芝原正彦
所属|大阪大学

ナノ・マイクロメートルスケールのエネルギー輸送現象を原理的に理解して表面特性などを用いて制御することを目的として,銅の伝熱面に付与したナノスケールの矩形構造が,固液界面熱抵抗に与える影響を分子動力学解析により調査し,熱回路網法でモデリングを行うためにSQUIDを用いた.その結果より,矩形構造の大きさや濡れ状態によらず熱回路網モデルによって,界面熱抵抗がうまく予測できることが示された.

核融合中性子源の液体Liターゲットの熱流動特性に関する研究

著者|帆足 英二
所属|大阪大学大学院工学研究科 環境エネルギー工学専攻

核融合炉材料試験を実現するための核融合中性子源では、液体リチウム(Li)ターゲットに重陽子ビームを照射することで高エネルギー・高フラックス中性子場を形成するが、ビーム照射に伴う熱を除去するためにLiは高速で流される。鉛直に設置された湾曲流路を流れるため特有の渦構造を有するなど、液体Liターゲット内部の流動構造を詳細に把握することは重要な意味を持つ。そこで本研究では、ビームの熱負荷を受けるLi噴流内の乱流熱輸送のメカニズムの解明に向け、縦型湾曲流路を流れる25mm厚のLiターゲットの大規模LES計算を実施した。実験や理論解との比較からモデルの妥当性を検証し、十分な精度があることを確認した。加えて、熱負荷計算より内部の熱が底面壁近傍における渦により攪拌されることを明らかにした。

プール沸騰における気泡表面の蒸発と対流熱伝達の関係

著者|矢吹智英¹,Yohei Sato²,畑中健太¹,庄野竜生¹
所属|九州工業大学¹, Paul Scherrer Institute²

水の沸騰では対流が壁面熱輸送に重要な役割をもつことが実験によりわかっているが,そのメカニズムがわかっていないため,液相の流れ場や温度分布などを可視化して対流熱伝達のメカニズムを調べることを目的とした.内容は,二相流CFDソルバーであるPSI-BOILを用い,気液界面における蒸発が対流熱伝達に与える影響を検討するために,断熱界面法を開発し,水のプール沸騰の数値シミュレーションを行った.結果として,少なくとも本条件においては,蒸発の対流熱伝達促進への寄与は小さいことがわかった.

Simulating Brownian motion in thermally fluctuating viscoelastic fluids

著者|Yasuya Nakayama
所属|Department of Chemical Engineering, Kyushu University

熱ゆらぎに駆動される粘弾性流れおよび粒子のブラウン運動の直接数値計算を行うために, 粘弾性流体の構成方程式であるOldroyd-B モデルについての stochastic Smoothed Profile 法 (sSPm)を開発した.Langevin 方程式のような有効モデルを用いることなく,粘弾性物性に基づいてブラウン運動を直接解析することに成功した.

光機能性材料の構造解析

著者|野澤 俊介
所属|高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所

XFELを利用して測定された時間分解X線溶液散乱の構造最適化をするため、反応中間体の構造モデルをSQUIDを用いた量子化学計算を用いて計算することを目的とする。2024年度に実施された本研究において、時間分解X線溶液散乱の測定データに対して、計算した構造モデルを元にMDシミュレーションを用いた構造最適化を実施することで、反応中間体を可視化することに成功した。現在、論文を準備中である。

Ionization physics and its control on ultrahigh intense laser ion acceleration

著者|Masayasu Hata
所属|National Institutes for Quantum Science and Technology

超高強度フェムト秒レーザーと固体密度ターゲットとの相互作用では,ターゲット表面(相互作用面)で発生した高エネルギー電子がターゲット裏面を飛び出す際に生成されるTV/mを超える準静的電場によって,裏面のイオンを高いエネルギーまで加速することができる.高効率な加速のためには,ターゲットを高価数に電離し電荷質量比の高いイオンを加速場に乗せる必要がある.本研究では,電離過程を組み込んだ多次元の相対論的電磁粒子コードを用いて,高エネルギーイオン加速におけるイオン化機構の解明を目指す.

回転基板上の液膜のLESを使用した流体シミュレーション

著者|佐藤 雅伸
所属|株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ

回転する直径300mmのウェハモデルの中心供給された水が、基板上で広がる状態を 、OpenFOAMを使用して下記条件を組み合わせて計算し、実際の観察結果と液広がりを比較した。前年度までの成果に、高接触角条件での精度向上のため、動的接触角条件を検討し、種々の接触角モデルを、実現象観察結果と比較し検討を行った。

Metric for Evaluating Stable Diffusion Models using Attention Map

著者|房 ハルノ
所属|岡山理科大学

As stable diffusion models that perform high-quality image generation have attracted more attention, it has become important to evaluate their quality. The synthetic image metrics are categorized into two types of measures: the first type focuses on image quality, while the second type concentrates on text-image alignment. To evaluate text-image alignment, a new metric called the Text-Image Alignment Metric (TIAM) is proposed. This metric checks the alignment between the content specified in a prompt and the corresponding generated image, based on a prompt template. TIAM enables a more comprehensive evaluation of the alignment between text prompts and images in terms of the type, number, and color of the specified objects. To identify the specified objects, TIAM uses a pre-trained object detection and segmentation model YOLOv8. However, the pre-trained models cannot be used for classes or image styles that have not been pre-trained except for fine-tuning. For non-professional users, fine-tuning a model or preparing a training dataset is difficult. In this paper, we extend TIAM to support various classes and styles by utilizing the attention maps acquired during the image generation process and the language-vision model (e.g., BLIP2). The experimental results indicate that the proposed method allows us to evaluate diverse images without requiring additional steps, such as fine-tuning.

Deep Learningを活用した顔認証要素技術の開発

著者|前野 一樹,堤 隆太,原 佑輔,吉田 蒼生
所属|パナソニック コネクト株式会社 技術研究開発本部

目的 顔認証技術の利用拡大に伴い、環境変化へのロバスト性向上と、スムーズな認証が求められている。
   精度と速度を両立する新たな認識技術の開発を目指す。
内容 本研究では、高速かつ高精度な顔認証アルゴリズムの実現に向け、
   新たなモデルアーキテクチャおよび損失関数とこれらを用いた学習方式の開発に取り組んだ。
結果 小規模な学習データを用いた基礎検討実験を完了した。
   種々の評価データにおける精度改善と、処理時間の短縮に成功し、
   新たなモデルアーキテクチャおよび損失関数の有効性を確認した。
   今後より大規模な学習データでの検討を行う。

MPI並列化における通信時間隠蔽手法の研究

著者|曽我 隆
所属|大阪大学 D3センター

MPIを利用する分散メモリ並列化プログラムにおけるプロセス間の通信時間を削減するために、OpenMPを利用する共有メモリ並列化を併用し、スレッド操作を用いて演算処理と通信処理をオーバーラップする手法の研究。姫野ベンチマークと流体計算の実アプリケーションを用いて効果を検証した。

ニューラルネットの学習による創発言語獲得の可能性

著者|中島 悠太
所属|大阪大学D3センター

画像が与えられた時に、一定の体系をを持った離散値列によりその画像を記述する創発言語の獲得について、ニューラルネットワークの学習を通した実現可能性を実験的に検証する。今年度は、ベースとなるネットワーク構造を特定し、画像の記述が得られることを確認した。

A study on the relation between flow field and flame surface of premixed turbulent flames using DNS data

著者|TSUBOI Kazuya
所属|Okayama University

化石燃料の燃焼への利用を抑制し,炭素中立燃料である水素やアンモニア,バイオマス等の燃焼への利用が,近年,世界的に推進されている事に伴って,燃焼技術の更なる高度化への要請はますます強まってきている.その要請に応えるためには,乱流火炎構造を本質的に理解し,乱流燃焼機構をより詳細に把握する事が必要不可欠である.本研究では,乱流予混合火炎面形状と,流れ場との関係について,DNSデータを用いて検討した.
乱流予混合火炎面近傍に存在する速度勾配テンソルの第二不変量等値面と反応進行度等値面の関係から,高い反応進行度等値面において低い反応進行度等値面でガウス曲率の値が大きかった部分では,他の部分に比して渦による火炎への影響がより緩和されると考えられる.

Plant Twin: Plant Reconstruction for Breeding and Cultivation

著者|Fumio Okura
所属|The University of Osaka

本研究の究極目標は、植物センシングデータからの植物体の完全仮想化、つまり植物のデジタルツインの生成である。本研究では特にコンピュータビジョンに関する技術要素に着目し、植物を撮影した画像群から、その形状のみならず、枝葉構造、時系列変化などを、遮蔽領域も含めて再現する。仮想化植物モデルは、シミュレーションや遺伝子との対応付けを可能にし、栽培の自動化、育種(品種改良)の高速化の強力なツールになる。

Path sampling simulatoins of CH4 dissociation on Ni(111)

著者|Samuel Eka Putra Payong Masan
所属|Department of Precision Engineering, Graduate School of Engineering, The University of Osaka

My simulations focus on understanding the CH4 dissociation mechanism. It is an important intermediate in CH4 reforming which convert the green-house gasses into syngas.

Using deep neural network potential trained with dataset obtained from density functional theory calculation (DFT), I perform path sampling simulations of CH4 dissociation on Ni(111). The path sampling works by performing many short molecular dynamics simulations from several interfaces between reactant and product state. By compiling all the samples, one can obtain the kinetic quantities of the reaction. In my case, I calculate the CH4 dissociative sticking probability (0) on Ni(111). The calculated 0 is then compared with experimental estimation to validate our simulation setup.

Snapshots of path sampling results show the detail mechanism where CH4 initially in the gas phase approximate Ni surface. The interaction with the surface caused one of the the C—H bond to elongate. It is then later dissociated resulting the CH3 and H.
The calculated 0 has a two order of magnitude difference with experiment, while the activation energy obtained from Arrhenius expression is in very good agreement.

複素スケーリング法による12Cの0+状態の探索

著者|竹本 宏輝
所属|大阪医科薬科大学 薬学部

Brink–Bloch波動関数を基底とする複素スケーリング法により12C原子核の0+状態のt探索を行った。12Cの3α閾値近傍の0+状態はα粒子が凝縮した状態であり、そのBreathing modeの存在も予言されている。しかしながら、これらの状態は共鳴状態であるため、通常の方法では連続状態を除去することができない。そこで、本研究では複素スケーリング法を用いて、これらの状態の有無を調べた。

ヒューマン・オルガノイド生命医科学と情報・数理科学の融合研究

著者|渡場 康弘
所属|大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点

ヒューマン・オルガノイド生命医科学と情報・数理科学の融合研究として、今年度はMDシミュレーションを用いたキナーゼ変異の機構的理解、網膜オルガノイド表現型データの画像解析法の開発、肝細胞の分化や疾患時の再生に関わる転写制御ネットワークシングルセルデータ解析の各研究において利用した。

太陽光型植物工場の数値流体解析によるデジタルツイン環境の開発

著者|伊藤 裕一
所属|木更津工業高等専門学校

太陽光型植物工場における植物の光合成に重要となる水蒸気飽差 (VPD) 分布を制御するシステム開発に必要となる,制御則の検討が可能なデジタルツイン環境を開発することを目的とした.
細霧投入量を自動的に変更しながら大規模数値流体解析を逐次的に多数回実行するシステム(デジタルツイン環境)を独自に構築した.これにより,任意の制御則の導入・検討が可能となった.
本プロジェクトで構築したデジタルツイン環境で良好な成果をあげた制御則を実フィールドにおける制御システムにも組み込み,実環境においても目標値によく追従する結果を得た.

ナノスケール熱輸送に関する分子動力学解析

著者|長山暁子, 陳文涛
所属|九州工業大学

独自の計算コードと分子動力学計算ソフトウェアLAMMPSの両方を用いて、異なる厚さの水およびアルゴン液膜を解析し、固液界面におけるKapitza長さを求めた。また、二つの固体表面間におけるフォノン熱輸送を計算した。
固液界面におけるKapitza長さは系の代表寸法に依存し、ナノオーダーからマイクロオーダーに変化する。また、ナノギャップを介したフォノン熱輸送は、原子表面終端または電場に依存する。

レーザープラズマ相互作用による粒子加速

著者|顧 彦珺
所属|大阪大学産業科学研究所

In the shock injection mechanism of LWFA, the position and the size of the electron injection domain are determined by the shock downramp. To make the accelerated beam controllable and tunable, the relation between the injected beam quality and the shock downramp is investigated by kinetic simulations via the Particle-in-cell (PIC) code.

閉鎖性海域における低塩分水の動体と海水交換に大雨と風が与える影響

著者|小林 志保
所属|京都大学フィールド科学教育研究センター

日本では気候変動によって極端な降水が増加することが予測されており、それに伴う沿岸域の低塩分化の強化や長期化が、水産業において重要な海洋生物に影響を及ぼす可能性がある。閉鎖性海域は養殖場としてよく利用されているが、出水後に低塩分水が滞留しやすく、極端な降水の影響を受けやすい。閉鎖性海域における気候変動の影響を評価し対策を講じるためには、地形や小河川の影響を受ける複雑な低塩分水の動体を明らかにする必要がある。本研究では閉鎖性海域である石川県七尾湾をモデル海域として、河川流量を降水量から推定する河川モデルと、これを反映させた海洋モデルを構築し、海況の再現を行った。さらにこれらのモデルを用いた感度実験により、降水量や風などの気象条件と低塩分水の動態や海水交換の関係性を明らかにした。

計算化学・機械学習を利用した新規材料開発

著者|巳上 幸一郎
所属|パナソニック インダストリー株式会社 技術本部

目的 力学的刺激によってC-C結合が均等開裂するメカノフォアの対応するラジカルの励起状態解析を行うこと。
内容 Gaussianを利用したTDDFT計算による励起状態計算
結果 DAAN ラジカルの蛍光性がD1状態のキノイド性と関係があることが示唆された。

原子レベルでの加工現象の機械学習援用理論解析

著者|稲垣 耕司
所属|大阪大学大学院工学研究科

各種超精密表面加工法の原子レベルでの原子除去反応プロセスを第一原理計算を模倣する機械学習ポテンシャルで解析する手法を確立する

大規模数値シミュレーションによる乱流の基礎的研究

著者|本告 遊太郎
所属|大阪大学

大規模数値シミュレーションを用いて、乱流の維持機構や、乱流による物質輸送、および、粒子などの添加物による乱流変調を明らかにする。

スピードスケートのパシュート種目におけるコーナー滑走のシミュレーション

著者|青木 尊之
所属|東京科学大学 総合研究院 スーパーコンピューティング研究センター

スピードスケート競技の中で最も空力の影響を有効に利用することを求められるのがパシュート種目である。ダイナミックなフォームを考慮したコーナー滑走の空力解析を行うことで、競技戦略への貢献を目指す。滑走フォームは、両腕を大きく左右に振る短距離滑走の場合と異なり、片手を背中に置き片手だけを振り、滑走者間の距離が1m以下の第2、第3滑走者はプッシュ・ポーズを取る。この姿勢と隊列に対し、キュムラント型格子ボルツマン法、AMR法を用いて98m×65m×33mの計算領域に対し、スケーター近傍には4mm格子を動的に配置し、2ノード(16GPU)で計算した。パシュート隊列に対し、(日本スケート連盟、国立スポーツ科学センターと連携しながら)各スケーターの受ける抗力の時間変化をスケーター間の距離、横ずれの距離に応じて明らかにした。

疾病の網羅的遺伝子発現解析

著者|西村 建徳
所属|名古屋大学医学系研究科腫瘍生物学

様々な病態の遺伝子発現を網羅的解析し、疾病の発症メカニズムを解析する。

大振幅Alfven波による粒子加速

著者|諌山 翔伍
所属|九州大学

我々はこれまでに, 磁化プラズマ中を対向伝搬する大振幅波動が形成する定在波構造において, 波動振幅がある閾値を超えると, 非相対論的エネルギーを持つ全ての粒子が一挙に相対論的エネルギーまで加速されることを明らかにしてきた.
本研究では, 一つの親波がパラメトリック不安定性により崩壊する過程で生成される対向波を利用し, 新たな多段階的加速機構が発現することを発見した[S. Isayama, S. Matsukiyo, T. Sano and S. H. Chen submitted.]. 図1に示す緑色の電子は, 最終的に γe~2400に達しており, 以下のような三段階の加速過程が明らかとなった. 初期段階では, 対向伝搬する波動による加速(対向伝搬加速)が起こる. 対向伝搬加速を受けた電子バンチと背景イオンとの電荷分離により, 静電場Ecsが形成され, これが共鳴加速を強化する(Gyroresonant-surfing acceleration). 電子が感じるEcsが弱まると, 電子は親波に捕捉され, さらに超高エネルギーまで継続的に加速される. さらに, 対向伝搬加速により, 波束の後方に後続電場 Etrail が励起されることも確認された. なお, これとは別に, 2次元の数値シミュレーションも実施しており, 現在論文投稿の準備を進めている.

ワイドギャップ半導体点欠陥・界面欠陥の理論研究

著者|小林 拓真
所属|大阪大学大学院工学研究科

SiCは優れた物性を有し、加工・プロセス技術が成熟していることから、スピン量子光源のホスト材料として有望である。本研究では、SiCの電子物性を高精度に再現できるHSE06汎関数を用い、SiC中の不純物-空孔のペアに対する包括的調査を実施して、スピン量子光源として有望な点欠陥を調べた。結果として、既報告のNcVsiやOcVsiに加え、例えばAlsiVc、ScVsiが結合エネルギーの観点から安定に形成し、荷電状態によってはS≥1の欠陥スピンを有することが判明した。これらを代表とする多数の欠陥を対象に光学特性・スピン物性の理論計算を実施し、スピン量子光源の有力候補探索に取り組んだ。

第一原理計算による炭酸カルシウムの陽イオン固溶機構の解明

著者|松永 克志
所属|名古屋大学

炭酸カルシウムCaCO3にはカルサイト、アラゴナイトなどの結晶多形が存在する。水溶液合成においてこれら各相の生成割合は、不純物となる2価陽イオンの種類や濃度に依存することが報告されている。しかし、この現象の起源は明らかとなっていない。本研究では第一原理計算を用いて、2価陽イオンの固溶状態を解明することを目的とした。カルサイトおよびアラゴナイトに様々な濃度の2価陽イオン(Mg2+, Sr2+など)を置換固溶させ、そのときの固溶エネルギーを求めた。Sr2+の場合、カルサイト中への固溶エネルギーが常に正であるのに対し、アラゴナイト中のそれは常に負であった。したがって、Sr2+はアラゴナイトに容易に取り込まれると考えられる。一方、Mg2+ではカルサイト、アラゴナイト共に固溶エネルギーは正であったため、どちらの結晶においてもMg2+は固溶しにくい。本研究より、Sr2+がアラゴナイト生成をより促進すると考えられる。

Rational design for thermal stability of enzymes with comprehensive mutation

著者|Teppei Niide
所属|Department of Bioinformatic Engineering, Graduate School of Information Science and Technology, Osaka University

本研究では任意酵素の構造安定性に影響するアミノ酸残基を調査し、耐熱化に影響を及ぼすアミノ酸の位置や種類に関する情報を得ることを目的とした。特に、任意酵素の全アミノ酸残基に対して、網羅的に変異導入し、構造安定化に寄与するアミノ酸を調査した。変異導入前後で任意酵素の自由エネルギーがどれほど変化するのかを分析した。その結果、安定性に寄与するアミノ酸残基にある程度法則性があることを見出した。これにより、熱力学的に安定な酵素を設計する指針となる知見を得た。

組込みAIにおけるSoC推論性能DB構築

著者|吉濱 豊
所属|パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社開発本部

目的 車載機にDeep LearningをはじめとするAI技術を組み込むため、SoC特性データベース(DB)を構築すること
内容 様々なタスクでDeep Learning学習を行った学習済みアルゴリズムに対して、評価対象SoCへ組み込んだ際の動作性能結果を蓄積することでDB構築を行う
結果 3種類のタスクとそれに対応した合計200種のアルゴリズムに対して学習を実行し、DB構築を完了した

NMRを利用したAmphotericin Bチャネル複合体の構造解析

著者|山本 智也
所属|大阪大学大学院工学研究科附属フューチャーイノベーションセンター

Amphotericin Bが形成するイオンチャネル構造から得られた固体NMRデータを解釈するために、Gaussianによってイオンチャネル中でのNMRピークをシミュレーションした。計算手法としては共同研究先で得られたMD計算の座標データをもとにGaussianによる量子化学計算ファイルを作成し、分子の配座からNMRピーク形状を推定する。結果として実験結果に依存したピーク線幅の変化を計算によっても再現できた。

結晶構造予測手法のベンチマーク

著者|横山 智康
所属|パナソニック株式会社

Materials Projectよりランダムにサンプリングした40化合物の組成に対し、USPEXコードを用いて構造予測を実施

Sclerosis Reveals Pronounced Changes in Spinal Motor Neurons and Glutamate Overactivation

著者|竹内 恵里子
所属|大阪大学大学院医学系研究科神経内科学

Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is a neurodegenerative disease that causes motor neuron degeneration. However, the mechanisms underlying the selective vulnerability and involvement of non-motor neuron cells in ALS remain unclear. To investigate ALS pathology at the cellular level, we conducted a multiome (single-nucleus RNA sequencing and assay for transposase-accessible chromatin using sequencing) analysis using the motor cortex and spinal cord of patients with ALS and control individuals. Our results revealed significant gene expression changes in spinal motor neurons. We also identified enhanced glutamate signaling in spinal motor neurons as a prominent feature. By integrating genome-wide association study data, we identified ALS-associated SNPs in regulatory regions, suggesting cell-type-specific enrichment of risk, especially in microglia. These findings suggest that changes in spinal motor neurons and their surrounding environment, including glutamate signaling, may be involved in ALS pathology and provide valuable resources for future research on the mechanisms and potential therapeutic targets.

Model simulations of the impact of aerosols on the climate

著者|Hitoshi Matsui
所属|Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

ブラックカーボン(黒色の炭素粒子)について、北極域における大気・雪氷の加熱効果を推定・評価した。また、氷晶核(固体の雲粒を形成する微粒子)について、温暖化に伴う数濃度や雲影響の変化を推定・評価した。

Investigation of thermal transport in Graphite Intercalation system

著者|Wu Yijia
所属|The University of Tokyo

This research explores graphite and its intercalation with FeCl3 , aiming to uncover the mechanisms underlying the extremely low cross-plane thermal conductivity observed in GICs; experiments. In this study, we employed non-equilibrium molecular dynamics simulations to investigate the thermal conductivity of FeCl 3 -graphite intercalation compounds (GIC) with various nanostructures, including different stages, thickness, and filling factor. Stage, refers to the number of graphene layers sandwiched between neighboring intercalate layers. The present work provides valuable insights into modulating the thermal properties of graphite by tuning phonon wave nature at room temperature with intercalated layered material.The observed decreasing-increasing thermal conductivity trend affirm the existence of coherent phonon transport at low stages.

量子コンピュータを用いた量子化学計算とマテリアルインフォマティクスのためのアルゴリズム開発

著者|水上 渉
所属|大阪大学 量子情報・量子生命研究センター

近年急速に開発が進む量子コンピュータの応用先として、化学分野が注目を集めている。本研究では、量子コンピュータを用いた量子化学計算の化学への応用を目指したアルゴリズム開発をおこなった。量子化学計算については、昨年度のに開発した、量子アルゴリズムをマルチノードマルチGPUを使って効率的に古典コンピュータ上でシミュレートする方法の量子位相推定法への応用に着手した。さらに、新しい量子古典ハイブリッドアルゴリズムとして、量子計算と量子モンテカルロ法を融合させたCBT-AFQMCと呼ばれるアルゴリズムも開発した。また、量子コンピュータを用いた量子化学計算から得られるデータを将来有効活用するために、異なるレベルの量子化学計算を融合させるアルゴリズムTEAを開発した。TEAを使い複数のデータベースを統合し、有機系と無機系の双方に有用な汎用ニューラルネットワークポテンシャルモデル MACE-Osaka24を作成公開した。

ニューラルネットワーク、機械学習などによる流体計算の高速化

著者|青木 貴裕
所属|パナソニックホールディングス株式会社 技術部門 GX本部 グリーンイノベーションセンター 基盤技術部

目的 ニューラルネットワークによる複雑かつ多数のパラメータを利用する流体計算の高速計算の可能性検証
内容 Physics Informed Neural Networkを用いて、流体方程式や境界条件等に関する誤差関数を定義し、それを最小化することで流体計算を高速化できるかを検証しつつ、収束に必要な条件(例えば各要素の重み、学習率など)を明確化
結果 活性化関数をsoftmax型関数を用いることで、レイノルズ数150程度の乱流計算を実行可能なことが分かった ⇒ 今後の流体計算の高速化の一助になる可能性有

画像認識(Object Detection)における半教師有学習の適用

著者|上田大介,新崎誠,黒川幸将
所属|パナソニックコネクト株式会社

目的 画像認識モデル学習データ収集効率化技術の開発
内容 ドメインの異なる学習データが追加されるシナリオでモデル学習に必要なデータ量を削減するために、半教師有学習技術を活用する
結果 画像認識技術の実用化には、迅速なモデル開発が求められるが、アノテーション作業がボトルネックとなっている。
本研究では、半教師有学習を活用し、少量のアノテーション付き画像と大量のアノテーション無し画像を用いて高精度な認識を目指した。
YOLOの物体検出に適用する技術を開発し、異なるドメインでの追加学習実験を通して、
Teacherの検出漏れの影響やドメイン差の影響などの課題を特定した。

フォトニックナノジェットを利用した微細加工に関する研究

著者|上野原 努
所属|大阪大学

フォトニックナノジェット(Photonic nanojet: PNJ)は誘電体マイクロ球にレーザを照射することで発生するビームである.PNJの高分解能な強度分布制御によって,高分解能に加工幅や加工深さを制御可能なレーザ微細加工技術の確立を目的とする.PNJを用いたレーザ加工において,マイクロ球の周囲の媒質がPNJの生成に与える影響について明らかにするためにFinite-Difference Time-Domain法による電磁場解析を行った.

レーザー駆動磁気リコネクションにおけるイオン加速機構の3次元PICシミュレーション

著者|Law King Fai Farley
所属|大阪大学レーザー科学研究所

宇宙におけるエネルギー解放現象である磁気リコネクションの解明を目指し、レーザー実験室プラズマにおけるイオン加速機構に焦点を当てた。3次元粒子シミュレーション(PIC)コードEPOCHを用いて、高強度レーザー照射スネイルターゲット実験を模擬した(32ノードx48時間等)。その結果、レーザーによる数kTの強磁場生成、磁気リコネクション発生、および複数イオン種がMeV級エネルギーへ同時に加速される過程を3次元的に再現することに成功した。核子あたり最大エネルギーのスケーリング則を評価したところ、指数はα≈1.32となり、実験値(α≈0.84)とは定量的な差異が見られた。これはスケールダウン効果等に起因する可能性があり、実スケール現象の理解には更なる大規模計算と詳細な解析が必要であることが示唆された。

Analysis of adsorption and diffusion properties of additives on a steel surface

著者|Toru Sekiya
所属|NTN Next Generation Research Alliance Laboratories, Osaka University

Quantum ESPRESSOを利用した第一原理計算により、潤滑油添加剤の金属界面への吸着力を解析した。LAMMPSを利用した分子動力学シミュレーションにより、潤滑油添加剤の吸着および拡散挙動を解析した。添加剤種による吸着や拡散の挙動の違いに関する知見を得た。

Computational chemical study on heavy element containing compounds

著者|Masashi Kaneko
所属|Osaka University

アクチノイド元素であるU, Thは、数~数10 eVという超低エネルギーの核励起状態(235mU, 229mTh)を持つ。これらの励起状態からの核壊変は、束縛電子に影響を及ぼすため、原子核がどういう化学状態にあるかによって壊変特性が変化する。235mUの実験において、ハロゲン化ガスとの反応生成物は、235mUから235Uの壊変における半減期が、Cl, Br, I, Fの順に短くなることが知られており、その機序を明らかにすることは本研究の目的である。本研究では、ORCAやDIRACなどの量子化学計算プログラムを用いて、235mU-ハロゲン化物のモデル化及び電子状態解析による半減期予測を行った。その結果、Uの電子状態は、結晶や結合するハロゲンの種類によって変化し、その6p, 6d電子数変化と235mUの半減期変化を相関づけることに成功した。

双曲型偏微分方程式を利用した状態空間レイヤーについて

著者|谷口 隆晴
所属|神戸大学理学研究科数学専攻

大規模言語モデルなどで利用されているTransformerは,入力系列の長さが長くなると計算量が大きくなりすぎることが知られている.そこで,状態空間モデルをニューラルネットワークの層として利用する方法が注目されている.本研究では,既存の状態空間モデルが双曲型偏微分方程式を離散化したものと解釈できることを示し,実際のタスクにそのようなモデルが適用可能であることを示した.

熱流体物理の未解決問題の数値解析研究

著者|内藤 健
所属|早稲田大学 基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科

スーパーコンピュータを利用して様々な問題の熱流体数値解析がおこなわれているが、例えば、直管内で乱流遷移する位置と入口乱れ強さの関係を解明できる数値解析や理論は存在してこなかった。当方では、確率論的Navier-Stokes方程式とその境界条件の理論を新たに提案し、それに基づいて、現象の解明を可能にしてきている。
またそれを、高効率ロケットエンジン,レシプロエンジンの性能検討に利用することを進めてきている。

分子シミュレーションを用いた機能性分子の探索・設計

著者|寺山 慧
所属|横浜市立大学

有機分子の物性が計算で推定できれば、材料開発から創薬まで様々な分野で応用が期待される。本研究では、光物性・電子物性を含む様々な自動計算を可能にするため、量子化学計算を自動化する手法QCforeverの拡張に取り組んだ。今年度は特に円偏光・蛍光円偏光、極性率の計算手法に注目した。SQUID上でQCforeverが動作するように実装し、数万分子の分子物性の評価・検証を実施した。

Development of a method to predict physical properties from SEM images of new materials using the GAN method

著者|小口 多美夫
所属|大阪大学

本研究では機械学習のモデル構築に必要な画像の学習データ不足を解決するため、高精度な疑似画像を生成できる敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)を用いた物性予測モデルの開発について検討を開始した。2024年度は新素材のSEM画像から512×512pixelのサイズで切り出した学習データセットを用いてGANモデルを作成した。その結果、高い精度の疑似画像は生成できず、物性との関連が示唆される特徴成分が十分に反映されていなかった。画像サイズの拡大に伴い、十分な学習データ数が確保できていないことが性能低下の要因として考えられた。

当量比0.8から1.2のプールを有するデトネーション管におけるデトネーションの開始と伝搬

著者|ジェミンスカ・エディータ
所属|上智大学理工学部機能創造理工学科

The purpose of this study is to understand the occurrence of detonation resulting from combustion within the Mini-Rut structure, in order to assess its potential hazards and gain knowledge regarding the structural safety. In a previous study conducted in 2023, detonation was observed in a premixed H₂-air gas at an equivalence ratio (Φ) of 1.0. In the present study, experiments were conducted with equivalence ratios ranging from 0.8 to 1.2.