2015年度に報告された大規模計算機システムの研究成果の一覧です。



Elasto-inertial turbulence における反変・共変 高分子の伸長とエネルギー伝達

著者|堀内潔
所属|東京工業大学 機械宇宙システム専攻

流体に少量の高分子を添加することによる抵抗低減現象(Toms効果)の解明を目指し、高分子の伸長が大きな場合、溶媒の局所的な変形に高分子が追随しないとする de Gennes 仮説の検証を行う.

開いたキャビティを過ぎる三次元非圧縮流れにおける渦構造のシミュレーション

著者|吉田尚史,澤田石誠,鈴木智洋
所属|信州大学工学部

開いたキャビティを過ぎる三次元自励振動流の渦構造を解析することを目的とする.キャビティアスペクト比2と2.5のケースについて直接数値シミュレーションを実行し,渦構造を可視化した.ケルビンヘルムホルツ不安定による二次元的自励振動から三次元縦渦構造に変化する過程を解析した.

表面テクスチャ観察に用いる光放射圧制御微小球レンズの運動解析

著者|山口悠希
所属|大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻高谷・水谷研究室

近年要求の高まる表面微細構造の評価手法として,本研究ではレーザトラッピング技 術を応用した新規の顕微鏡技術を開発する.本手法によって,従来では観察が困難な波長オーダの微細構造イメージングが可能になると考えられる.実現には捕捉球位置制御が不可欠であるため,電磁場解析に基づき試料面近傍に置ける捕捉球の運動解析を行う.

超音速機の姿勢制御ジェットと主流との干渉について

著者|吹場活佳
所属|静岡大学大学院 総合科学技術研究科 工学専攻

超音速機の姿勢を制御するための手法として、ジェットを噴射しその反作用力を利用するRCSと呼ばれる方法がある.本計算ではCFDにより主流とRCSジェットの干渉を再現し、ジェット噴射口の適切な配置などを検討した.結果として、主流とジェットとの干渉が機体表面の圧力分布を変化させるため、ジェット噴射口の位置によって姿勢制御力が大きく変化することが分かった.最終的に、ノーズコーン後端部分に噴射口を配置することにより、RSCジェットの姿勢制御能力を大きく向上させることに成功した

レーザー核融合液体壁炉チェンバー内の金属蒸気の挙動の評価

著者|古河裕之
所属|大阪大学 レーザー研

レーザー核融合液体壁炉概念設計「KOYO-fast」においては、厚さ3mmから5mmの液体リチウム鉛が第一壁に沿って滝状に流下する構造、「液体壁」を形成して第一壁を保護している。液体壁は液体から中性気体、部分電離プラズマへと相変化を伴いながらアブレーションする。アブレーションにより生成されたプルーム(気体、液体、固体などの塊)中には、ナノクラスターが生成されること等が予想される。
これらの複合複雑現象を解析するために、統合シミュレーションコードDECORE ( DEsign COde for REactor )を開発し、アブレーション生成プルームの挙動を評価した。

遠隔観測・LESに基づく耐風設計用鉛直風速分布の再評価と乱れの不確定性の定量化

著者|片岡浩人
所属|大林組 技術研究所

LES数値解析による市街地上空における強風の空間分布ならびに乱流構造の把握.風荷重評価を目的としたCFDコードのベンチマークテストの際に必要となる流入変動風データベースの作成

構造関数モデルを用いた二次元乱流噴流のLES

著者|吉田尚史,土屋俊樹
所属|信州大学工学部

構造関数モデルを用いたLarge Eddy Simulationで二次元乱流噴流の発達を調べることを目的とする.レイノルズ数10,000の二次元乱流噴流をLESで計算し,統計量を実験値と比較し解析した.構造関数モデルは従来の須磨五輪スキーモデルより安定で,時間平均速度や乱れ強さは実験値と一致する結果が得られた.

機能性材料の量子反応解析

著者|笠井秀明, 中西寛, Allan Abraham Bustria Padama, Joaquin Moreno, Susan Aspera, 土谷亮
所属|大阪大学大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 応用物理学コース ナノ物性理論領域

エネルギー・環境問題の解決に向けた機能性材料に対して、量子論に根差した反応性解析を行う。
プロトン交換型燃料電池における電極触媒の担体として、カーボンブラックが現在用いられているが、この炭素自身が酸化される副反応が知られていた。より安定な炭素系担体材料として、カーボンナノチューブの利用が研究されている。そこで、カーボンナノチューブ-酸素相互作用を第一原理計算から調べた。アニオン交換型燃料電池は貴金属を触媒に使用する必要がないため注目されているが、アニオン交換膜は水酸化物イオンOH-によって劣化してしまうことが知られている。そこで、劣化反応の機構探索と置換基の導入による効果を第一原理計算により評価した。Pdは水素との相互作用が強く、水素吸蔵材などへの応用が研究されている。特にPd(110)表面では、水素との相互作用により表面再構成が起こることが知られている。そこで本研究では、 Pd(110)表面上で水素原子が感じるポテンシャルエネルギーを第一原理計算から算出し、これに基づき水素原子核の量子束縛状態を調べた。

2フレーバー格子QCDによる中間子遮蔽質量の化学ポテンシャル依存性

著者|髙橋純一
所属|九州大学大学院 理学府 物理学専攻

有限温度・密度領域における中間子の性質を研究することはQCD物性を探る上で重要なものの一つである。ここでは格子QCDにより中間子遮蔽質量の化学ポテンシャル(μ)依存性を求め、その性質を探るのが目的である。
符号問題のない虚数化学ポテンシャル(μI=iμ)領域で格子QCDにより中間子遮蔽質量を求め、実数μ領域に外挿することにより、中間子遮蔽質量のμ依存性を探った。またどの程度の実数μまで外挿出来るかも調べた。

収縮衝撃波に生じる変位の時間発展

著者|岩本幸治, 村上匡且
所属|愛媛大学大学院理工学研究科, 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

Guderleyの自己相似解で表される流れ場の安定性を線形解析の結果と比較し、解析と計算の妥当性を確認した。具体的には縮衝撃波に変位を与えて時間発展計算を行った。その結果、変位の減衰/増幅を示す条件、その時間発展が解析と計算で一致した。

大規模固有値問題における複数固有値の同時求解の計算高速化

著者|降籏大介
所属|大阪大学サイバーメディアセンター

大規模固有値問題において、複数の固有値を同時に求めるアルゴリズムは複数あるが、いずれも計算量の大きさが実用上の問題であり、この困難に対してなんらかの改善が必要とされている.そこで、逆べき計算過程の反 復によりなんらかの純粋な固有ベクトルへの収束を期待する逆べき乗法のその計算過程において多くの情報が利用されずに破棄されていることに着目し、これらを求解に寄与させることで全体の計算速度の向上をはかることを試みる.またもちろん、これらの計算を並列化することで、複数固有 値の求解が行える.
そして実際、並列化が完全になされていない小規模な試験計算においてではあるが、n x n 行列に対し、m 個の固有値を求める問題で計算時間がおおよそ O(n^2) で済むことが確認できた.理論上この計算量は O(n^3) まで膨らむため、この結果は有望なものである.

乱流および多相流のシミュレーション

著者|梶島岳夫,竹内伸太郎,大森健史
所属|大阪大学 工学研究科 機械工学専攻

  氏名: 梶島岳夫,竹内伸太郎,大森健史 所属: 大阪大学 工学研究科 機械工学専攻 概要: 空力騒音、二相乱流、二相伝熱、流体構造連成解析、気液界面および濡れの現象を対象として、差分法、有限要素法、分子動力…続きを読む

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|大川正典
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対する有限量子多体系の数値的な解法である。

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|土居孝寛,菅沼秀夫
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対する有限量子多体系の数値的な解法である。

マルチスケールの熱流動シミュレーションに関する研究

著者|芝原正彦,植木祥高
所属|大阪大学大学院機械工学専攻

LESを用いてタービン翼列内部に生じる局所的なエントロピー生成量の調査を行うことを目的にSX-ACEを用いた数値解析を行った.チャネル流れを用いてLESにおける局所的なエントロピー生成量の計算手法の提案を行い,その妥当性を評価した.そして,その計算手法を用いて,馬蹄渦が生成されるタービン翼前縁付け根部とエンドウォール上で生じるエントロピーの予測を行った.

粘弾性流体の壁乱流及び乱流遷移の直接数値解析

著者|塚原隆裕,辰野誠哉,池上明人,井上俊,数野信夫
所属|東京理科大学大学院理工学研究科機械工学専攻

本研究では,粘弾性流体の複雑流路内流れと乱流遷移過程について,直接数値解析(DNS)を行った.乱流摩擦抵抗の低減効果をもたらす粘弾性流体は工学上重要な非ニュートン流体の一種だが,その乱流状態における流体挙動や乱流構造の変化には未だ未解明な点は多い.本解析により,バックステップ流路における再付着点位置の変化についてメカニズムを解明し,また回転系平面クエット流では粘弾性流体特有の乱流遷移過程を発見した.これにより得られる知見やDNSデータベースは,粘弾性流体のモデリングやハンドリング技術の高度化に資するものである.

超高強度レーザーとプラズマとの相互作用による高エネルギー電子発生のシミュレーション

著者|畑昌育
所属|大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

複数ビームで構成されているレーザー装置においては,複数ビームの干渉によりターゲット表面に擾乱が起きることがわかっている.この擾乱は電子ビームの角度広がりを増大させる.そこで,各レーザービームの波長を数%ずらして干渉パターンを時間とともに変化させることで,擾乱を抑制し角度広がりを小さくすることができないかを二次元電磁粒子コードにより調べた.

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|筒井翔一郎
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対する有限量子多体系の数値的な解法である。

気道壁剛性の違いが肺クラックル音源に与える影響

著者|伊井仁志, 和田成生
所属|大阪大学 大学院基礎工学研究科

数値流体音響シミュレーションにより,肺クラックル音における気道壁剛性の違いが音源生成に与える影響を明らかにする.気相・液相・固相を連成した数理モデルを構築し,粘液相の液柱架橋を伴う気道閉塞時の計測点での音源を比較したところ,壁剛性の増加に伴い音源が小さくなることを確認した.これより,壁剛性が気道閉塞のダイナミクスを介してクラックル音発生に関与することを明らかにした.

LES study of high-Re flow past a square cylinder by using structured and unstructured grids

著者|Cao Yong
所属| Tokyo Institute of Technology

Based on the flow past a square cylinder at Re=2.2e4, the accuracy of LES on structured and unstructured grids is assessed.

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|中村純
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対する有限量子多体系の数値的な解法である。

爆轟現象の解明とその応用に関する研究

著者|坪井伸幸
所属|九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学研究系

水素/空気予混合気に対する詳細化学反応モデルを使用して,3次元の非定常圧縮性非粘性解析を行った.今年度はデトネーションを応用した回転デトネーションエンジンの推進性能について様々な条件で解析を行い,ノズル性能の評価を行った.非定常計算結果の時間平均値を求めることで,ノズルの効率を算出することが可能となった.

大規模疎行列直接法ソルバーのSX-ACEへの実装

著者|鈴木厚
所属|大阪大学 サイバーメディアセンター

大規模疎行列ソルバーは流体,弾性体などの有限要素解析における主要ツールである. マルチコアスーパースカラCPU向けに開発している, C++で記述された Dissection コードをマルチコアベクトルCPU構成のSX-ACEで稼働するよう移植することを目的とする. 共有メモリーの1ノード, 4コアを対象とし,マルチコア並列は POSIX Threads ライブラリー による非同期の並列実行により実現し, ベクトル化は直接法の主たる演算を担っているBLAS レベル3ライブラリーにベクトル化された逐次演算のものを用いる. SX-ACE は 1コアあたり64GFlop/s の演算性能を持つが, 60万次元の非圧縮性流れ問題の疎行列を用いて, 1コアあ19.2GFlop/sのIntel Xeon CPUに対し, 2.4倍, 4コアでは1.99倍の演算性能を得た. 4コアでの並列効率は65.5%である.

Graphitic層状物質上のレーザー水分解のシミュレーション

著者|宮本良之
所属|産業技術総合研究所機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター

グラフェン、hBN、gC3N4の層状物質上へ水分子を乗せた場合のレーザー分解を調べた

電界印加下でのナノカーボン電子物性解明

著者|岡田晋
所属|筑波大学 数理物質系

本プロジェクトでは定常電界下におかれたナノスケールカーボン物質の電子物性の解明を目的として、密度汎関数理論に基づく第一原理計算の手法と有効遮蔽媒質法を組み合わせることにより、既存の周期系向けの電子状態計算コードを用いて、グラフェンやCNTの外部一様電界下における電子物性の解明を行った。グラフェンリボンに平行に一様電界を印加することで、端の外側の真空領域に自由電子状態が発現し新たな伝導チャネルとなりえることを示した。また、CNTの薄膜においては、低いキャリアドープ時において印加電界と逆向きの電界が誘起されることを明らかにした。

潮流混合と海底懸濁物の鉛直分布に関するシミュレーション

著者|吉川裕
所属|京都大学大学院理学研究科

潮流の卓越する浅海域では、海底で乱流が発達し、海底の物質が巻き上がる。例えば海底に沈着した放射性物質はこのような過程を通じで再懸濁し海流により輸送される。そこで懸濁物質の鉛直分布が、潮流の強さや懸濁物質の沈降速度にどのように依存するのかを明らかにするため、懸濁物質を模した仮想粒子の追跡モジュールを組み込んだ海底乱流のラージエディシミュレーションを行った。その結果、物質濃度の鉛直分布はおよそ指数関数的であり、その減少率は沈降速度(w)と渦粘性係数(μ)を用いてw/μと表現できることを確認した。ただし潮流の時間変化に伴いμも変化するが、沈降速度が遅いほど濃度の鉛直分布はμの時間変化に追随しないこと、減少率はμの平均値ではなくμの最大値により影響を受けること、などが明らかになった。

長距離高速光ファイバ信号伝送のシミュレーション

著者|松本正行
所属|和歌山大学システム工学部

高周波数利用効率光ファイバ通信の信号伝送距離を増大させることを目的として、多値光信号再生方式に関する研究を行った。光QPSK信号に対する光電気変換型再生器に関して、信号再生実験を行うとともに雑音除去能力の数値解析を行った。分散マネージ伝送路中に光電気変換型信号再生器を周期的に配置した伝送系を想定して、ボーレート56GBdのQPSK信号伝送シミュレーションを行い、信号再生器による雑音抑制の有効性を評価した。チャネル間の非線形相互作用が伝送劣化の要因となる波長多重伝送環境下において、信号再生器を用いることによりデータ判定誤り率が10分の1程度に低下し、伝送距離が1.5倍程度に増大することがわかった。

レーザー駆動スネイルターゲットを用いたキロテスラ級強磁場発生シミュレーション

著者|LAW King Fai Farley
所属|大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター

LFEXレーザーに照射されたスネイルターゲットで発生したキロテスラ級の磁場強度を,実験データとの比較で推算するために,シミュレーションを使って磁場分布のモデル化をする

Particle-In-Cellシミュレーションによる磁化プラズマの電子熱伝導率の検証

著者|朝比奈隆志
所属|大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

磁化プラズマの電子熱伝導率としてはBraginskiiモデルが長く利用されてきたが,最近新たなモデル(Ji-Heldモデル)が提唱された.本研究ではParticle-In-Cellシミュレーションを用いて強磁場中での電子熱伝導現象を再現し,モデルの検証を行った.シミュレーションの結果,磁場に垂直方向への熱伝導率はJi-Heldモデルに一致し,その妥当性が示された.

Chiral symmetry breaking, instantons, and monopoles

著者|長谷川将康
所属|Joint Institute for Nuclear Research, Bogoliubov Laboratory of Theoretical Physics

現在、カイラル対称性の破れと、インスタントン、モノポールの関係を定量的に示すため
に、QCDの第一原理計算をAdriano Di Giacomo氏(Pisa大学名誉教授)と共に行っている。
これまでに、モノポールを入れたQCD真空を生成し、その真空から、オーバラップフェ
ルミオンのディラック演算子の固有値と固有ベクトルを計算した。そして、QCD真空中
のインスタントンの数を計算し、モノポールとインスタントンの関係を定量的に示した。
さらに、固有値分布をランダム行列理論による予想と比較することにより、カイラル凝縮
を計算した。最後に、パイオン崩壊定数とクォーク質量を評価した。

カーボンナノチューブ-分子間における電荷移動の理論的検討

著者|赤井恵
所属|大阪大学大学院 工学研究科

我々は最近, カーボンナノチューブ(CNT)素子においてCNT表面に吸着した分子1個とCNT間の電荷移動に起因する電流雑音の計測に成功した。室温大気圧下でこのような計測に成功した例は未だかつてなく, そのメカニズムについては分かっていないことが多い。本研究では,CNT-分子間の電荷移動についてより深い知見を得るために密度汎関数理論(DFT)に基づく理論検討を行うことを目的とした。

仮想心臓モデルによる心臓電気現象シミュレーション

著者|稲田慎,原口亮, 芦原貴司, 中沢一雄
所属|国立循環器病研究センター, 滋賀医科大学循環器内科・不整脈センター,国立循環器病研究センター

スーパーコンピュータ上に仮想心臓モデルを構築し,電気生理学的シミュレーションを行うことで致死性不整脈のメカニズム解明や,予防・診断に役立たせることを目的としている.内容:心筋細胞の電気的興奮に伴う電気現象(活動電位)を再現することが可能なユニットを約2000万個組み合わせて心室形状モデルを構築した.モデルには,心室壁内における電気生理学的性質の不均一性(心室較差)を組み込んだ.本研究では,遺伝性の心臓疾患の一つであるBrugada症候群を想定し,伝導障害と心室性不整脈の誘発性および持続性との関係について検討した.その結果,伝導障害領域の大きさ,障害の程度,期外収縮のタイミングが不整脈の誘発性や持続性に影響を与えることがわかった.また,右室流出路における伝導障害は,右室自由壁に伝導障害がある場合と比較して,伝導障害領域における興奮波の広がりが不均一になりやすく,その結果,不整脈の誘発性が高くなることが明らかとなった.

原子膜への不純物ドープに関する研究

著者|藤本義隆
所属|東京工業大学大学院理工学研究科

第一原理密度汎関数理論に基づき、グラフェンへのホウ素および窒素をドープした系のエネルギー論やエネルギーバンド構造などを求めた。 その結果、単層よりも二層系グラフェンの方が、ホウ素・窒素ともにドープしやすいことが分かった。また、走査型トンネル電子顕微鏡像は、ホウ素と窒素ドープで異なることが分かった。

マイクロ熱工学に関する分子シミュレーション

著者|芝原正彦,植木祥高
所属|大阪大学大学院機械工学専攻

ナノ・マイクロメートルスケールのエネルギー輸送現象を原理的に理解して制御することを目的として,以下の分子シミュレーションを実施した.ナノ構造が凝縮および凝縮時の熱抵抗に与える影響,ナノ粒子層が熱抵抗に及ぼす影響を分子動力学法を用いて調査した.そのために大規模可視化対応PCクラスタを用いた.また,凝固過程が固体壁面近傍の液体分子の状態に与える影響を分子動力学アプリケーションLAMMPSを用いて調査した.

口腔単純形状モデルを用いた歯茎摩擦音/s/の空力音響解析

著者|吉永司, 野崎一徳, 和田成生
所属|大阪大学基礎工学部, 歯学部付属病院

本研究では,歯茎摩擦音/s/発音時の口腔形状を単純化したモデルを用いて音の発生メカニズムを明らかにすることを目的とする.LESと音響解析を組み合わせることにより,口腔内のジェット乱流から発生する音を解析した.その結果,前歯後流において音源を発生させることにより,歯茎摩擦音/s/の音の特徴が形成されると示唆された.

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|福田龍太郎
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対する有限量子多体系の数値的な解法である。

超高強度レーザーとプラズマの相互作用

著者|田口俊弘
所属|摂南大学 理工学部

前年度得られた結果によって,磁場があまり強くないときには電子ビーム流が阻止される効果が起き,それが大強度の低速円偏光波(ホイッスラー波)の発生によるものであることがわかった.そこで今年度は、このホイッスラー波の発生メカニズムを調べるべく,さらに詳細なシミュレーションと理論解析を行った.

道路橋用アルミニウム合金材の実用化に向けた研究

著者|山木陸呂宇
所属|大阪大学大学院 工学研究科 地球総合工学専攻 大倉研究室

アルミニウム合金は軽量で耐食性に優れているため,アルミニウム合金材を道路橋に適用することで,耐震性の向上およびコスト削減を図ることを目的とする.曲げとせん断を受ける桁に対して,FEMによる弾塑性有限変位解析を行い,上記の桁の終局状態での耐荷力を調べた.図に示すように,あるせん断比Vu/V0u以上では,上下フランジの横方向の拘束の有無に関係なく,同じような耐荷力曲線となる.一方で,あるせん断比Vu/V0u以下では,上下フランジの横方向の拘束の有無によって,異なる耐荷力曲線となる.

直接撮像法による若い恒星周りの太陽系外惑星探査

著者|小西美穂子
所属|大阪大学 理学研究科 宇宙地球科学専攻

2009年10月から2015年1月までで40天体を観測。惑星候補を24個発見した。そのうち重力的に主星とバウンドしていることが確認されたのは3個であり、残りは偶然視線状に重なった背景の恒星であることが分かった。伴星は3つとも褐色矮星程度の質量を持つ。そのうち1つは我々が初めて発見したものである。さらに詳細解析を行い、データの検証を進めている。

竜巻の生成機構に関する数値解析的研究

著者|佐久間悠人
所属|東京工業大学 総合理工学研究科 環境理工学創造専攻

竜巻は大気不安定性に起因する極めて局所的な現象であり,安全な生活を脅かす存  在であるが,地上近傍での竜巻生成機構は未だ明らかでない.既存の研究にて,竜巻シミュレーター軸対称な流れ場で,周囲の環境場は考慮していない.また気象モデルでの解析は上空の積乱雲を対象としており,そのスケールの違いから竜巻を捉えるまでには至っていない.本研究では,竜巻が地表近傍でどのように発生するかを解明するために,竜巻発生時の地表面から積乱雲下にかけての環境場を考慮しながら竜巻状渦の数値解析を行い,まだ明らかになっていない地上付近での竜巻の生成機構についての研究を行った.

超音速燃焼を考慮した圧縮性粘性流れの数値解析法に関する研究

著者|坪井伸幸
所属|九州工業大学大学院工学研究院機械知能工学研究系

空気中に噴出する低速水素噴流の拡散挙動を明らかにするために,化学種の質量保存を含む3次元非定常圧縮性粘性解析を行った.通常の圧縮性解析ではマッハ数が0.1を下回るとstiffになるため,化学種の質量保存を考慮しつつ固有値を操作する非定常前処理法を導入し,実験結果と比較しても妥当な結果が示された.

熱的安定度をもつ大気境界層における渦対の減衰

著者|藤岡祐太郎
所属|東京工業大学 総合理工学研究科

熱的安定度と大気境界層乱流を考慮し、航空機による後方乱気流の滑走路付近における減衰挙動を把握するため、中立境界層、安定境界層、対流境界層のLESを実施し、運動方程式に外力項を導入することで固体表面付近に後方乱気流を模した強い渦対を設定した。その結果、安定度によって異なる渦対の減衰機構がみられた。対流境界層には強い乱れが随所で渦の減衰を速める機構があり、安定境界層では乱れが少ないために減衰が遅く、さらに地表面でできる局所的な境界層が剥離して渦を包み込むために減衰が緩やかに進むことがわかった。

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|河野宏明
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対する有限量子多体系の数値的な解法である。

極超音速縦渦の遷移過程に関する研究

著者|比江島俊彦
所属|大阪府立大学 工学域 航空宇宙工学分野

極超音速流中における縦渦の遷移過程を調べるために,微小攪乱に対する縦渦の空間発達から生成される組織渦構造や小規模渦の特性を流れ場より解析した。

磁場の散逸を考慮した原始惑星系円盤の形成の数値シミュレーション

著者|町田正博
所属|九州大学 理学研究院

SX-ACEを用いて磁場の散逸を考慮した磁気流体多層格子法の数値コードによって原始惑星系円盤の形成と進化の数値シミュレーションを行った。星が出来る前の分子雲コアを初期条件とし、コアの密度分布と重力に対する熱的安定性をパラメータとして原始星形成後10万年程度の計算を実行し、原始惑星円盤が形成する条件を求めた。

混相流数値シミュレーション

著者|杉山和靖
所属|大阪大学 大学院基礎工学研究科

VOF法/MTHINC法に基づく気液二相流コードの単体版を基に,MPI並列版のコードを開発し,動作確認を行なった.FX10やFX100で構成される他所のスパコンに比べると,コア当たりの実行性能は高いものの,ノード当たりの性能が有意に低く,利用可能な計算資源が少ないため,SX-ACEを使用してのプロダクトランは行なわなかった.

高濃度に固体粒子を含む流れの数値シミュレーション

著者|辻拓也,田中敏嗣,鷲野公彰
所属|大阪大学 工学研究科機械工学専攻

高濃度に固体粒子を含む流れでは,粒子スケールで起こる固体粒子間の衝突や,粒子-流体間の直接的な流体力学相互作用が,気泡やクラスターなどのメゾスケール構造の形成を引き起こし,さらにこれらの自発構造がより大きいスケールでの対流運動を誘起するなど,典型的なマルチスケール構造を持ちます.実際の工業的な応用では,多くの場合二相間の熱・物質輸送が伴い,さらには粒子サイズの不均一性や,非球形性が問題となることが多く,高精度な予測を行うには多くの物理因子を考慮する必要があります.本研究では,これらの素過程となる種々の現象のモデル開発に取り組んでいます.

タンパク質-化合物結合自由エネルギーの高精度予測

著者|奥野恭史
所属|(公財)先端医療振興財団 インシリコ創薬拠点形成推進グループ

製薬業界において、タンパク質と化合物の結合親和性を正確に予測することが求められている。タンパク質と化合物の結合自由エネルギー(ΔG)は結合親和性の指標となるが、これらの分子は水中で柔軟に運動しており、両者の間の絶妙な相互作用のバランスで決まるため、正確に予測することが困難な状況にある。 ΔGを高精度に計算する方法として、MP-CAFEE法が既に考案されている(Fujitani H. et.al. Phys. Rev. E, 79, 021914(2009))。MP-CAFEE法では、化合物が結合したタンパク質の分子動力学計算を複数の計算条件(192種類)で実施し、結果全体を統計的に解析して結合親和性を予測する。本研究ではキナーゼタンパク質を対象にMP-CAFEE法を実施した結果、一定の予測精度がある事が示された。更に、シミュレーション中に観測される主要な結合状態と稀に生じる結合状態に対して別々にΔGを算出して平均化する事により、予測精度をこれまで以上に上昇させる事に成功した。

弱い背景磁場中におけるレーザー生成プラズマ流の構造形成

著者|森高外征雄
所属|台湾・国立中央大学物理学系 (阪大レーザー研)

レーザー生成プラズマを用いた宇宙プラズマ現象の模擬実験が各国で進められている。これまでは非磁化プラズマ流の衝突による無衝突衝撃波生成が主な実験対象であったが、近年、外部磁場を導入することによる磁化プラズマ現象の再現へと実験対象が拡大してきている。本研究では、永久磁石や電磁石を用いた実験における基礎的過程として、レーザー生成プラズマのエネルギーよりも磁場のエネルギーが小さい、すなわちβ値(プラズマ動圧/磁気圧)が大きい場合におけるプラズマ流と背景磁場との相互作用を検討した。

超高強度レーザーと物質の相互作用における輻射減衰とガンマ線源

著者|オング ジアン フー
所属|大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

Radiation reaction (RR) force plays an important role in gamma ray production in the interaction of ultraintense laser with relativistic counterpropagating electron at intensity 1022 W/cm2 and beyond. The relationship between emission spectrum and initial kinetic energy of electron at such intensities is yet to be clear experimentally. On the other hand, the energy from both the relativistic electron beam and laser pulse may be converted into the gamma rays. Therefore, the conversion efficiency of energy purely from laser pulse into gamma rays is of great interest. For an electron bunch, the laser field has to be treated self-consistently by solving Maxwell’s equations. A full 3-D particle-in-cell (PIC) simulation has to be carried out in order to obtain accurate description for radiation emission by electron in laser field.

シミュレーション技術を用いた溶融液体内に生じる乱流機構の解明と予測法の開発

著者|太田貴士
所属|福井大学 工学部

液体金属のように、固体相から溶融した液体中に生じる乱流の発生維 持機構を解明するとともに、高精度に予測する方法を開発することを目指している。相変化の影響と半溶融帯を伴う溶融液体内に発生する乱流の直接数値 シミュレーションを実現するための解析法を開発した。

相分離による自己組織化構造と乱流渦の形成過程の相関

著者|高木洋平
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科

熱力学的不安定性による液-液系の相分離過程では自己組織化構造が形成され、この構造は乱流中の渦構造と強く相関していることが予想される。本研究では構造形成のダイナミクスとエネルギーバランスから相分離と乱流渦の関係を明らかにするために、相分離を記述するCahn-Hilliard方程式を流体のNavier-Stokes方程式とカップリングし、スペクトル法を用いた直接数値計算(Direct Numerical Simulation, DNS)を実施した。 計算された流れ場におけるひずみ強度及び相分離のパラメータ(フェイズ)の相関を確率密度によって評価すると、ひずみが 強い乱流渦層上で相分離が抑制されることがわかった。

大口径シリコンウェーハの高平坦両面研磨加工に関する研究 - 駆動モータ負荷を考慮した加工条件の最適化 -

著者|佐竹うらら
所属|大阪大学大学院工学研究科

φ450 mmの大口径シリコンウェーハにおける両面研磨加工における目標厚さに加工する定寸加工の容易化を目的として,定寸時に駆動モータ負荷が変動することに着目し,定寸前後に駆動モータ負荷変動が大きくなる条件を数値的最適化を用いて導出した.結果として,解析上,従来条件では駆動モータ負荷の振動振幅が定寸時に400 N・m減少するのに対し,最適条件では駆動モータ負荷の振動振幅が定寸時に1500 N・m減少し,駆動モータ負荷の振動振幅の変化から定寸加工を容易にすることができた.

慣性核融合中実ターゲットの高密度爆縮に関する数値的研究

著者|白戸高志
所属|東北大学 工学研究科 航空宇宙工学専攻

高速点火方式により核融合燃料を点火温度まで加熱するには,ターゲットを相対論的電子ビームの遮蔽に十分な密度まで圧縮する必要がある.そのため,輻射流体シミュレーションによりターゲットの設計や最適な加熱時刻の予測を行っている.また,得られた計算結果を3次元空間に写像し多色光線追跡を行うことで,従来までは難しかった数値計算と実験の直接比較が可能となる.

慣性核融合炉における照射損傷シミュレーション

著者|山内智輝
所属|大阪大学大学院 工学研究科

慣性核融合炉において、核融合反応により生じた高エネルギーイオンが第一壁に照射される。この照射による損傷を分子動力学コードを用いて評価することを目的とする。
入射イオンと原子の運動を分子動力学によって記述し、電子-格子相互作用をランジュバン動力学によって記述した。タングステンにα粒子を入射する計算を行った。

非相対論的フェルミ粒子のシミュレーション

著者|山本新
所属|東京大学

相対論系における量子モンテカルロシミュレーションを非相対論系へ応用し、経路積分表示におけるフェルミ粒子の固有値分布を計算した。フェルミ粒子が常流動相から超流動相へ転移すると、固有値分布が急激に変化することを確認した。

ガスタービン翼冷却高度化を目指した非定常乱流熱伝達のシミュレーション

著者|小田豊
所属|関西大学システム理工学部

高温ガスタービンの翼冷却に関連して,燃焼器とタービン第一段静翼の接続部から漏れ出るシールガスがタービン翼列の翼端壁面(エンドウォール)付近で示す流体力学的な挙動を調べるため,高精度な乱流解析手法であるLarge Eddy Simulation (LES) を用いて解析を行った.また,翼列前縁から生ずる馬蹄渦の発達に伴うエントロピー生成とフィルム冷却空気と主流高温ガスとの混合に伴うエントロピー生成を評価できるLES解析コードの開発を行った.

自由噴流の混合制御に関する数値シミュレーション

著者|辻本公一
所属|三重大学大学院工学研究科機械工学専攻

工学機器において,混合,伝熱,化学反応等の促進のための基本的な手段として噴流が用いられている.本研究では高い混合性能を引き出す新しい噴流制御技術の創出を行う. DNS(Direct Numerical Simulation)により,自由噴流ならびに衝突噴流において噴流出口を制御し、噴流の構造変化や,混合状態に対する影響を調査し,流動特性および混合特性を定量的,定性的に評価した.

素粒子・原子核物理学の数値的研究

著者|岩野薫
所属|大阪大学核物理研究センター(RCNP)グループ

核物理研究センターでは、サブアトミック世界の強い相互作用の基本原理である量子色力学(QCD)を中心に、素粒子・ハドロン・原子核物理学とその関連分野にわたる研究を、全国の共同利用研究者とともに行っている。スーパーコンピューターは、大規模計算を必要とする理論的な研究に使われている。その内容は、格子QCDによる数値シミュレーション、原子核構造及び反応に対る有限量子多体系の数値的な解法である。

DNSを用いた乱流予混合火炎の火炎変位速度の実験計測解析手法の評価

著者|坪井和也
所属|岡山大学

乱流火炎の局所構造の議論において重要な火炎変位速度は,数値的,実験的な算出手法が異なり,両者の単純な比較はできない.本研究では,厳密計算が可能なDNS(Direct Numerical Simulation)で構築された高精度データを用いて,実験的に求められる火炎変位速度を数値的に算出し,火炎面の輸送方程式より厳密に算出される火炎変位速度との比較を可能にした上で,両者の火炎変位速度の間の相関について検討する.実験計測において,連続する二時刻間での局所流速や火炎伝播速度がどのように計測されるかを,DNSデータを用いて数値的に模擬し,統計解析を実行した.その結果,温度勾配が最大となる反応進行度変数等値面を火炎面として両者の火炎変位速度を求めた場合に,相関係数が最大となることが明らかとなった.

強磁場下での高エネルギー密度プラズマの流体運動

著者|松尾一輝
所属|大阪大学理学研究科

数100T級の強磁場下での,高エネルギー密度プラズマの流体運動及び流体力学的不安定性を研究する.強磁場下で発現する電子熱輸送の非等方性及び磁気流体現象が高エネルギー密度プラズマに与える影響を定量的に明らかにし,慣性核融合及び実験室宇宙物理学に資する知見を得るのが目的である.

噴流-エッジ系における自励振動流のシミュレーション

著者|吉田尚史,武内健太
所属|信州大学工学部

噴流がエッジに衝突すると噴流が上下に発振する.噴流エッジ間距離を変え振動の変化を調べることを目的とした.噴流ーエッジ間距離を1から14まで1間隔で変化させた計算を行い,エッジがない二次元噴流と比較した.エッジがない二次元噴流では下流で不安定によって振動するのに対し,エッジがある場合は上流から明確な渦の巻き上がりが発生し自励振動した.

高速点火レーザー核融合のコア加熱効率向上を目的とした外部磁場による高速電子コントロール3

著者|城﨑知至
所属|広島大学 大学院工学研究院

高速点火レーザー核融合では、相対論レーザープラズマ相互作用で生成する高速電子ビームにより爆縮コアを瞬時に点火温度まで加熱する。高速電子ビームは非常に大きな発散角を持っており、高効率加熱にはビームガイディングが必須である。本研究では、kTクラスの縦磁場印加による高速電子ビームガイディング法について、2次元MHD輻射流体・相対論電磁粒子・流体粒子ハイブリッドコードを結合した統合シミュレーションにより評価を進めている。本年度は、磁場印加した中実CD球ターゲットの爆縮シミュレーションにより、最大圧縮時の爆縮燃料プロファイルと磁場配位を評価し、その条件の下で電子ビーム輸送計算を行い、コア加熱特性を評価した。その結果、中実CD球爆縮の場合、低温固体のCDは磁場の拡散係数が大きいことと、比較的燃料の圧縮率が低いことから最大圧縮時のミラー比は3程度となり、ガイディングに適した配位となることがわかった。初期印加磁場強度を変えた爆縮+電子ビーム輸送計算を行った結果、磁場を印加しない場合に比べ、磁場を印加することで、加熱効率が1.6倍向上することが示された。

浸透圧調整物質の界面和周波発生分光の第一原理シミュレーション

著者|大戸達彦
所属|大阪大学大学院基礎工学研究科

トリメチルアミンオキサイド(TMAO)は浸透圧調整物質として有名であり、タンパク質の安定化にも重要な役割を果たす。タンパク質の安定化はTMAOがタンパク質の疎水部と水を介して相互作用することにより起こるため、TMAO水溶液と空気(疎水性)の界面におけるTMAOの配向は長く議論されてきた。本研究では、第一原理分子動力学法によってC-H伸縮領域の和周波発生分光スペクトルを計算し、TMAOの配向を決定した。サイバーメディアセンターを利用し、トラジェクトリの一部をためることができた。

重元素による軟X線〜EUV光源プラズマの放射流体解析とCRモデルの改良

著者|東口 武史1,原 広行1,藤岡 慎介2,長友 英夫2,砂原 淳3
所属|1宇都宮大学大学院工学研究科, 2大阪大学レーザーエネルギー学研究センター, 3レーザー技術総合研究所

物質にレーザーを照射すると,生成された高温のプラズマが輻射を発する.物質の構成元素を重元素に変えると,生成されるプラズマからのUnresolved transition array (UTA) 放射の波長が短波長に偏移する.波長の短い電磁波を用いると分解能が高くなり,それぞれの波長に適した応用技術が期待されている.レーザー生成重元素多価イオンプラズマは半導体リソグラフィー技術への応用や高分解能の顕微鏡に応用できる可能性がある.一方で,レーザー生成プラズマは自由膨張するため,光源サイズが大きくなり,マスク検査用顕微鏡に用いられる光源に適用しづらい面がある.また,光源として応用するためには,更なる高い出力や輝度を実現させる必要がある.これを実現させるため,レーザー生成重元素多価イオンプラズマを数値的にシミュレートし解析することにした.具体的には,原子コード計算と放射流体数値解析に着手し,実験と比較することにした.

水面波と成層流体の数値シミュレーション

著者|花崎秀史,沖野真也,奥山優,猪又諒祐,新井一馬
所属|京都大学工学研究科 機械理工学専攻

オイラー方程式を用いた表面張力重力波の直接数値シミュレーションを、Bond数(Bo)が0<Bo<1/3の範囲について行い、ソリトンによる短波の生成(ソリトン放射)を解析した。また、ナビエ・ストークス方程式を用いて成層流体中の乱流の直接数値シミュレーションを行い、プラントル数の効果を調べた。